博多運転区

博多運転区（はかたうんてんく）は、九州旅客鉄道（JR九州）本社鉄道事業本部の直轄下にある乗務員の拠点施設です。現在の所在地は福岡県福岡市博多区の博多駅近傍に位置しており、列車を運転する乗務員が所属しています。

かつて、この組織は福岡市博多区内の鹿児島本線竹下駅構内に存在し、南福岡車両区竹下車両派出の前身となる施設が隣接していました。さらに歴史を遡ると、竹下気動車区や竹下客車区という名称で、多くの車両が実際に配置されている車両基地としての機能も担っていました。しかし現在は、車両基地としての機能は分離され、乗務員部門のみが博多駅近くに移転して活動しています。

沿革

博多運転区の組織としての変遷は多岐にわたります。

1953年（昭和28年）3月：吉塚機関区の配下にある竹下支区として発足しました。
1957年（昭和32年）11月：独立した組織となり、竹下気動車区が誕生します。
1987年（昭和62年）4月1日：国鉄の分割民営化が実施され、組織はJR九州に承継され、同社本社の直接管理下に置かれることになります。
1991年（平成3年）：この年、それまで配置されていた車両が直方気動車区へ移管されました。これにより、基地での作業は列車の仕業検査（日々の簡単な点検）のみとなり、組織名も博多運転区へと改められました。また、博多駅を発着する特急列車の折り返し時の整備を行う基地とするため、構内の改良工事が始まりました。
1992年（平成4年）：構内の電化および改良工事が完了しました。
2001年（平成13年）：組織の管轄が本社直轄から、新設された北部九州地域本社の管轄へと変更されました。
2010年（平成22年）：再び本社直轄の組織に戻され、現在に至ります。

南福岡車両区竹下車両派出

南福岡車両区竹下車両派出は、博多運転区がかつて車両基地機能を担っていた時代の名残を受け継ぐ施設です。鹿児島本線竹下駅の構内に位置し、福岡市博多区に所在するJR九州本社鉄道事業本部管轄の南福岡車両区に属する派出所（支所）にあたります。

過去には、筑豊エリアの各路線や香椎線で運用されるディーゼルカーがここに配置されていました。しかし、1991年（平成3年）の組織再編時に車両配置は全て直方気動車区へ移管されたため、現在、竹下車両派出自体には常時配置される車両はありません。

博多運転区の乗務員部門と検修部門が分離された際、検修部門は筑豊篠栗鉄道事業部竹下車両基地として独立しましたが、その後南福岡車両区に統合され、現在の竹下車両派出という形になりました。

現在は、直方車両センター所属の電車や気動車が常駐しています。長らくディーゼルカーの常駐が主でしたが、2019年（平成31年）3月からは蓄電池を搭載した電車であるBEC819系が常駐するようになり、電車の運用拠点としての役割も担うようになりました。

この基地は、主に香椎線で運用される列車や、特急「ゆふいんの森」で使用される専用車両の留置場所として利用されています。そのほか、博多駅で終着となった特急電車の回送・留置や、豪華観光列車「ななつ星 in 九州」の運用に備えた準備や清掃、熊本車両センター所属のDE10形ディーゼル機関車の留置、小倉総合車両センターへの入出場に伴う夜間の一時的な留置など、多岐にわたる用途で活用されています。竹下基地と博多駅の間には、営業線とは別に「小運転線」と呼ばれる単線の回送線が並行して設けられています。

運用拠点としている留置車両（主なもの）

BEC819系（直方車両センター所属）
キハ40形・キハ47形（直方車両センター所属。主に原田線運用車。2019年 3月の営業運転終了後、一部車両の併車として使用されることも）
キハ71系（特急「ゆふいんの森」、直方車両センター所属）
キハ72系（特急「ゆふいんの森」、直方車両センター所属）
DE10形（熊本車両センター所属）

1987年 4月1日時点の配置車両

国鉄民営化時点では以下の車両が配置されていました。

キハ30形
キハ31形
キハ40形・キハ47形
キハ58系
キハ65形
マニ50形（救援車としての代用）

配置車両の車体に記されていた略号

過去に車両が配置されていた時代の車体には「本タケ」という略号が記されていました。これは、組織が本社直轄であることを示す「本」と、竹下駅の電報略号である「タケ」を組み合わせたものです。

運転士乗務範囲

博多運転区に所属する運転士は、以下の広範囲な路線を担当しています。

鹿児島本線（門司港駅から荒尾駅の間）
長崎本線（鳥栖駅から江北駅の間）
佐世保線（江北駅から早岐駅の間）
大村線（早岐駅からハウステンボス駅の間）
香椎線（全線）
筑肥線（姪浜駅から西唐津駅の間）
久大本線（久留米駅から由布院駅の間）
福北ゆたか線（博多駅から直方駅の間）