王淩

王淩（おう りょう）

王淩（おう りょう、字は彦雲（げんうん））は、後漢末期から三国時代の魏に仕えた武将・政治家です。并州太原郡祁県（現在の山西省晋中市祁県）の出身です。

生涯

若年期と曹操への仕官

初平3年（192年）、李傕らが長安を制圧した際、司徒の王允をはじめとする一族が殺害されました。王允の甥であった王淩は、兄の王晨と共に長安を脱出し、故郷へと逃れました。

その後、孝廉に推挙された王淩は、発干県長、中山太守として優れた治績を挙げ、曹操に招聘され丞相掾属となりました。

魏への仕官と青州での善政

黄初元年（220年）、曹丕が皇帝に即位すると、王淩は散騎常侍、次いで兗州刺史に任じられました。黄初3年（222年）には、張遼らと共に呉の討伐に従軍し、戦功により建武将軍・青州刺史・宜城亭侯に昇進しました。

青州は戦乱の影響で法整備が不十分でしたが、王淩は刺史として行政を隅々まで行き渡らせ、善行を賞し悪事を罰することで綱紀を引き締めました。また、王基を別駕として重用し、王朗からの引き抜きを拒否したという逸話も残っています。青州では王淩の善政が称賛されました。

戦功と満寵との対立

黄初6年（225年）には、利成郡で発生した蔡方らの反乱を鎮圧しました。太和2年（228年）の石亭の戦いでは、曹休に随行し、魏軍が敗北する中で包囲を突破させ曹休を救出しました。同年、揚州刺史に転任すると、呉の孫布が降伏を申し出た際、これに応じようとしましたが、都督揚州諸軍事の満寵に諫止されました。満寵が召還された後、王淩は孫布を迎えに出撃しましたが、これは偽りの降伏であり、伏兵の攻撃により多くの兵を失いました。王淩と満寵は以前から不仲であり、満寵の召還は王淩の讒言によるものとされています。

豫州刺史と司空、太尉への昇進

景初元年（237年）、豫州刺史に転任し、過去の賢人の子孫を称賛し、在野の士を積極的に探し求めました。司馬朗や賈逵といった名士の業績を継ぎ、軍民から称賛を得ました。

正始元年（240年）には征東将軍・仮節都督揚州諸軍事に昇進し、正始2年（241年）の芍陂の役では、呉の全琮の侵攻を防ぎました。その功績により車騎将軍・儀同三司・南郷侯に昇進し、1350戸の領邑を与えられました。

正始9年（248年）に司空、嘉平元年（249年）には太尉に転任しました。

王淩の乱と最期

王淩は曹芳の幼さを憂い、甥の令狐愚と共に楚王曹彪を擁立する計画を立てました。令狐愚の死後、王淩は将軍楊弘を兗州刺史黄華のもとに派遣し、計画を打ち明けましたが、黄華と楊弘は司馬懿に密告しました。

嘉平3年（251年）、司馬懿が軍を率いて迫ると、王淩は降伏し、都へ送還される途中の項において毒を飲んで自殺しました。享年80歳。

司馬懿は、夢の中で王淩と賈逵に祟られたと伝えられています。

王淩の死後、クーデター計画が明るみに出され、曹彪は死を賜り、関係者は皆殺しにされました。王淩と令狐愚は反逆者として、その屍を晒されました。

西晋の時代になり、司馬炎（武帝）は、王淩と鄧艾が罪を認めたことを考慮し、大赦を下し、王淩の子孫がいなくても後継者を立てることを許可しました。

一族

王淩の子には、王広、王飛梟、王金虎、王明山がいました。王広は王淩の計画を諫止しましたが、飛梟と金虎は武勇に優れ、末子の明山は弓術や書芸に長けていました。しかし、彼らも王淩に連座して処刑されました。

妹は郭淮の妻でしたが、王淩に連座して逮捕されました。郭淮は当初、救おうとしませんでしたが、息子たちの懇願により救出しました。

王淩の一族である王玄謨は、南朝宋の時代に活躍し、「太尉の彦雲（王淩）の風有り」と評されました。

評価

王淩は、文武両道に秀でた人物として評価されていますが、晩年のクーデター計画は彼の名声を大きく傷つけました。

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