ヨネクラボクシングジム

ヨネクラボクシングジムは、かつて東京都豊島区目白に拠点を構え、プロボクサーの育成を主たる目的として活動していたボクシングジムです。運営は株式会社ヨネクラ.プロモーションが行っていましたが、2017年8月をもってその歴史に幕を閉じました。

沿革

ジムは、メルボルンオリンピックのボクシング日本代表であり、プロとしても日本フライ級および東洋太平洋バンタム級の王座に輝いた米倉健司氏によって、1963年3月に開設されました。米倉氏は閉鎖までの54年間にわたり、一貫してジムの会長を務めました。

開設当初は東京・大塚にて「NPヨネクラジム」としてスタートしましたが、1969年に目白へ移転し、名称を「ヨネクラジム」と改めました。また、柴田国明氏が世界王座にあった1970年代の一時期には、アパレルブランドBVDの日本法人がスポンサーとなり、「BVDヨネクラボクシングジム」として活動していた時期も存在します（当時のBVD日本法人は現在の富士紡ホールディングスとは異なる企業です）。

実績

ヨネクラボクシングジムは、54年間の活動期間中に計5名の世界王者を輩出しました。この世界王者の輩出数は、日本のプロボクシングジムの中で帝拳ジム、協栄ジム、ワタナベジムに次ぐ実績であり、角海老宝石ジムや、ヨネクラジム出身の世界王者である大橋秀行氏が設立した大橋ジムと並んで、日本プロボクシング協会加盟ジムとしては歴代4位タイの記録となっています。さらに、東洋太平洋王者を8名、そして日本王者に関しては、歴代最多となる31名を育て上げました。これらの輝かしい実績から、ヨネクラジムは「日本一のチャンピオンメーカー」として広く知られることとなりました。また、米倉会長自身がアマチュアボクシングの経験者であったことから、プロボクサーだけでなくアマチュア選手の育成にも力を入れていました。

指導方針

ジムの指導においては、それぞれの選手の個性や長所を見極め、それに最も適したボクシングスタイルを確立させることを重要な信条としていました。しかしながら、多くの練習生を抱えていたため、必ずしも一人一人に十分な指導が行き届かなかったという指摘も存在します。後に世界王者となる畑山隆則氏も、当初ヨネクラジムに所属したものの、満足な指導が得られなかったと感じて移籍したとされるエピソードが伝えられています。

閉鎖

米倉会長はかねてより「ジム経営は自身一代限り」とする考えを示しており、2017年4月、自身の年齢や体調などを考慮した結果、同年8月末でのジム閉鎖を発表しました。そして2017年8月31日の最終営業日には、かつてこのジムで汗を流した多くのOBたちが駆けつけ、最後の練習を見守りながら、54年にわたるヨネクラジムの歴史に静かに幕が下ろされました。ジムの運営会社であった株式会社ヨネクラ.プロモーションはその後清算手続きに入り、2018年5月28日をもって法人格が消滅しています。

閉鎖に伴い、所属していた選手の中には他のジムへ移籍し、その後も活躍を続けた者もいます。例えば、出田裕一氏は三迫ジムへ移籍後、日本スーパーウェルター級王座を獲得しました。また、溜田剛士氏は閉鎖直前に日本フェザー級初代ユース王座を獲得し、大橋ジムへ移籍しています。

主な出身選手

ヨネクラジムからは、数多くの名選手が巣立っています。

世界王者
柴田国明（WBCフェザー級、WBA・WBCスーパーフェザー級）
ガッツ石松（WBCライト級）
中島成雄（WBCライトフライ級）
大橋秀行（WBA・WBCミニマム級）
川島郭志（WBCスーパーフライ級）

その他の主な選手
成田城健（元日本ライト級王者）
西澤ヨシノリ（元OPBF東洋太平洋スーパーミドル級・ライトヘビー級王者、元日本ミドル級王者）
松本好二（元日本フェザー級、元OPBF東洋太平洋同級王者）
瀬川設男（ソウル五輪日本代表、元日本バンタム級、元日本スーパーバンタム級王者）
クレイジー・キム（元OPBF東洋太平洋・元ABCO・元日本スーパーウェルター級王者など）
嶋田雄大（元日本ライト級王者）
松本晋太郎（元OPBF東洋太平洋スーパーミドル級王者）
魔裟斗（キックボクシングへ転向後に活躍）
その他、多数の日本・東洋太平洋タイトル保持者やランカーを輩出。

ヨネクラボクシングジムは、その長い歴史の中で、日本のボクシング界に多大な貢献を果たした存在でした。

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