中濃攻略戦

中濃攻略戦（美濃）

中濃攻略戦は、永禄8年（1565年）から永禄9年（1566年）にかけて、尾張の織田軍と美濃の斎藤軍の間で繰り広げられた一連の戦いです。この戦いは、織田信長による美濃攻略の重要な一環であり、斎藤氏の勢力衰退と織田氏の台頭を決定づける転換点となりました。

中濃攻略戦に至るまで

稲葉山城占拠

永禄7年（1564年）、斎藤家家臣の竹中重治と安藤守就が反旗を翻し、稲葉山城を乗っ取る事件が発生しました。城主の斎藤龍興は城を捨てて逃亡。重治らは一時的に城を占拠しましたが、その後龍興に明け渡しました。この事件は、斎藤氏の統治能力の低下と家臣の離反を露呈させ、織田信長は美濃攻略を本格的に開始する契機となります。当初、信長は西濃攻略を重視していましたが、この事件を機に、中濃攻略へと戦略を転換しました。

中濃攻略戦

加治田衆調略

永禄8年（1565年）、美濃の有力豪族である加治田城主の佐藤忠能・忠康父子が、梅村良澤の説得と丹羽長秀の内通工作により織田方へ寝返りました。加治田衆の寝返りは、美濃攻略における重要な足掛かりとなり、斎藤氏の弱体化を加速させました。加治田城は飛騨、郡上、東濃への要衝であり、その影響は大きかったと言えます。

犬山城・烏峰城攻城戦

同年、信長は斎藤氏と同盟関係にあった犬山城主の織田信清の攻略を開始しました。信長は本拠地を清洲城から小牧山城に移し、尾張支配を強化すると同時に美濃中濃への侵攻を開始。森可成が先陣を切り、烏峰城（後の金山城）を攻略しました。信長は、美濃中濃を攻めることで斎藤龍興の勢力を削ぐ作戦を遂行しました。

鵜沼城攻城戦

織田軍は伊木山城を占領し、美濃方の最前線である鵜沼城攻略は、信長の家臣となったばかりの木下秀吉（後の豊臣秀吉）に任されました。鵜沼城主の大沢次郎左衛門は、小競り合いはしたものの、秀吉の説得を受け入れ開城しました。

猿啄城攻城戦

信長は犬山・栗栖に兵を進め、猿啄城を攻めました。城主の多治見修理は奮戦しましたが、援軍が来ず、丹羽長秀により水源を断たれたため、一族と共に退去しました。河尻秀隆が城主となり、城の名前を勝山城と改めました。

中濃三城盟約

関城主の長井道利の策により、堂洞城主の岸信周と加治田城主の佐藤忠能は同盟を結び（中濃三城盟約）、織田軍の中濃攻略を阻止しようとしました。この時、忠能の娘である八重緑が岸信房の養女となり人質として送られました。この同盟は、織田軍を一時的に足止めする効果がありました。

岸信周（岸一族）調略

信長は、岸信周の勇猛さを認め、金森長近を使者として堂洞城の説得を試みましたが、岸一族は同盟を重視し、説得を拒否しました。使者の目の前で人質の首を刎ねるという行為は、信長の怒りを買い、堂洞城攻略へと繋がりました。

加治田・堂洞合戦（堂洞合戦）

長井道利と岸信周は堂洞城に織田軍を誘い込み、加治田衆や斎藤龍興本隊と共に織田軍を壊滅させようとしましたが、佐藤忠能が織田軍に内通していました。そのことを知った岸方は人質の八重緑を磔にしました。しかし、その夜、加治田軍の西村治郎兵衛が八重緑の亡骸を奪い返し、手厚く葬りました。織田軍の援軍により、岸信周は奮戦しましたが、最後は自刃し、堂洞城は落城しました。

関・加治田合戦

堂洞城を攻略した後、織田軍は加治田城に宿泊しました。翌日、長井道利率いる関軍と斎藤龍興本隊が織田軍を襲撃しましたが、織田軍は退却。その後、長井道利は肥田忠政と共に加治田城を攻めましたが、織田軍の援軍と加治田衆の活躍により敗退しました。この戦いで関城は落城し、中濃地方は織田氏の勢力下となりました。

中濃攻略後（合戦後）

岸一族は滅亡しましたが、生き残った者もいました。岸信貞の子である岸新右衛門は森可成に仕えました。中濃攻略により、斎藤氏は東濃との連絡を断たれ、武田氏との同盟も無意味になりました。美濃三人衆は織田軍に内通し、斎藤氏の勢力は西濃のみとなりました。肥田忠政は降伏し、織田氏に仕えました。長井道利は斎藤龍興と共に美濃国から追放されました。斎藤龍興は家臣の裏切りにより勢力を失い、最終的に滅亡しました。

美濃斎藤氏は、信長の正室である濃姫の実弟、斎藤利治が継承し、美濃佐藤氏も織田氏の親族衆となりました。佐藤忠能は二代目加治田城城主となり、加治田衆は利治の親衛隊として仕えました。

脚注

参考文献

信長公記
堂洞軍記
永禄美濃軍記

関連項目

稲葉山城の戦い
中濃
加治田衆
美濃斎藤氏
日本史の出来事一覧
日本の合戦一覧

外部リンク

信長の美濃攻略 - ウェイバックマシン（2015年6月1日アーカイブ分）
美濃攻略中濃編
金山城の歴史 - ウェイバックマシン（2015年6月1日アーカイブ分）
美濃攻め―東美濃攻略
龍福寺 - 富加町｜日本最古の戸籍ゆかりの町

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