ワクチンの年表

ワクチンの歴史：感染症制圧への歩み

ワクチンは、人類が感染症から身を守るための画期的な予防策です。この年表は、予防ワクチンの開発がどのように進んできたのか、その道のりを示しています。

年表に記載されている初期の出来事は、ワクチンの開発が始まった、あるいは臨床試験が開始されたと考えられる年を表しています。一方、後半の記述の多くは、ワクチンの試験が完了し、実際に医療現場で利用可能となった年を示しています。

黎明期：18世紀

ワクチンの歴史は、18世紀末に始まります。この時代に、全ての病気を通して最初となる画期的なワクチンが誕生しました。

1796年：天然痘に対する最初のワクチンが開発されました。これは、人類が初めて手にしたワクチンであり、その後の感染症対策に計り知れない影響を与えることになります。

展開期：19世紀

19世紀に入ると、病原体に関する理解が深まり、様々な感染症に対するワクチン開発が進みました。特に細菌感染症への対策が進んだ時代です。

1879年：コレラに対する最初のワクチンが登場しました。
1881年：炭疽に対する最初のワクチンが開発されました。
1882年：狂犬病に対する最初のワクチンが開発されました。
1890年：破傷風に対する最初のワクチンが登場しました。
1890年：ジフテリアに対する最初のワクチンが登場しました。
1896年：腸チフスに対する最初のワクチンが開発されました。
1897年：ペストに対する最初のワクチンが開発されました。

多様化と普及：20世紀

20世紀は、ウイルス性疾患を含むさらに多くの感染症に対し、効果的なワクチンが開発され、広く普及が進んだ時代です。特に第二次世界大戦後、開発が加速しました。

1926年：百日咳に対する最初のワクチンが開発されました。
1927年：結核（BCGワクチン）に対する最初のワクチンが開発されました。
1932年：黄熱病に対する最初のワクチンが登場しました。
1937年：発疹チフスに対する最初のワクチンが開発されました。
1945年：インフルエンザに対する最初のワクチンが登場しました。
1952年：小児麻痺（ポリオ）に対する注射用ワクチンが開発されました。
1954年：日本脳炎に対する最初のワクチンが開発されました。
1957年：アデノウイルス-4型および7型に対する最初のワクチンが開発されました。
1962年：小児麻痺（ポリオ）に対する経口ワクチンが開発され、予防接種が容易になりました。
1964年：麻疹に対する最初のワクチンが登場しました。
1967年：流行性耳下腺炎（おたふくかぜ）に対する最初のワクチンが登場しました。
1970年：風疹に対する最初のワクチンが登場しました。
1974年：水痘（水疱瘡）に対する最初のワクチンが開発されました。
1977年：肺炎球菌に対する最初のワクチンが登場しました。
1978年：髄膜炎菌に対する最初のワクチンが登場しました。
1981年：B型肝炎に対する最初のワクチンが開発されました。
1985年：インフルエンザ菌B型（Hib）に対する最初のワクチンが登場しました。
1992年：A型肝炎に対する最初のワクチンが開発されました。
1998年：ライム病に対する最初のワクチンが開発されました。
1998年：ロタウイルスに対する最初のワクチンが開発されました。

ワクチンの成果と未来への挑戦

このように多くの疾病に対してワクチンが開発され、その普及が進められてきました。しかし、ヒトの病気の中で、ワクチンによって地球上から完全に撲滅できた感染症は、現在のところ天然痘のみです。

* 1980年：世界保健機関（WHO）により、天然痘の世界的な撲滅が宣言されました。これは、ワクチン接種という人類の取り組みが、一つの感染症を完全に制圧した最初の、そして唯一の偉業です。

天然痘の撲滅という成功体験を経て、現在、世界的な規模で根絶を目指す感染症として、ポリオ（小児麻痺）とはしかが挙げられています。これらの疾病に対するワクチン接種キャンペーンが、現在も世界各地で精力的に進められています。

ワクチンの歴史は、人類が感染症の脅威に立ち向かい、公衆衛生を向上させてきた歩みそのものです。新たな感染症が出現し、既存の感染症が形を変える現代においても、ワクチン開発と普及は重要な課題であり続けています。

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