国訳大蔵経

国訳大蔵経とは

国訳大蔵経（こくやくだいぞうきょう）は、大乗仏教の漢訳経典を日本語に翻訳した大蔵経の一部です。この経典は、日本国内のさまざまな宗派における重要な経典を中心に編纂・翻訳されており、宗教的な意義を持つ重要な資料とされています。

発行の歴史

大正時代に入り、国民文庫刊行会によって経部が1917年から1918年にかけて和綴本形式で12帙48冊として刊行され、その後、より扱いやすい洋装で再版されました。さらにこの経典は、1930年から1939年の期間にも出版され、その後1974年より第一書房によって復刻版が出版されています。現在では、近代デジタルライブラリーにおいて全文がオンラインで閲覧可能となっています。

構成と内容

国訳大蔵経は、経部、論部、さらには付録から構成されています。全体で31巻に及び、以下のように分類されています。

経部

経部は全14巻から成り、主な内容は以下の通りです。

• - 第1巻: 法華三部経、浄土三部経
• - 第2巻: 般若経（大品）
• - 第3巻: 大般若経、第十般若理趣分、金剛経、仁王経、般若心経、勝鬘経など
• - 第4巻: 円覚経、入楞伽経、首楞厳経
• - 第5巻: 華厳経
• - 第6巻: 華厳経
• - 第7巻: 華厳経
• - 第8巻: 涅槃経
• - 第9巻: 涅槃経
• - 第10巻: 維摩経、大日経、解深密経など
• - 第11巻: 金光明経、過去現在因果経、遺教経、四十二章経、尸迦羅越六方礼経など
• - 第12巻: 弥蘭陀王問経、法句経、長老偈、長老尼偈
• - 第13巻: 仏本行集経
• - 第14巻: 仏本行集経

論部

論部は全15巻として、主に以下の内容が収められています。

• - 第1巻: 大智度論
• - 第2巻: 大智度論
• - 第3巻: 大智度論
• - 第4巻: 大智度論
• - 第5巻: 大乗起信論、中論、百論、十二門論、十住毘婆沙論易行品、無量寿経優婆提舎願生偈、妙法蓮華経優婆提舎など
• - 第6巻: 瑜伽師地論
• - 第7巻: 瑜伽師地論
• - 第8巻: 瑜伽師地論
• - 第9巻: 瑜伽師地論
• - 第10巻: 成唯識論、摂大乗論
• - 第11巻: 倶舎論
• - 第12巻: 倶舎論
• - 第13巻: 倶舎論、入阿毘達磨論、十地経論、異部宗輪論
• - 第14巻: 大品・小品
• - 第15巻: 成実論、因明入正理論

付録

さらに、戒律研究に関する付録が2巻含まれています。このように、国訳大蔵経は仏教教義や実践に関する広範な情報を提供しており、日本の仏教において重要な役割を果たしています。

まとめ

国訳大蔵経は、日本の仏教界において深い影響を与えた経典集です。仏教の教えを現代に伝えるだけでなく、各宗派の教義の理解を深めるための重要な資源ともなっています。この貴重な文献は、今後も学術研究や宗教実践において活用され続けることでしょう。

もう一度検索