ハードボイルド・ハガティ

ハードボイルド・ハガティ：リングと銀幕を沸かせた異端児

ハードボイルド・ハガティ（1925年4月2日 - 2004年1月27日）は、アメリカ合衆国カリフォルニア州ロサンゼルス出身のプロレスラーであり、俳優としても活躍した人物です。本名をドナルド・J・スタンスークといい、その激しいファイトスタイルから「喧嘩狂」という異名を持ち、多くのファンを魅了しました。

スポーツ界での初期

ハガティは、パサデナ・シティ・カレッジとデンバー大学でアメリカンフットボールに打ち込み、その才能を開花させました。ドラフトを経てNFLのデトロイト・ライオンズに入団後、グリーンベイ・パッカーズへ移籍し、ディフェンシブタックルとして活躍しました。フットボールのオフシーズンには、プロレスのリングにも上がり、1950年にウィスコンシン州グリーンベイで本名を用いてデビューを果たしました。

プロレスラーとしてのキャリア

その後、ハガティはプロレスに本格的に転向。「喧嘩狂」のイメージを確立するために、大学を喧嘩で放校、プロフットボール界からもトラブルで追放されたという設定が用いられました。合法的に喧嘩ができる場所としてプロレスを選んだというストーリーは、彼のキャラクターをより際立たせるものでした。

1950年代前半には、ミネアポリスやサンフランシスコを拠点に活動。1954年1月19日には、サンフランシスコでアメリカ修行中だった力道山と対戦しました。同年11月30日には、ミネアポリスでルー・テーズの持つNWA世界ヘビー級王座に挑戦するなど、早くからトップレスラーとしての頭角を現しました。その後も1959年にかけて、NWA世界王座に再三挑戦しています。

1950年代後半には、カナダの主要テリトリーであるバンクーバー、トロント、モントリオール、カルガリーなどを転戦。1956年9月20日には、トロントでディック・ハットンとのコンビでカナディアン・オープン・タッグ王座を獲得しました。モントリオールでは同年10月3日、キラー・コワルスキーを破り、ケベック地区認定の世界ヘビー王座を手にするなど、各地でタイトルを獲得しました。1958年からはハワイにも進出し、1960年にはロード・ブレアースらのチームを破り、NWAハワイ・タッグ王座を獲得しています。

1960年下期からは、ミネアポリスでバーン・ガニアが旗揚げしたAWAに参戦。10月4日にはレン・モンタナと組んでAWA世界タッグ王座を獲得しました。1961年3月からは、モンタナの負傷によりジン・キニスキーを新パートナーに迎え、ウイルバー・スナイダー&レオ・ノメリーニとタイトルを争いました。AWAでは、ガニアの保持していたAWA世界ヘビー級王座にも1962年にかけて度々挑戦しています。キニスキーとは、カナダのバンクーバーでもタッグを組み、1962年8月にはホイッパー・ビリー・ワトソン&ベアキャット・ライトからNWA太平洋岸タッグ王座を奪取しました。

日本での悪役ぶり

1963年7月、日本プロレスの『夏の国際試合』に特別参加で初来日。東京・渋谷のリキ・スポーツパレスで行われた同月26日の来日第1戦では、ドン・ジャーディン&ミスター・ゼロ（クルト・フォン・ブラウナー）と組み、力道山、豊登、吉村道明と6人タッグマッチで対戦。試合途中で控室から野球のバットを持ち出し、力道山の足を滅多打ちにするという暴挙で悪名を轟かせました。同年9月開幕の『秋の国際試合』にもサニー・マイヤースやバディ・オースチンらと共に参戦しましたが、力道山とのシングルマッチは実現せず、決着がつかないまま同年暮れに力道山が死去。結果として「力道山が退治できなかったガイジン・レスラー」の一人として、その名を刻みました。

その後

1964年からは、地元ロサンゼルスのWWAに参戦。ザ・デストロイヤーをパートナーに、7月30日にラモン&アルベルトのトーレス兄弟、11月3日にフレッド・ブラッシー&ミスター・モトを破り、WWA世界タッグ王座を同年に2回獲得。並行してハワイにも遠征し、1965年2月24日にエンリケ・トーレスからUSヘビー級王座を奪取、9月15日にカーティス・イヤウケアに敗れるまで戴冠しました。WWAには1967年まで出場し、ペドロ・モラレスやマーク・ルーインといった新しい世代の選手や、日本から遠征してきた坂口征二、さらにはカール・ゴッチとも対戦しました。

1968年からは古巣のAWAで活動。スナイダー、クラッシャー・リソワスキー、マッドドッグ・バション、カウボーイ・ビル・ワットらと対戦し、ガニアのAWA世界ヘビー級王座にも再び挑戦しました。

俳優としての転身

1960年代末からは俳優業を本格的に開始し、1971年にはクリント・イーストウッド主演の『ダーティハリー』にも出演。1973年にレスラーを引退して俳優に転身し、数々の映画やテレビドラマ、CMなどで活躍しました。

2003年6月20日、自動車事故により首を骨折する重傷を負いました。退院後、リハビリテーションを続けていましたが、翌2004年1月27日、カリフォルニア州マリブの自宅にて死去。78歳でした。

得意技

スリーパーホールド
凶器攻撃

タイトル歴

数多くのタイトルを獲得している。

主な出演作品

数々の映画に出演。

ハードボイルド・ハガティは、プロレスラーとしてだけでなく、俳優としてもその才能を発揮し、多くの人々に愛されました。彼のリングでの激しい戦いぶりと、スクリーンでの個性的な演技は、これからも語り継がれることでしょう。

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