囲碁のルール

囲碁のルール

囲碁は、古代から伝わるボードゲームで、その基本的なルールは長い歴史の中で大きく変わっていません。しかし、より公平で、より楽しめるように、細かい調整が続けられてきました。本稿では、日本で広く採用されている日本ルールを中心に、囲碁のルールを詳しく解説します。

概要

囲碁のルールは、日本、中国、韓国など、地域によって少しずつ異なっています。主なものとして、日本棋院が定める「日本ルール」と、中国で採用されている「中国ルール」があります。これらのルールは、通常の結果は変わりませんが、稀に「セキ」という状態が発生した場合に、勝敗が逆転することがあります。また、コンピュータ[[囲碁]]の世界では、「Tromp-Taylor方式」が標準的に採用されることが多いです。

日本では、1932年に安永一が「囲碁憲法草案」を発表するまで、ルールが成文化されていませんでした。その後、1949年に日本棋院が公式ルールを制定しました。

囲碁のルールを理解する上で重要なのは、単なるルールの暗記ではなく、対局者同士の信頼関係に基づいた信義則を重んじることです。日本囲碁規約にも「この規約は対局者の良識と相互信頼の精神に基づいて運用されなければならない」と明記されています。特に、終局処理においては、両者の合意が不可欠であり、円滑に対局を進めるために、この信義則は非常に重要です。

基本ルール

対局者

囲碁は、黒と白の石を使う2人のプレイヤーによって行われます。黒の石を使う人を「黒番」、白の石を使う人を「白番」と呼びます。

碁盤と石

碁盤の線が交差する点に、黒と白の石を交互に打ちます。石は一度置いたら、原則として動かすことはできません。

地（じ）

自分の石で囲った領域を「地」と呼び、地が多い方が勝ちとなります。相手の石を囲んで取ることができます。

石のつながり

同じ色の石が縦横に連続している状態を「石の一団」と呼びます。斜めにつながっていても、石の一団とは見なしません。

石の取り方

石の一団は、その周囲の交点全てを相手の石で囲まれると取られます。石の周りの空いている点を「呼吸点」といい、呼吸点がすべて塞がれると、その石は取られてしまいます。

着手

黒と白のプレイヤーは、交互に盤上の空いている交点に石を打ちます。ただし、自分の石を打つと、その石がすぐに取られるような場所（「自殺手」）には打てません。また、パスすることも可能です。

コウ

「コウ」とは、石を取り合うと、同じ盤面が繰り返される状態を指します。コウが発生した場合、一方のプレイヤーがコウの石を取った直後には、もう一方のプレイヤーはすぐには取り返すことができません。別の場所に一手を打ってから、取り返すことができます。このコウを解消するために打つ手を「コウ材」と言います。

終局

終局は、以下のいずれかの条件で迎えます。

どちらかのプレイヤーが「投了」した場合
両方のプレイヤーが連続でパスをした場合

終局時には、盤上の石の生死を判定し、死んだ石を取り除き、地を数えます。

死活判定

盤上の石は、「活き」と「死に」のどちらかの状態になります。「活き」とは、相手に取られない状態、または取られても再度相手に取られない状態を指します。「死に」とは、活きではない状態を指します。

地の数え方

自分の石で囲んだ領域を「地」と呼びます。地は、交点の数を数えます。また、「セキ」と呼ばれる特殊な状態もあります。

死石の処理

死んだ石は盤上から取り除き、相手の「ハマ」に加えます。ハマは、相手の地を埋めるために使用します。

勝敗判定

地の数え方

地の数を数え、その多い方が勝ちとなります。通常、終局後には、アゲハマを自分の地に埋めてから、地を数えます。これを「整地」と呼びます。

コミ

先手である黒番が有利なため、現代のルールでは、白番に「コミ」と呼ばれるハンディキャップが与えられます。日本ルールでは、コミは通常6目半です。

中国ルール

中国ルールでは、地の数と盤上の生きている石の数の合計で勝敗を決めます。このため、セキの存在により、日本ルールと勝敗が変わることがあります。

ハンディキャップ

実力差がある場合は、下手な方が黒番を持ち、あらかじめ石を置いてから対局を行うことがあります。これを「置き碁」と呼びます。また、コミなしの「定先」や、黒番がコミをもらう「逆コミ」などのルールで対局することもあります。

反則行為

囲碁には、以下のような反則行為があります。

ハガシ: 一度打った自分の手を打ち直す行為
二度打ち: 相手の手番を飛ばして、連続で打つ行為
コウの取り番の間違い: コウのルールを無視して、すぐに取り返す行為
着手禁止点: 打つとすぐに取られてしまう場所に打つ行為

これらの反則行為を犯すと、反則負けとなります。

バリエーション

囲碁には、ルールを一部変更した様々なバリエーションが存在します。これらのバリエーションについては、「囲碁のバリエーション」の項目を参照してください。

参考文献

林裕『囲碁百科辞典』金園社、1975年。
関口晴利『囲碁ルールの研究』文芸社、2007年。

関連項目

計点制ルール
純碁
ポン抜き[[囲碁]]
切り賃

外部リンク

日本囲碁規約 - 日本棋院
囲碁ルール博物館

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