井田譲

井田譲（いだ ゆずる）

井田譲は、1838年11月8日に誕生し、1889年11月29日に逝去した日本の陸軍軍人及び官僚、外交官です。彼は最終的に陸軍少将の階級に達し、また元老院議官としても知られています。正三位、勲一等の称号を持ち、男爵の地位も与えられました。彼の本名は井田譲ですが、字は子載、通称は五蔵、号は雷堂や梧窓と言われています。

経歴

彼は大垣藩の儒者、井田徹助の長男として生を受け、後に安井息軒に師事します。大垣藩では、藩主の侍講や砲術教授、評定役、京都留守居役など重要な役職を務めました。そして、東方征討の一環である第2次長州征討に参加した後、鳥羽・伏見の戦いにも従軍しました。

1868年には新政府に仕官し、軍務官判事試補として官職をスタートさせました。その後、徴士として軍務官権判事、会計官権判事など多岐にわたる役職を歴任。さらには造幣局知事、生野県権知事、久美浜県知事、長崎県知事、大蔵大丞、兵部大丞、福岡藩知参事なども含まれます。1871年には陸軍少将に昇進しました。

さらに、鎮西鎮台出張、陸軍省秘史局長、福州在勤領事、上海在勤総領事としての職務を担い、1874年に再度陸軍に復帰。その後、広島鎮台司令長官や陸軍省各局の局長として活躍し、西南戦争においては山縣有朋の代理として陸軍卿に任命されました。

1880年3月には外交官に復帰し、オーストリアやフランスで特命全権公使としての任務を果たしました。1883年には帰国し、翌年9月19日には元老院議官に就任、また北白川宮別当も兼任しました。1889年の11月22日に男爵に叙爵され、華族となったのが彼の死の直前の出来事でした。

栄典

井田譲はその生涯に多くの栄典を受けました。位階では、明治3年6月に正六位、10月には従五位となり、以降も昇進を重ねました。1874年には正五位、1880年には従四位、1885年に正四位、1886年には従三位を授与され、最終的に1889年に正三位に至りました。

また、勲章に関しても多岐にわたります。1878年に勲二等旭日重光章、1888年には勲一等瑞宝章を受章しています。特に1889年には男爵に叙爵された後、大日本帝国憲法発布記念章も与えられました。外国の勲章でも、1881年にオーストリア＝ハンガリー帝国のフランツ・ヨーゼフ勲章、1883年にフランスのレジオンドヌール勲章、さらにポルトガルやスペインからも勲章を賜っています。

家族

井田譲には二人の息子がいましたが、その一人は陸軍少佐として知られる井田磐楠であり、彼は貴族院議員も務めました。また養孫の井田正孝は陸軍中佐でありながら実業家としても成功を収めています。さらに、娘の夫となる棚橋一郎も彼に関連する親族の一人です。

参考資料

彼の業績や生涯についての詳細な情報は、複数の文献や資料から確認できます。特に、秦郁彦の編纂による『日本陸海軍総合事典』や福川秀樹の『日本陸軍将官辞典』などが有名です。また、国立国会図書館の憲政資料室には井田譲に関する文書が保管されています。

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