吉士雄成

吉士雄成（きし の おなり）について

吉士雄成（きし の おなり、生没年不詳）は、飛鳥時代に活躍した豪族であり、難波吉士雄成（なにわのきし おなり）とも呼ばれていました。彼は、外交事務で重要な役割を担った吉士氏の一員として、遣隋小使を務め、小野妹子に従って隋へ渡ったことで知られています。

吉士氏の出自と活躍

吉士氏は、外交分野で多くの功績を残した一族です。吉士磐金（きしのいわかね）が新羅に派遣されたのは推古天皇5年（597年）のことであり、舒明天皇5年（633年）1月には、吉士氏の一族が唐の使者である高表仁（こうひょうじん）らの送使を務めています。さらに、白雉4年（653年）5月には、吉士長丹（きし の ながに）・吉士駒（きし の こま）が遣唐使として派遣されており、吉士氏が外交において重要な役割を担っていたことが伺えます。

遣[[隋使]]としての活動

吉士雄成が歴史に登場するのは、推古天皇16年（608年）のことです。彼は朝廷の命を受け、筑紫に派遣され、遣[[隋使]]として帰国した小野妹子に同行してきた隋の使者、裴世清（はいせいせい）らを迎えました。この際、朝廷は隋の使者のために、難波の高麗（こま）の館の上に新しい館（むろつみ）を建設しています。

同年9月、吉士雄成は再び遣[[隋使]]として、大使である小野妹子や通事（通訳）の鞍作福利（くらつくりのふくり）と共に隋へ渡りました。この時、隋の煬帝（ようだい）に宛てた国書には、小野妹子とともに吉士雄成の名前も記されていたとされています。

その後の記述から、吉士雄成は同年中に小野妹子と共に帰国したと考えられています。しかし、その後の彼の事績については、詳しい記録が残されていません。ただ、『聖徳太子伝暦』には彼の名前が登場することから、当時の社会において一定の認知度があったことが窺えます。

まとめ

吉士雄成は、飛鳥時代の外交において重要な役割を担った人物であり、吉士氏という外交に長けた一族の一員でした。遣[[隋使]]として、小野妹子と共に隋に渡った彼の活動は、当時の国際関係を考える上で重要な手がかりとなります。しかし、その後の詳しい事績が不明であるため、今後の研究が待たれる人物でもあります。

参考資料

『日本書紀 四』岩波書店〈岩波文庫〉、1995年。
直木孝次郎『古代国家の成立』中央公論社〈日本の歴史 2〉、1965年。
宇治谷孟 訳『日本書紀 全現代語訳 下』講談社〈講談社学術文庫〉、1988年。
坂本太郎、平野邦雄 編『日本古代氏族人名辞典』吉川弘文館、1990年。ISBN 4642022430。
* 佐伯有清 編『日本古代氏族事典』雄山閣、2015年。

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