劉敬宣

劉敬宣（りゅう けいせん）

劉敬宣（371年 - 415年）は、東晋時代の軍人であり、字は万寿といいました。本貫は彭城郡彭城県です。

生涯

劉敬宣は、父である劉牢之の息子として生まれ、そのキャリアをスタートさせました。当初は王恭の部下として前軍参軍を務め、その後、会稽世子である司馬元顕の下で征虜参軍事となりました。

398年、王恭が京口で挙兵すると、劉牢之は王恭に従い先鋒を務めました。しかし、会稽王である司馬道子が劉牢之に朝廷につくよう説得する手紙を送り、劉敬宣もまた父を説得したため、劉牢之は王恭に反旗を翻しました。竹里で王恭の将軍である顔延を討ち、劉敬宣に高雅之らを率いさせ京口を襲撃させました。王恭が京口城から出たところを、劉敬宣は騎兵で横撃し、これを打ち破りました。司馬元顕が後将軍の称号を受けると、劉敬宣はその下で後軍諮議参軍となり、寧朔将軍の称号を加えられました。

399年、孫恩が反乱を起こすと、劉牢之がその討伐にあたり、虎矰で会戦しました。反乱軍の激しい抵抗により戦況は膠着しましたが、劉敬宣は騎兵を率いて南山を迂回し、反乱軍の背後を突きました。挟撃を恐れた反乱軍は敗走し、劉牢之らが進軍して会稽を平定しました。その後、劉敬宣は臨淮郡太守に任じられ、後軍従事中郎に転じました。

401年、孫恩が再び浹口に侵入しましたが、劉裕が句章に駐屯して防戦し、反乱軍は攻略できませんでした。劉敬宣は劉裕の援軍として赴き、孫恩を海上に追い落としました。この頃、東晋では反乱が頻発し、朝廷の弱体化が露呈していましたが、劉裕が度々反乱軍を打ち破り、その名を上げていました。劉敬宣は劉裕と親密な関係を築くようになりました。司馬元顕が驃騎将軍に進むと、劉敬宣もこれに従い驃騎府に移りましたが、司馬元顕の軽率な性格と相容れず、関係は悪化しました。その後、劉敬宣は輔国将軍の称号を受けました。

402年、劉牢之が西府の桓玄を討つことになり、司馬元顕が征討大都督となりましたが、司馬元顕は酒に溺れ、劉牢之との面会もままなりませんでした。桓玄が溧洲まで進軍すると、劉牢之に説得の手紙を送りました。劉牢之は司馬道子と司馬元顕の親子に見切りをつけ、桓玄に降伏しました。劉敬宣は劉牢之を諫めましたが、聞き入れられませんでした。劉敬宣は桓玄の府の諮議参軍となりました。

Huan玄が建康に入り、司馬元顕を殺害し、司馬道子を捕らえると、劉牢之は征東将軍・会稽郡太守に任じられました。劉牢之は劉敬宣と共謀して桓玄を襲撃する計画を立てましたが、予定の期日に劉敬宣が現れなかったため、計画が漏洩したと考えました。劉牢之は白洲に向かい、広陵に逃れようとしましたが、劉敬宣は京口に戻っていました。劉牢之はそれを知らず、劉敬宣が桓玄に捕らえられたと思い込み、絶望して自害しました。劉敬宣は父の死を知ると、長江を渡って司馬休之・高雅之らと合流し、洛陽に逃れ、長安まで行き来して、後秦の姚興に救援を求めました。姚興は劉敬宣に符信を与え、関東で兵を募集させると、劉敬宣は数千人を集めました。劉敬宣は彭城付近に戻り、桓玄に反対する人々を糾合しました。桓玄が孫無終を派遣して冀州刺史の劉軌を討たせると、劉軌は劉敬宣や高雅之らに山陽に拠らせて対抗させようとしましたが、劉敬宣は孫無終に敗れました。さらに昌平澗で敗北し、劉敬宣は劉軌らと共に南燕に亡命しました。

