仲石伴

仲石伴とその経歴

仲石伴（なか の いわとも）は、奈良時代に活動していた貴族であり、その姓は真人とされています。彼の最終的な官位は従四位下・左勇士率であり、彼に関する情報は主に『続日本紀』に残されています。石伴は、父母が不明の皇族であり臣籍降下を遂げた石津王と同一人物であるという説も存在します。石津王は藤原朝臣姓を賜姓され、藤原仲麻呂の養子となったため、彼の背景には皇族との関係があったと考えられます。

石津王の経歴

石津王は、孝謙天皇の治世において、天平勝宝元年（749年）に無位から従五位下に昇進しました。その後、天平勝宝5年（753年）に紀伊守に任ぜられました。さらに、天平勝宝9年（757年）には藤原朝臣姓を賜り、大納言である藤原仲麻呂の養子に迎えられることで臣籍降下しています。この経歴から判断すると、石津王は政権内における重要な立場にあったことが窺えますが、その記録は以上のもののみです。

仲石伴の経歴

仲石伴の名前が初めて登場するのは、『続日本紀』の天平宝字3年（759年）の記録に遡ります。この年、彼は淳仁天皇の父である舎人親王が崇道盡敬皇帝の尊号を追贈された際、従五位下から従四位下に昇進しました。この記録には、舎人親王の孫が同じく従四位下に叙せられていることから、石伴も彼の孫である可能性が指摘されています。石伴は藤原仲麻呂の娘を妻に迎えており、仲麻呂の政権下では河内守を始め、右虎賁衛督や左勇士率など、さまざまな武官を歴任しました。

重要な役割を果たしたのは、天平宝字5年（761年）で、この年には第14次遣唐使の遣唐大使に任命されました。しかし、天平宝字6年（762年）には、遣唐副使の変更と大使の交替が行われたことから、最終的には彼に代わって中臣鷹主が遣唐大使となりました。

また、天平宝字8年（764年）に発生した藤原仲麻呂の乱では、仲麻呂と共に行動した結果、近江国で敗死しています。これにより、石伴の生涯は波乱に満ちたものであったと言えるでしょう。彼の官歴は、その業績を物語っており、奈良時代の政治情勢において彼が果たした役割は無視できないものです。

官歴

石津王と仲石伴の官歴は以下の通りです。

• - 石津王

- 天平勝宝元年（749年）10月25日：従五位下（直叙）
- 天平勝宝5年（753年）4月22日：紀伊守
- 天平勝宝9年（757年）正月9日：臣籍降下（藤原朝臣）

• - 仲石伴

- 天平宝字3年（759年）6月16日：従四位下（越階）
- 天平宝字4年（760年）正月16日：河内守
- 時期不詳：右虎賁衛督
- 天平宝字5年（761年）10月22日：遣唐大使
- 天平宝字8年（764年）正月21日：左勇士率

参考文献

• - 宇治谷孟『続日本紀 （中）』講談社学術文庫、1995年
• - 仁藤敦史『藤原仲麻呂-古代王権を動かした異能の政治家』中央公論新社〈中公新書 2648〉、2021年6月21日。
• - 日本史史料研究会監修、赤坂恒明著『「王」と呼ばれた皇族』吉川弘文館、2020年

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