ローマ・ガリア戦争

ローマ・ガリア戦争

ローマ・ガリア戦争は、紀元前390年から紀元前193年にかけて、共和政ローマとガリア人の様々な部族との間で繰り広げられた一連の戦いです。セノネス族、インスブリ族、ボイイ族、ガエサタエ族といった部族が主な対戦相手でした。

戦争の背景

ガリア・トランサルピナ（現在の南フランス）に居住していたガリア人たちは、アルプス山脈を越えてガリア・キサルピナ（北イタリア）へと侵入し、エトルリアを経由して南方のローマまで勢力を拡大しようとしました。

約200年にわたる戦いの後、ローマはイタリア半島におけるガリア人との戦いに勝利し、紀元前120年頃にはクィントゥス・ファビウス・マクシムスらによってガリア・トランサルピナを征服し、属州としました。

戦争の経過

紀元前390年：アッリアの戦いとローマの略奪

ブレンヌス率いるセノネス族がエトルリアのクルシウムに侵入。ローマ軍はこれを撃退しようと派遣されましたが、アッリアの戦いで大敗を喫しました。その3年後、ブレンヌスはローマを包囲し、略奪しました。

紀元前360年：ティブルとの同盟とコリナ門近くの戦い

ガリアはローマの東30キロに位置するティブルと同盟を結びました。ローマがティブルを攻撃すると、ガリアはローマ近郊まで侵攻しましたが、独裁官クィントゥス・セルウィリウス・アハラがコリナ門近くの戦いで勝利し、ガリア軍を撃退しました。

紀元前302年：トランサルピナからの侵入

トランサルピナのガリア人がアルプスを越えてイタリア半島に侵入し、キサルピナのガリア人は彼らが自領を通過して南下することを許可し、一部の部族はこれに加わりました。彼らはローマ領で略奪を行って撤退しましたが、その後ガリア人同士で争いが起こりました。

紀元前298年～紀元前290年：第三次サムニウム戦争

ガリア人はサムニウム、エトルリア、ウンブリアと同盟し、ローマと戦いました。

紀元前284年～紀元前283年：アレティウムの戦いとウァディモ湖の戦い

ポリュビオスの記述によれば、ガリア人はまずアレティウムを包囲し、ローマ軍はアレティウムの解放に向かいましたが、ガリア軍に敗北しました。その後、ローマは北方へ遠征しセノネス族に勝利してその領地から追い出し、植民地を建設しました。紀元前283年、ボイイ族はエトルリアと連合してローマへ侵攻しましたが、ローマ軍はウァディモ湖の戦いで勝利しました。

その後

これらの勝利によってイタリア北部のガリア人勢力を弱体化させることに成功したローマは、アドリア海にまで勢力を伸張。ガリア人との争いも一時的に沈静化し、矛先を南方へ向けました（対マグナ・グラエキア、第一次ポエニ戦争）。

紀元前232年：ガイウス・フラミニウスの土地分配

長く続いた戦争によって生まれた貧民対策として、ガイウス・フラミニウスは半世紀前に獲得したガリア人の土地を民衆に分け与えたため、ガリア人が反乱を起こしました。

紀元前225年：ファエスラエの戦いとテラモンの戦い

インスブリ族とボイイ族がアルプス地方のガリア人であるガエサタエを傭兵として雇用し、ローマに進軍しました。ガリア連合軍はファエスラエの戦いでローマ軍に勝利しましたが、その後のテラモンの戦いではローマが勝利しました。

紀元前223年～紀元前222年：インスブリ族への侵攻と主要都市の陥落

ローマはアルプスの南側のガリア領を占領する政策を採用しました。紀元前223年にはインスブリ領に侵入し、クラスティディウムの戦いに勝利。紀元前222年にはアエッラエ、メディオラヌムを陥落させました。

第二次ポエニ戦争とその後

紀元前218年からローマはカルタゴとの戦争（第二次ポエニ戦争）を始めましたが、多くの場合ガリアはカルタゴに味方しました。カルタゴに勝利した後、ローマは紀元前196年にボノニアを占領、紀元前194年にはプラセンティアの戦い、紀元前193年にはムティナの戦いで勝利しました。生き残っていたボイイ族はアルプスを越えて北に移住し、ボヘニウムを建設しました。

関連項目

ラ・テーヌ文化
マルクス・フリウス・カミルス
マニウス・クリウス・デンタトゥス
マルクス・クラウディウス・マルケルス

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