勧修寺晴右

勧修寺晴右（かじゅうじ はるみぎ / はれみぎ）

勧修寺晴右は、戦国時代から安土桃山時代にかけて活躍した公卿です。内大臣・勧修寺尹豊の子として生まれ、室町幕府第12代将軍・足利義晴から偏諱を受け、初めは晴秀（はるひで / はれひで）と名乗りました。後に晴右と改名し、号を松国と称しました。

生涯

大永3年（1523年）に勧修寺尹豊の子として誕生した晴右は、天文19年（1550年）に参議・右大弁に任じられ、公卿としてのキャリアをスタートさせます。

天文22年（1553年）には、山科言継らと共に東山霊山城に赴き、将軍・足利義輝と面会しました。天文24年（1555年）には権中納言に昇進し、朝廷内での地位を確立していきます。

永禄8年（1565年）には、三好義継から太刀を贈られるなど、武家との交流も深く、永禄10年（1567年）には、足利義栄の配下である畠山維広に樽代を、畠山伊豆守には太刀を贈っています。また、同年の12月には、義栄と摂津富田で対面するなど、義栄との関係も深めていました。

永禄11年（1568年）には、名を晴秀から晴右に改め、畠山維広や水無瀬親氏と義栄の将軍宣下について話し合い、その結果、義栄が朝廷から将軍に任じられることになりました。

しかし、義栄が阿波に退去し、織田信長の支援を受けた足利義昭が新将軍となると、義栄派の公家であった晴右は朝廷を追われ、武家伝奏の職を解かれ蟄居を命じられました。その後、永禄13年（1570年）には、山科言継らと共に織田信長のもとに礼に訪れますが、関白・二条晴良と加賀の公家領・井家荘の領有をめぐって争い、足利義昭は晴良を勝訴とした一方で、晴右を敗訴としました。この裁定は、正親町天皇が晴右に荘園を安堵する裁決を下していたにもかかわらず、義昭が勅命を無視したものであり、晴右にとっては不満の残る結果となりました。

天正元年（1573年）には権大納言に昇進し、天正2年（1574年）には正二位となります。天正4年（1576年）には、村井貞勝と石山本願寺の戦闘について、他の公家と共に話し合い、勅使の派遣を求められました。晴右の嫡子である晴豊は、甘露寺経元と共に勅使として信長の元へ赴きます。

しかし、同年6月には南都伝奏として興福寺別当の人事に介入したことが信長の怒りを買い、他の公家と共に蟄居を命じられます。その後、8月には赦免され、同年12月に出家し、松国と号しました。

天正5年（1577年）1月1日に55歳で亡くなりましたが、天正14年（1586年）には内大臣、慶長4年（1599年）には左大臣を追贈されました。

人物

晴右は、武家伝奏として、足利将軍家や三好氏、織田信長など、当時の有力者たちと交流がありました。また、彼の日記である『晴右公記』（晴右記）は、当時の出来事を詳しく知ることができる貴重な史料として、京都大学に所蔵されています。

系譜

父：勧修寺尹豊（1503-1594）
母：伊勢貞遠の娘
正室：粟屋元子 - 粟屋元隆の娘
男子：勧修寺晴豊（1544-1603）
女子：勧修寺晴子（1553-1620） - 誠仁親王妃
男子：万里小路充房（1562-1626） - 万里小路輔房の養子
生母不明の子女
男子：日袖 - 立本寺住持
女子：正親町三条公仲室

参考文献

山田康弘『足利義輝・義昭 天下諸侍、御主に候』ミネルヴァ書房〈ミネルヴァ日本評伝選〉、2019年12月。
榎原雅治; 清水克行 編『室町幕府将軍列伝』戎光祥出版、2017年。

関連項目

畿内・近国の戦国時代

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