全端

全端：三国時代の武将

基本情報

全端（ぜん たん、生没年不詳）は、中国の三国時代に活動した武将で、主に呉に仕えていました。彼は揚州呉郡銭唐県出身であり、父の名前は記録に残っていませんが、叔父に全琮、従兄弟に全緒・全奇・全懌・全呉がいます。また、彼の従子には全禕・全静・全儀がいます。

生涯の重要な出来事

全端の名前が歴史に登場するのは、赤烏4年（241年）の芍陂の役です。この戦闘では、彼は孫権からの命令を受けて全琮の指揮下に入り、魏の将王淩と対峙しました。戦闘は非常に厳しいもので、五営将の秦晃が戦死するなどして呉軍は劣勢に立たされました。しかし、全氏一族をはじめ、張休や顧承らが果敢に戦った結果、呉軍は持ちこたえ、逆襲に転じることができたのです。ところが、戦後に与えられた恩賞は、全氏一族には薄く、張休や顧承に対しては厚遇されたことで不満が残りました。

一方、全琮の次男である全寄は、皇太子孫和の廃位を目論んで孫覇を支持します。これにより、全氏一族はこの状況を利用して、顧承と張休が不正を働いていると讒言し、これによって張休や顧譚らを交州に流罪に追いやりました。

建興元年（252年）には、孫権の死を受けて魏が侵攻してきました。全端は留略と共に、諸葛恪の命令で1000人の兵士を指揮して、東興の二つの城に立て籠もります。魏の将軍らが攻撃してくるものの、全端が守っていた城は容易には落ちなかったため、諸葛恪が魏軍を攻撃して勝利を収めることができました（東興の戦い）。

呉の栄華と全氏一族の影響

その後、孫亮の治世の下、全氏一族は侯に封じられる者が5人に達し、多くの要職を占めて栄華を極めました。しかし、太平2年（257年）には、魏の諸葛誕が反乱を起こすと、全端は全懌や他の全氏一族とともに救援軍を率いてその混乱に巻き込まれます。しかし、魏の司馬昭による厳格な包囲に加え、内部の紛争が影響し、全端らは孤立を余儀なくされ、全懌が降伏を決意し、全端もそれに倣う形で魏に降ったのです。

この一連の出来事は、全端や全氏の運命を大きく変えるものであり、全端は全懌と共に列侯に封じられることとなりました。

小説『三国志演義』では、全端は全琮の子、全禕の父という設定がなされており、彼の家族関係はより詳細に描かれています。

参考文献

• - 陳寿、裴松之注『正史 三国志』の各巻（1992-93年、ちくま学芸文庫）

このように、全端の生涯は、戦争や政治の複雑な舞台において彼の行動がどのように影響を与えたのかを示しています。全端の戦歴や家族の繋がりは、呉の歴史を理解するための重要な要素です。

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