夷守岳

夷守岳（ひなもりだけ）

概要

夷守岳は、九州南部に位置する霧島連山の北東端に位置する火山です。霧島連山の中心部にある獅子戸岳から北東へ連なる山々、大幡山、大幡池、丸岡山を経て、その北端に位置しています。小林盆地にそびえ立つ急峻な山容が特徴的で、その姿から「生駒富士」と呼ばれることもあります。山の南東山腹には夷守台と呼ばれる台地があり、北部の麓には生駒高原が広がっています。

地質

夷守岳は、霧島火山群の中でも比較的新しい火山に分類されます。約3万8千年前の火山活動でアワオコシ軽石を噴出し、古夷守岳が形成されました。しかし、約3万5千年前には山体崩壊を起こし、その姿は大きく変化しました。この山体崩壊によって発生した大規模な岩屑なだれは、小林盆地の南西部に丘陵地形（流れ山）を形成しました。現在の夷守岳の山体は、山体崩壊直後の噴火と約3万3千年前の噴火によって形成されたものです。

生物

夷守岳の東側と西側の斜面は、標高1000メートル付近までスギやヒノキの人工林が広がっています。一方、北側斜面には天然の植生が残されており、標高によって様々な植物が分布しています。標高600〜750メートル付近にはイスノキ、ウラジロガシ、スダジイなどが、750〜1250メートル付近にはモミ、ツガ、コガクウツギなどが、1250メートル付近にはシラキ、ブナ、ミズナラなどが、そして山頂付近にはマンサク、クマシデ、コツクバネウツギなどが生育しています。

歴史

夷守岳の名前は、小林盆地周辺の古地名「夷守」に由来しています。江戸時代には「雛守岳」とも表記されていました。また、山の中腹にある筑地には、享保14年（1729年）から明治6年（1873年）まで、霧島六社権現の一つである霧島山中央六所権現宮（霧島岑神社）が鎮座していました。

まとめ

夷守岳は、霧島連山の北東部に位置する火山であり、その形成過程や多様な植生、歴史的な背景など、多くの魅力を持つ山です。登山や自然観察を通じて、夷守岳の魅力を感じてみてはいかがでしょうか。

参考文献

宮崎県総合博物館編・発行　『宮崎県総合博物館総合調査報告書　霧島山の動植物』　2004年

関連項目

霧島山

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