ボブ・ブラウン (プロレスラー)

ブルドッグ・ボブ・ブラウン：不屈のプロレスラー

"ブルドッグ"ボブ・ブラウン（本名：Robert Harold Brown、1938年10月16日 - 1997年2月5日）は、カナダ・マニトバ州出身のプロレスラー。その異名が示す通り、ブルファイターとして知られ、主にカナダ各地やアメリカ中西部のNWAセントラル・ステーツ地区で活躍しました。彼はリング外でもブッカーやカラー・コメンテーターを務めるなど、多才な才能を発揮しました。

黎明期からアメリカ進出

警察官という異色の経歴を経て、1950年代後半にプロレスラーとしてデビュー。1960年代前半までは、地元のマニトバにあるマディソン・レスリング・クラブでキャリアを積みました。1965年、ブラウンはアメリカへ本格的に進出し、ミズーリ州とカンザス州を拠点とするNWAセントラル・ステーツ地区に登場。同地区のプロモーター、ボブ・ガイゲルとのコンビで、セントラル・ステーツ版のNWA北米タッグ王座を5度獲得しました。

カナダでの活躍

1969年にカナダへ帰国したブラウンは、バンクーバーのNWAオールスター・レスリングに参戦。1970年10月9日にドン・レオ・ジョナサン、1972年2月7日にマーク・ルーインを破り、NWA太平洋岸ヘビー級王座を奪取しました。また、ジン・キニスキーやビッグ・ジョン・クインといった強豪とタッグを組み、NWAカナディアン・タッグ王座を何度も獲得しています。

セントラル・ステーツでの黄金期

1973年、再びセントラル・ステーツ地区に参戦し、1980年代にかけて同地区に定着。1973年10月11日には、ハーリー・レイスからNWAセントラル・ステーツ・ヘビー級王座を奪いました。その後も、ハーリー・レイス、マイク・ジョージ、ボブ・スウィータン、ジ・アサシン、キラー・カール・コックス、デューイ・ロバートソン、ビル・ダンディーといった強豪を相手に同王座を奪取し、その戴冠回数は通算20回に及びます。

タッグマッチでも、ロード・アル・ヘイズとのコンビでジョージ&ジム・ブランゼル、ボブ・スウィータンとのコンビでジェシー・ベンチュラ&タンク・パットンを破り、同地区版のNWA世界タッグ王座を獲得。セントラル・ステーツ・タッグ王座も、ディック・マードック、パット・オコーナー、マーティ・ジャネッティらと組み、ブルーザー・ブロディ&アーニー・ラッド、タカチホ&パク・ソン、ジプシー・ジョー&ミスター・ポーゴなどを下し、通算10回戴冠しました。

さらに、ブラウンは同地区でブッキング業務も担当し、NWAの基幹団体「セントラル・ステーツ・レスリング」の番頭格として、ボブ・ガイゲルを支えました。日本へは、1973年2月に全日本プロレスに初参戦。以降、NWAのエージェントを兼任する中堅外国人選手として、1985年3月まで6回来日しました。1986年4月20日には、ミネアポリスのメトロドームで開催されたAWAのビッグイベント"WrestleRock"で、ジャイアント馬場とのシングルマッチが実現しています。

カナダへの帰還と後進の育成

WWF（現WWE）の全米侵攻によりプロレスリング・ビジネスのテリトリー制が崩壊し、アライアンスとしてのNWAが事実上解体した1980年代後半から、ブラウンはアメリカを離れ、故郷のカナダで活動を再開。ノバスコシア州やニューブランズウィック州など、大西洋岸のマリタイム地区を拠点とするアトランティック・グランプリ・レスリングでは、海外武者修行中だったマサ・チョーノ（蝶野正洋）とタッグを組み、AGPW北米タッグ王座を獲得しました。カルガリーのスタンピード・レスリングでは、甥のリック・バレンタイン（ケリー・ブラウン）とコンビを組み、インターナショナル・タッグ王座を手にしました。

その後は、ウィニペグのインディー団体WFWAの運営に携わりながら、1992年頃までレスラーとしてリングに上がり続けました。クリス・ジェリコ、ランス・ストーム、ドン・キャリスなど、当時の若手選手たちと対戦し、彼らの育成に尽力しました。

引退と晩年

1996年に心臓発作を起こし、プロレス業界から引退。かつての主戦場だったセントラル・ステーツ・レスリングの本拠地、カンザスシティでカジノの警備員として働き始めました。1997年2月5日、58歳でこの世を去りました。

得意技

レッグ・ドロップ
シュミット式バックブリーカー

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