ポルノの帝王 失神トルコ風呂

『ポルノの帝王 失神トルコ風呂』は、1972年に東映が製作・配給した映画で、梅宮辰夫主演の「帝王シリーズ」の第五作、そして最終作です。この作品は、九州から上京した主人公が、その「巨大なシンボル」を武器に、欲望渦巻く社会で成り上がっていく姿を描いた艶笑喜劇です。

作品概要

本作のタイトルは、当時の東映社長であった岡田茂が命名しました。タイトルにもある「トルコ風呂」という言葉は、1980年代以降は「ソープランド」と表記されるようになり、今日ではあまり使われなくなっています。このことからも、本作が作られた時代の風俗を窺い知ることができます。

主演の梅宮辰夫は、1972年3月にクラウディア・ヴィクトリアと再婚するまで、毎晩のように銀座のネオン街に繰り出し、「夜の帝王」を自認していたと言われています。また、トルコ風呂にも頻繁に通っていたという逸話も残っています。一方、山城新伍は、本作に出演する以前から「ポルノ映画（東映ポルノ）」で二枚目半の役を演じており、それがきっかけでトルコに関するルポの仕事なども舞い込むようになったそうです。しかし、実際には遊びに行く程度だったにもかかわらず、「トルコの帝王」というイメージが定着してしまったと述べています。

山城新伍が後に人気テレビタレントとして活躍するきっかけとなった番組『独占!男の時間』は、山城の話術がテレビプロデューサーの目に留まったことで実現しました。これらのエピソードからも、当時の芸能界やメディアの動向が垣間見えます。

キャスト

松宮浩：梅宮辰夫
金子政雄：山城新伍
結城初江：花園ひろみ
林民枝：久里千春
河村茂子：有吉ひとみ
富岡元子：三原葉子
岡田夢子：円山理英子
園子：片山由美子
梅子：集三枝子
キミ江：小林千枝
アリス：ドナ・ケイ
ポーレット：リンダ
いね子：藤井まゆみ
白木：名古屋章
浩の母親：初井言栄
浩の妹：木村由美子
風祭剛：渡辺文雄
菊地：室田日出男
傷鉄：八名信夫
春夫：曽根晴美
大福屋：由利徹
美容師：松下麻美子
看護婦：吉沢信子
トルコの客：玉川良一
中気の男：大泉滉
入院患者：たこ八郎
入院患者：河合絃司
入院患者：谷本小夜子

スタッフ

監督：内藤誠
脚本：小野竜之助
企画：矢部恒
撮影：中島芳男
音楽：小杉太一郎
主題歌：「シンボルロック」（シングル版とはアレンジが異なり、歌詞も一部変更されている）
美術：藤田博
編集：長沢嘉樹
録音：長井修堂
スチル：藤井善男
照明：桑名史郎
助監督：澤井信一郎（1th）、佐伯俊道（4th）他

製作の背景

本作の企画は、梅宮辰夫が金髪の女性クラウディアと結婚したことを受け、外国人女性が働くトルコ風呂（ソープランド）がまだ存在しないことに着目したことから始まりました。当時、日活ロマンポルノが警察から厳しく取り締まられていた時期であり、ポルノ業界全体が混乱していた中で、東映は独自の路線を追求しました。岡田茂社長は、「うちのセックス・シーンにはドラマとしての必然性がある」と語り、他社との差別化を図りました。

撮影秘話

撮影当時、東映東京撮影所では組合闘争が激化しており、機動隊が導入されるなど、混乱した状況でした。この混乱の中で、学習院大学時代に機動隊に逮捕された経験を持つ佐伯俊道は、ひょんなことから東映に入社することになります。助監督として本作に参加した佐伯は、当初は他の作品に就くことを勧められましたが、添え物B級[[映画]]が好きだったため、本作のフォース助監督に自ら志願しました。この選択は、周囲から「変わった奴」と見られるきっかけとなりましたが、佐伯は多くの作品でホン直しを手伝い、シナリオの映像化を学ぶ貴重な経験を得たと語っています。

撮影では、吉原の高級トルコ風呂店の豪華なセットが組まれ、外国人女優を多数集めて賑やかな雰囲気が作られました。梅宮辰夫が三原葉子、片山由美子、集三枝子ら金髪美女たちと次々に抱き合うシーンは、本作の見どころの一つです。

同時上映作品

本作は『遊侠列伝』（監督：小沢茂弘、主演：高倉健、脚本：大和久守正）と共に上映されました。

外部リンク

ポルノの帝王 失神トルコ風呂 - KINENOTE
ポルノの帝王 失神トルコ風呂 - allcinema
* ポルノの帝王 失神トルコ風呂 - MOVIE WALKER PRESS

この映画は、当時の社会風俗を背景に、欲望と人間模様をコミカルに描いた作品として、今でも一部のファンから根強い人気を誇っています。

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