ノルウェーの歴史

ノルウェーの歴史

ノルウェーの歴史は、先史時代から現代に至るまで、多様な変遷を遂げてきました。この地は、暖流の影響で比較的温暖であり、古くから人々が居住していました。紀元前4世紀には、北ゲルマン系のノルマン人（ノール人）が定着し、現在のノルウェー人の基礎を築きました。

ヴァイキング時代

8世紀に入ると、ノルウェーはヴァイキングの時代を迎えます。彼らは、デンマークやスウェーデンのヴァイキングと共に、交易、略奪、探検に乗り出し、アイスランド、グリーンランド、さらにはシチリア、ロシア（ルーシ）、ノルマンディーへと進出しました。この時代の彼らの活躍は、ノルウェーの歴史において重要な位置を占めています。

ノルウェー王国の興亡

9世紀末には、ハーラル1世が沿岸部を統一し、ノルウェー最初の統一王国が成立したとされています。10世紀末にはキリスト教が伝来しましたが、古代の北方信仰も根強く残りました。スカンディナヴィア最初の統一王国の一つであるノルウェーですが、王家内の権力闘争が激化し、11世紀にはデンマークのカヌート大王の北海帝国に併合されました。

12世紀末には独立を回復し、スヴェレ朝のもとで世襲王国が確立されました。13世紀半ばには、ホーコン4世の治世下で王国は最盛期を迎え、スカンディナヴィア半島の3分の2、アイスランド、グリーンランド、スコットランドの一部にまで支配を広げました。しかし14世紀には、黒死病の流行によって人口が激減し、ハンザ同盟による経済的支配、スヴェッレ朝の断絶によって、ノルウェー王国は衰退に向かいました。この時代、経済を支えたのは、干しダラの国際的な需要拡大による漁業の発展でした。

14世紀末には、デンマークのマルグレーテ1世によるカルマル同盟のもとで、デンマークの支配を受けることとなりました。

近世（デンマーク＝ノルウェー）

1523年にスウェーデンがカルマル同盟から離脱すると、ノルウェーはデンマーク王の統治下に置かれました。フレゼリク1世はルターの思想を好んだものの、ノルウェーではなかなか受け入れられませんでした。フレゼリク1世は当初プロテスタントを導入しない方針でしたが、1529年にこれを覆し、ノルウェーにも導入することにしました。

これに抵抗したニーダロスの大司教オーラヴ・エンゲルブレクトソンは、退位させられたクリスチャン2世をオランダから呼び寄せました。しかし、クリスチャン2世はフレゼリク1世に捕らえられ、幽閉されました。フレゼリク1世の死後、1534年に伯爵戦争が勃発し、最終的にルター派のクリスチャン3世が勝利すると、オーラヴ・エンゲルブレクトソンは追放されました。ノルウェーはデンマークの一属州となり、1537年には宗教改革が強行され、デンマーク王権が強化されました。教会の所有していた土地はデンマーク王の支配下に入り、デンマーク語が公用語として採用される一方、ノルウェー語は方言として残りました。

17世紀以降、デンマーク＝ノルウェーは、スウェーデンの侵攻と圧力に度々さらされましたが、1[[8世紀]]後半には海運業に参入し、商船隊が発展しました。これが1[[9世紀]]の海運立国としてのノルウェーの基礎を築きました。

近代（スウェーデン＝ノルウェー）

1[[9世紀]]には、フランス革命とナポレオン戦争の影響を受け、民族主義に基づく独立の動きが高まりました。デンマークがナポレオン戦争で敗戦国となると、1814年のキール条約によってノルウェーはスウェーデンに割譲されることになりました。ノルウェーは独自の憲法を制定し独立を試みましたが、列強はこれを承認せず、スウェーデン軍に屈服しました。同年11月、モス条約が結ばれ、スウェーデンのベルナドッテ王朝の支配下に入りました。しかし、ノルウェーはスウェーデンの立憲君主制のもとで、独自の政府および議会を開くことを許され、自立への道を歩み始めました。

この同君連合のもとで、ノルウェーは国内政治を改革し、海運、製鉄、造船、漁業などの産業を振興しました。1[[9世紀]]中葉には、汎スカンディナヴィア主義が盛り上がりましたが、最終的に挫折しました。その後、ノルウェーはスウェーデンからの自立を目指すようになり、1890年頃から独立を模索するようになりました。

ノルウェー独立から第二次世界大戦まで

1905年、ノルウェーは同君連合の解消を宣言し、国民投票で圧倒的な賛成を得て、スウェーデンとの交渉の結果、無血で独立を達成しました。ノルウェーは、デンマークからカール王子を国王ホーコン7世として迎え、立憲君主制の新生ノルウェー王国を樹立しました。第二次世界大戦中には、1940年にナチス・ドイツに占領され、ヴィドクン・クヴィスリング率いる傀儡政権が統治を行いました。ホーコン7世は国外でレジスタンス運動を指導し、国民の信頼を得ました。

現代

第二次世界大戦後、ノルウェーは独立を回復し、国際連合の原加盟国として初代国連事務総長トリグブ・リーを送り出しました。冷戦下では北大西洋条約機構（NATO）に加盟しましたが、外国の軍事基地を置かず、非核政策を展開し、ノルディックバランス政策を進めました。1959年にはEFTAに加盟しましたが、EC（後のEU）への加盟は1972年と1992年の国民投票で否決されました。

戦後のノルウェーを特徴づけるのは、1960年代から始まった北海油田の開発です。莫大な石油と天然ガスの収益は、ノルウェー政府年金基金として積み立てられ、国際的な金融市場に投資されています。

ノルウェーは現在もEUには非加盟ですが、1913年に普通選挙を導入し、女性参政権を認めるなど、女性の社会的地位は高く、他の北欧諸国同様に社会福祉も進んだ福祉国家として知られています。



[脚注]



[参考文献]

Stenersen, Øivind; Ivar Libæk (2003). History of Norway. Snarøya, Norway: Dinamo Forlag （岡沢憲夫 監訳・小森宏美 訳『ノルウェーの歴史』早稲田大学出版部、2005年。ISBN 4-657-05516-X。）
村井誠人、大溪太郎『一冊でわかる北欧史』河出書房新社〈世界と日本がわかる 国ぐにの歴史〉、2022年。ISBN 978-4-309-81114-7。

[関連項目]

ノルウェーの政治
ノルウェーの経済
北欧史
デンマークの歴史
スウェーデンの歴史

[外部リンク]

『ノルウェー史』 - コトバンク

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