404年、劉敬宣は青州の豪族である崔氏や封氏らと結び、南燕の慕容徳を殺害し、司馬休之を新たな主として擁立する陰謀を企てました。高雅之は劉軌を計画に引き込もうとしましたが、劉敬宣は劉軌が同意しないとみて反対しました。高雅之は聞き入れず、劉軌に計画を告げましたが、やはり劉軌は従いませんでした。陰謀が露見したため、劉敬宣らは劉軌を殺害して逃亡し、淮水と泗水の間の地に入りました。この時、劉裕が京口を平定し、書信により劉敬宣を招いたため、劉敬宣は帰国しました。建康に入ると、輔国将軍・晋陵郡太守に任じられ、武岡県男に封じられました。

Huan歆が氐族の楊秋を率いて歴陽に侵攻すると、劉敬宣は建威将軍の諸葛長民と共にこれを撃破しました。Huan歆が単騎で淮水を渡って逃走すると、劉敬宣は楊秋を練固で斬り、凱旋しました。劉敬宣は建威将軍・江州刺史に任じられました。江州に赴任すると、軍糧の収集に尽力しました。桓玄の兄の子である桓亮が江州刺史を自称して豫章に侵攻し、苻宏が廬陵に侵攻すると、劉敬宣はこれらを撃退しました。

劉敬宣はかつて劉毅に対する陰口を叩いたことがあり、劉毅に恨まれていました。劉毅は劉裕のもとに人を派遣し、劉敬宣が江州刺史の地位にあるのは不相応であると吹き込みました。劉敬宣は不安を抱き、安帝が復位すると、自ら辞職を願い出ました。劉裕は度々劉敬宣を遊宴に招き、様々な贈り物を与え、彼への信任を示しました。その後、劉敬宣は冠軍将軍・宣城国内史・襄城郡太守に任じられました。

407年、劉敬宣は仮節・監征蜀諸軍事となり、5000の兵を率いて後蜀の譙縦を攻撃しました。三峡に入ると、巴東郡太守の温祚に2000人を与え長江沿いを騒がしく進軍させ、自らは益州刺史の鮑陋や輔国将軍の文処茂や龍驤将軍の時延祖らを率いて墊江から進軍しました。成都から500里にある遂寧郡の黄虎まで進軍しましたが、後蜀の輔国将軍である譙道福らに阻まれました。対峙すること60日以上、譙道福らの守りは堅く、劉敬宣の軍の食糧も尽き、軍中に疫病が蔓延し、死者が半数以上に達したため、劉敬宣は軍を撤退させました。譙縦は毛璩の一族やその妻女、文処茂の母の何氏、東晋の士人らの棺を長江に浮かべて流しました。劉敬宣はこれらの棺を全て回収し建康に帰りました。劉敬宣は敗戦の罪を問われ免官となり、封邑も3分の1に削られました。

409年、劉裕が南燕に対して北伐の軍を発すると、劉敬宣は中軍諮議参軍に任じられ、冠軍将軍の称号を加えられました。劉裕に従い臨朐で南燕の慕容超と会戦すると、劉敬宣は兗州刺史の劉藩らと共に奮戦し、慕容超を撃破しました。龍驤将軍の孟龍符が戦死したため、劉敬宣は彼の部隊を引き継ぎ、広固の包囲に参加しました。410年、盧循が建康に迫ると、劉敬宣は鮮卑の虎班突騎を率いて布陣し、盧循の進攻を阻止しました。使持節・都督馬頭淮西諸軍事・鎮蛮護軍・淮南安豊二郡太守・梁国内史に任じられました。盧循が敗走すると、劉敬宣は劉裕に従い南征し、左衛将軍の称号を受け、散騎常侍の位を加えられました。後に使持節・都督北青州諸軍事・征虜将軍・北青州刺史となり、清河郡太守を兼ねました。その後、冀州刺史も兼ねました。

415年1月、右将軍に進みました。劉裕が西征して司馬休之を討伐すると、劉敬宣の参軍である司馬道賜が閭道秀や王猛子らと結び広固で挙兵し、司馬休之と呼応しました。劉敬宣は閭道秀を召し出して問いただしましたが、側近がいなかったため、王猛子に刀で斬りつけられ殺害されました。享年は45歳でした。

劉敬宣の子である劉祖が後を継ぎましたが、南朝宋が建国されると、封国は除かれました。

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