姑臧県

姑臧県（こぞうけん）は、かつて中国に存在した県で、現在の甘粛省武威市一帯に位置していました。

歴史

姑臧県は、涼州の治所として、十六国時代の前涼と後涼が都を置いたほか、南涼と北涼も都を置いたことがあり、「五涼古都」と称されています。その起源は古く、元々は匈奴が築いた城塞（現在の武威鎖陽城城址とされる）であり、「蓋臧」が転訛して姑臧になったとされています。また、城が龍の形をしていたことから「臥龍城」とも呼ばれていました。

前漢時代になると臧県が置かれ、武威郡に属しました。後漢に入ると武威郡の治所となり、漢族、羌、匈奴など多様な民族が雑居し、東西交易の要衝であったため、河西地方において富裕な地域となりました。

三国時代の魏の時代には、涼州の治所となりました。西晋時代の永寧元年（301年）に張軌が涼州刺史となると、姑臧から涼州を治めました。八王の乱による戦乱を避けて中原から多くの人々が涼州へ移住し、姑臧は漢族文化の重要な拠点、そして仏教が東へ伝わる要地となりました。晋が東遷すると、前涼の都となり、元来あった姑臧城の外に城壁を4つ築き、文化と経済が大きく発展しました。しかし、升平20年 / 建元12年（376年）に前涼が前秦に滅ぼされると、七千余戸が宣昭帝の命によって関中に移住させられました。

太安元年（385年）に呂光が涼州刺史となると、翌太安2年（386年）に自立して後涼を建て、姑臧を都としました。西域から来た高僧である鳩摩羅什がこの地で講経を行い、仏教が大いに栄えました。

弘始8年（406年）、後秦の文桓帝から涼州刺史に任じられた南涼の景王が姑臧に進駐し、嘉平元年（408年）に楽都から都を移しました。嘉平3年 / 永安10年（410年）には、北涼の武宣王が兵3万を率いて姑臧を攻略しました。玄始元年（412年）には張掖から都を移し、姑臧の南に位置する天梯山に大仏像を建立しました。武宣王から国師と仰がれた西域僧の曇無讖は、『大般涅槃経』など十数部の経典を翻訳しました。

承和7年/ 太延5年（439年）に北魏が北涼を降すと、姑臧城内の二十余万戸を収容しました。姑臧県は林中県と改名されましたが、武威郡の治所であり続けました。隋末唐初に李軌が涼を建てるとその都とし、唐代には吐蕃に占領されました。清代に武威県と改名されました。

このように、姑臧県は、その長い歴史の中で、政治、経済、文化の中心地として重要な役割を果たしました。

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