パンジ川

パンジ川：中央アジアの大河

パンジ川は、アムダリヤ川の主要な支流であり、アフガニスタンとタジキスタンの国境を形成する重要な河川です。この川は、その源流からアムダリヤ川との合流点に至るまで、多様な地形と歴史的な背景を持っています。

川の成り立ちと地理

パンジ川の源流は、ヒンドゥークシュ山脈のワフジール峠に端を発するワフジル川です。この川は、オクスー川と合流してワハン川（ワハンダリヤ）となり、その後すぐにパンジ川と名前を変えます。パンジとは、タジク語で「5つ」を意味し、これはパミール高原の氷河や万年雪から流れ出る4つの主要な川、すなわちパミール川、グント川、バルタング川、ワンチ川が合流することに由来します。

これらの支流が合流した後、パンジ川はタジキスタンのゴルノ・バダフシャン自治州とアフガニスタンのバダフシャーン州の間の高山地帯を西へと流れます。その後、北に大きく向きを変え、長い距離を流れていきます。再び南に向きを変えると、高山地帯を抜け、タジキスタンのハトロン州に入ります。

ハトロン州とウズベキスタンのスルハンダリヤ州の間は、パミール・アライ山脈から南に伸びる支脈と盆地が複雑に入り組んだ地形となっています。アムダリヤ川が最初に接触する盆地は、アフガニスタンのタハール州からハトロン州にかけて広がっており、その西にはクンドゥーズ州から広がる盆地があります。この地域は多くの川が合流する場所で、北からキジルスー川、南からコクチャ川が合流します。さらに、北からヴァフシュ川が合流すると、パンジ川はアムダリヤ川と名前を変えます。

下流部一帯は、その生態系の重要性から、2001年にラムサール条約登録地となりました。

流域の都市と交通

パンジ川流域には、以下の重要な都市があります。

ホログ（タジキスタン）：パミール・ハイウェイが通り、タジク＝アフガン友好橋の一つがある
クリャーブ（タジキスタン）
ファイザバード（アフガニスタン）

パンジ川は、ソ連時代には戦略的に重要な場所とみなされ、1980年代のソ連のアフガニスタン紛争では軍事戦略上重要な役割を果たしました。現在でも、交通の要所としての役割を担っており、以下の地点に重要な橋や検問所があります。

ホログ（タジキスタン）：タジク＝アフガン友好橋の一つで、パミール・ハイウェイが通る
シルハン（アフガニスタン）：国境検問所があり、タジク＝アフガン友好橋の一つで、アジアハイウェイ7号線が通る

支流

パンジ川には多くの支流が流れ込んでいます。以下はその主なものです。

ワハン川（ワハンダリヤ）
パミール川：源流はゾルクル湖
グント川
バルタング川
ワンチ川
キジルスー川
コクチャ川（コッチャ川）
ヴァフシュ川（ワフシュ川）

遺跡と自然保護区

パンジ川流域には、古代の遺跡や自然保護区も存在します。

ショルトゥガイ：ハラッパー文明とバクトリア文明の遺跡
アイ・ハヌム：コクチャ川河口に位置するヘレニズム時代の遺跡
ティグロヴァヤ・バルカ自然保護区（タジキスタン）

まとめ

パンジ川は、中央アジアの歴史と自然が交錯する重要な河川です。その源流からアムダリヤ川との合流点まで、多様な地理的特徴を持ち、多くの人々や文化に影響を与えてきました。現在でも、この川は地域の人々の生活や経済にとって、欠かせない存在です。

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