トヨタ・アリスト

トヨタアリスト：高級セダンの系譜

トヨタアリストは、1991年から2005年までトヨタ自動車が製造・販売していた高級セダンです。そのスポーティなデザインと高性能エンジンは、多くの自動車ファンを魅了しました。アリストは、トヨタの高級セダンの中核を担う車種として、ターボモデルを含む多様なラインナップを展開。特に、トップモデルには、JZA80型スープラに先駆けて2JZ-GTE型エンジンが搭載され、そのパワフルな走りが注目を集めました。

概要

アリストは、トヨタオート店とトヨタビスタ店（現在のネッツ店）で販売されていました。海外では、トヨタが展開する高級車ブランド「レクサス」の上級モデル「GS」として販売されていましたが、2005年からレクサスが日本国内でも展開を開始。それに伴い、アリストの名称は2代でその歴史に幕を閉じました。

アリストは、VIPカーやドリフト走行用のカスタムベースとしても人気が高く、MTに換装されるなど、チューニングベースとしても広く利用されました。しかし、エンジンイモビライザーの標準装備化が遅れたため、盗難被害が多発し、警視庁発表の2004年度の車両盗難被害車種では1位を記録。速度違反による無謀運転での事故も相次いだことから、自動車保険料も高めに設定されていました。

初代 JZS14#型（1991年 - 1997年）

1991年 10月に発売された初代アリストは、同時期に発売されたクラウンマジェスタとプラットフォームやメカニズムを共有する姉妹車でした。クラウンマジェスタが4ドアピラードハードトップだったのに対し、アリストはプレスドアを持つ4ドアセダンとして登場。キャッチコピーは当初「創世・アリスト」、1993年1月以降は「走りを忘れた大人たちへ。」と変更されました。

ボディデザインは、イタルデザインがジャガー・XJ40とプロトモデルのジャガー・ケンジントンをベースに制作し、トヨタのテイストに合わせて量産向けにリファインされたものが採用されました。グレード体系は、ツインターボの2JZ-GTE型(280PS)を搭載する「3.0V」、NAの2JZ-GE型(230PS)を搭載する「3.0Q」、そして後にセルシオに搭載されていた1UZ-FE型V8・4.0Lエンジンを搭載する4WDモデル「4.0Z i-Four」の3グレード構成となりました。

1993年からは北米でもレクサスブランドから「GS300」として販売が開始され、1994年にはマイナーチェンジを実施。フロントグリルやリアバンパー、リアコンビネーションランプのデザインが変更され、3.0Vには「Sパッケージ」、3.0Qには「Lパッケージ」が追加されました。1995年には安全装備が充実し、1996年にはエンジンのVVT-i化やヘッドランプのデザイン変更が行われました。初代アリストは1997年7月に生産を終了し、同年8月に2代目へとバトンタッチしました。販売終了までの新車登録台数の累計は6万9010台でした。

グレード構成

3.0V
3.0Q
4.0 Zi-Four
3.0Qリミテッド（ユーロチューンドサスペンション 1995年 8月追加）
3.0Vリミテッド

2代目 JZS16#型（1997年 - 2005年）

1997年8月に発売された2代目アリストは、クラウンマジェスタとの姉妹車関係を解消し、新規のプラットフォームを採用。このプラットフォームは、その後のトヨタFRセダンの基本仕様となりました。デザインは初代から一転して社内デザインとなり、楕円をモチーフにしたデザインが特徴です。重量配分はフロント53:リア47と理想的なバランスを実現しました。

日本国内モデルでは、V型8気筒エンジン搭載車が廃止され、ツインターボの2JZ-GTE型(280PS)を搭載する「V300」と、NAの2JZ-GE型(230PS)を搭載する「S300」の2種類となりました。1999年には一部改良が施され、オプション設定のEMVがDVD-ROMタイプに変更されました。2000年にはマイナーチェンジが行われ、フロント・リアのデザイン変更、エンジンイモビライザーの標準装備化、S300のATミッションの5速化などが実施されました。2001年にはアリスト生誕10周年を記念した特別仕様車「10th Anniversary Edition」が登場しました。

2代目アリストは2004年12月に生産を終了し、2005年 8月には販売も終了。販売期間中の新車登録台数の累計は7万5499台でした。後継モデルはレクサスGSとして販売が開始され、アリストの名称は2代14年で消滅しました。

グレード構成

V300（ベース車）
S300（ベース車）
VERTEX EDITION（内装色を黒に統一・17インチ専用メッキアルミ・トランクスポイラー）
WALNUT PACKAGE（2000年7月に追加されたラグジュアリーグレード。S300のみ）
V300 TTEバージョン（紺色及び金色が選択できた限定180台の特別仕様車）
V300/S300 10th Anniversary Edition (2001年 8月から12月期間限定で販売)
VA300TOM'S (2000年11月200台限定でビスタ店で販売)
VA300TOM'S G (2002年 8月から2003年3月期間限定でビスタ店で販売されたトムス仕様の特別稀少車で、生産台数が少ないアリストの最上モデル)
V300TOM'S VERSION (2002年 8月から2003年3月期間限定でネッツ店で販売)

車名の由来

アリスト（ARISTO）という名前は、英語で「最上の・優秀な」という意味の接頭語に由来しています。また、ギリシャ語で「最高の目的」という意味を持つ哲学者のアリストテレスからもインスピレーションを得ています。

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