国民詩曲

国民詩曲について

国民詩曲は、1938年から1940年にかけて、当時のJOAK（現在のNHK）が17曲の管弦楽曲を委嘱したプロジェクトです。この企画では、日本の民謡旋律を主題とすることが作曲家への条件とされました。JOAKのラジオ放送を通じて初演され、当時の音楽界に大きな影響を与えました。

作品リスト

以下に、作曲者名の五十音順で作品を列挙します。

飯田信夫：夏祭り
池内友次郎：馬子歌
大木正夫：日本狂詩曲第1番
太田忠：狂詩曲第一
大中寅二：お茶節による前奏と歌
清瀬保二：日本民謡の主題による幻想曲
江文也：田園詩曲
須賀田礒太郎：東北と関東
菅原明朗：明石海峡
杉山長谷雄：富士、箱根の印象
服部正：日本風牧歌
平尾貴四男：機織唄による変奏曲
深井史郎：日本民謡による嬉遊曲
松平頼則：南部子守唄を主題とするピアノと管弦楽のための変奏曲
宮原禎次：ピアノと管弦楽のための交響曲第2番
山田和男：交響的木曽
山本直忠：日本幻想曲

評価

作曲家の早坂文雄は、著書『日本的音楽論』の中で、国民詩曲に関する随筆を執筆しており、多くの作品に対して厳しい評価を下しています。しかし、山田和男の『交響的木曽』については「国民詩曲中最上位に置かれるべき佳品」と高く評価しました。

また、山田の『交響的木曽』は、少年時代の外山雄三に深い感銘を与え、後に彼の代表作の一つとなる『管弦楽のためのラプソディ』を作曲するきっかけになったとされています。このエピソードからも、国民詩曲が日本の音楽史に与えた影響の大きさが伺えます。

参考文献

片山杜秀「空白の時代を発掘せよ!」『レコード芸術』2001年4月号、音楽之友社、2001年3月20日。

もう一度検索