ナストロ・ダルジェント最優秀作品監督賞

ナストロ・ダルジェント最優秀作品監督賞：イタリア映画史を彩る巨匠たち

ナストロ・ダルジェント賞は、イタリアで最も権威ある映画賞のひとつです。その中でも「最優秀作品監督賞」は、イタリア映画界の隆盛を象徴する重要な賞でした。本記事では、この賞の歴史と受賞者を詳細に解説します。

この賞は、優れた作品を監督した監督に贈られるもので、イタリア映画の黄金時代を彩る名匠たちの功績を称えるものとして、長年にわたって高く評価されてきました。しかし、2017年には制度が変更され、「最優秀監督賞」と「最優秀作品賞」に分割されました。本記事では、2017年以前の受賞者と作品に焦点を当てて解説します。

フェデリコ・フェリーニ：最多受賞記録

ナストロ・ダルジェント最優秀作品監督賞において、最多受賞記録を誇るのは、巨匠フェデリコ・フェリーニです。彼は『青春群像』『道』『カビリアの夜』『8 1/2|8 1_2』『フェリーニのアマルコルド』『女の都』『そして船は行く』の7作品で受賞しており、その圧倒的な才能と功績は、イタリア映画史に燦然と輝いています。

各年代の受賞者と作品

以下、年代別に受賞者と作品をリストアップします。ネオレアリズモの隆盛期からイタリア式コメディ、そして現代イタリア映画へと、イタリア映画の歴史を辿る貴重な記録となっています。

1940年代

1946年：ロベルト・ロッセリーニ - 『無防備都市』
1947年：ロベルト・ロッセリーニ - 『戦火のかなた』
1948年：ピエトロ・ジェルミ - 『失われた青春』
1949年：ヴィットリオ・デ・シーカ - 『自転車泥棒』

1950年代

1950年：アウグスト・ジェニーナ - 『沼の上の空』
1951年：アレッサンドロ・ブラゼッティ - 『Prima comunione』
1952年：レナート・カステラーニ - 『2ペンスの希望』
1953年：ルイジ・ザンパ - 『Processo alla città』
1954年：フェデリコ・フェリーニ - 『青春群像』
1955年：フェデリコ・フェリーニ - 『道』
1956年：ミケランジェロ・アントニオーニ - 『女ともだち』
1957年：ピエトロ・ジェルミ - 『鉄道員』
1958年：フェデリコ・フェリーニ - 『カビリアの夜』
1959年：ピエトロ・ジェルミ - 『わらの男』

1960年代

1960年：ロベルト・ロッセリーニ - 『ロベレ将軍』
1961年：ルキノ・ヴィスコンティ - 『若者のすべて』
1962年：ミケランジェロ・アントニオーニ - 『夜』
1963年：ナンニ・ロイ - 『祖国は誰のものぞ』、フランチェスコ・ロージ - 『シシリーの黒い霧』
1964年：フェデリコ・フェリーニ - 『8 1/2|8 1_2』
1965年：ピエル・パオロ・パゾリーニ - 『奇跡の丘』
1966年：アントニオ・ピエトランジェリ - 『私は彼女をよく知っていた』
1967年：ジッロ・ポンテコルヴォ - 『アルジェの戦い』
1968年：エリオ・ペトリ - 『悪い奴ほど手が白い』
1969年：フランコ・ゼフィレッリ - 『ロミオとジュリエット』

1970年代

1970年：ルキノ・ヴィスコンティ - 『地獄に堕ちた勇者ども』
1971年：エリオ・ペトリ - 『殺人捜査』
1972年：ルキノ・ヴィスコンティ - 『ベニスに死す』
1973年：ベルナルド・ベルトルッチ - 『ラストタンゴ・イン・パリ』
1974年：フェデリコ・フェリーニ - 『フェリーニのアマルコルド』
1975年：ルキノ・ヴィスコンティ - 『家族の肖像』
1976年：ミケランジェロ・アントニオーニ - 『さすらいの二人』
1977年：ヴァレリオ・ズルリーニ - 『タタール人の砂漠』
1978年：タヴィアーニ兄弟 - 『父 パードレ・パドローネ』
1979年：エルマンノ・オルミ - 『木靴の樹』

1980年代

1980年：フェデリコ・フェリーニ - 『女の都』
1981年：フランチェスコ・ロージ - 『三人の兄弟』
1982年：マルコ・フェレーリ - 『町でいちばんの美女/ありきたりな狂気の物語』
1983年：タヴィアーニ兄弟 - 『サン★ロレンツォの夜』
1984年：プピ・アヴァティ - 『追憶の旅』、フェデリコ・フェリーニ - 『そして船は行く』
1985年：セルジオ・レオーネ - 『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』
1986年：マリオ・モニチェリ - 『女たちのテーブル』
1987年：エットーレ・スコラ - 『ラ・ファミリア』
1988年：ベルナルド・ベルトルッチ - 『ラストエンペラー』
1989年：エルマンノ・オルミ - 『聖なる酔っぱらいの伝説』

1990年代

1990年：プピ・アヴァティ - 『いつか見た風景』
1991年：ジャンニ・アメリオ - 『宣告』
1992年：ガブリエレ・サルヴァトレス - 『エーゲ海の天使』
1993年：ジャンニ・アメリオ - 『小さな旅人』
1994年：ナンニ・モレッティ - 『親愛なる日記』
1995年：ジャンニ・アメリオ - 『Lamerica』
1996年：ジュゼッペ・トルナトーレ - 『明日を夢見て』
1997年：マウリツィオ・ニケッティ - 『ルナとその影』
1998年：ロベルト・ベニーニ - 『ライフ・イズ・ビューティフル』
1999年：ジュゼッペ・トルナトーレ - 『海の上のピアニスト』

2000年代

2000年：シルヴィオ・ソルディーニ - 『ベニスで恋して』
2001年：ナンニ・モレッティ - 『息子の部屋』
2002年：マルコ・ベロッキオ - 『母の微笑』
2003年：ガブリエーレ・サルヴァトーレス - 『ぼくは怖くない』
2004年：マルコ・トゥリオ・ジョルダーナ - 『輝ける青春』
2005年：ジャンニ・アメリオ - 『家の鍵』
2006年：ミケーレ・プラチド - 『野良犬たちの掟』
2007年：ジュゼッペ・トルナトーレ - 『題名のない子守唄』
2008年：パオロ・ヴィルズィ - 『見わたすかぎり人生』
2009年：パオロ・ソレンティーノ - 『イル・ディーヴォ 魔王と呼ばれた男』

2010年代

2010年：パオロ・ヴィルズィ - 『はじめての大切なもの』
2011年：ナンニ・モレッティ - 『ローマ法王の休日』
2012年：パオロ・ソレンティーノ - 『きっと ここが帰る場所』
2013年：ジュゼッペ・トルナトーレ - 『鑑定士と顔のない依頼人』
2014年：パオロ・ヴィルズィ - 『人間の値打ち』
2015年：パオロ・ソレンティーノ - 『グランドフィナーレ』
* 2016年：パオロ・ヴィルズィ - 『歓びのトスカーナ』

このリストは、イタリア映画の歴史における重要な作品と監督たちを反映しています。それぞれの作品は、イタリア社会や文化を反映するだけでなく、世界中の映画ファンを魅了する芸術性を兼ね備えています。本記事が、イタリア映画への理解を深める一助となれば幸いです。

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