宇佐美誠次郎

宇佐美誠次郎：マルクス経済学の探求者

宇佐美誠次郎（うさみ せいじろう、1915年1月21日 - 1997年4月25日）は、日本のマルクス経済学者であり、法政大学の名誉教授を務めました。彼の研究は、日本の資本主義の構造や国家財政、そして独占資本の分析に焦点を当てていました。

生涯と学歴

宇佐美誠次郎は東京で生まれ、1937年に東京帝国大学経済学部を卒業しました。その後、東方文化学院東京研究所員、日本銀行調査局嘱託を経て、1948年に法政大学の教授に就任しました。法政大学では原社会問題研究所長も務め、1960年には「臨時軍事費」に関する研究で経済学博士号を取得しました。1985年に定年退任し、名誉教授となりました。また、日本ドイツ民主共和国友好協会の理事長も務めました。

研究活動

宇佐美誠次郎は、マルクス経済学を基盤とした研究を行い、特に国家財政や独占資本に関する分析で知られています。「日本資本主義講座」(岩波書店)では中心的な編集者として活躍しました。彼の研究は、当時の日本の経済状況を分析し、その構造的な問題を明らかにするものでした。

主要な著書

宇佐美誠次郎は、多数の著書を発表しています。

『日本の独占資本 その解体と再編成』（新評論社、1953年）
『宇佐美誠次郎小論集』（宇佐美誠次郎小論集刊行会、1976年）
『学問の五〇年 経済学エッセイ集』（新日本出版社、1985年）
『財政学』（青木書店、1986年）

これらの著書は、彼の研究成果をまとめたものであり、今日の経済学研究においても重要な資料となっています。

共編著・監修

宇佐美誠次郎は、他の研究者との共同研究も多く行いました。

『国家独占資本主義論 日本経済の現段階分析』（井上晴丸共著、潮流社、1950年）
『危機における日本資本主義の構造』（井上晴丸共著、岩波書店、1951年）
『経済学講座 第2巻 現代資本主義の経済と政治 第1』（長洲一二共編、大月書店、1954年）
『現代財政論』（谷山治雄共編、大月書店、1955年）
『マルクス経済学体系』全4巻（宇高基輔,島恭彦共編、有斐閣、1963年）
『マルクス主義経済学講座』（見田石介,横山正彦共監修、新日本出版社、1971年）
『いま「税制改革」を考える』（谷山治雄、鷲見友好、佐藤昌一郎、安藤実、中村義勝共著、青木書店、1987年）

これらの共著・監修を通じて、宇佐美誠次郎は多くの研究者と協力し、経済学の発展に貢献しました。

翻訳

宇佐美誠次郎は、海外の経済学者の著作を翻訳し、日本の経済学界に紹介しました。

カール・ウィットフォーゲル『支那社会の科学的研究』（平野義太郎共訳、岩波新書、1939年）
エドガア・スノウ『中国の赤い星 上』（杉本俊朗共訳、永美書房、1946年）
エドガー・スノウ『中国の赤い星』（筑摩書房、1952年、新版1962年、筑摩叢書1964年）
ユルゲン・クチンスキー『戦後西ドイツの政治と経済』（良知力・池田優三共訳、未来社、1959年）
フリードリヒ・エンゲルス『「資本論」綱要 他九篇 新訳版』（宇高基輔共訳、大月書店、国民文庫、1967年）
ルドルフ・ヘルボルン『西ドイツの独占資本 西欧市場への進出』（監訳、法政大学出版局、1968年）
ユルゲン・クチンスキー『国家・経済・文学 マルクス主義の原理と新しい論点』（法政大学出版局、りぶらりあ選書、1971年）
* テーケイ・フェレンツ『社会構成体論』（羽仁協子共訳、未来社、1977年）

これらの翻訳を通じて、宇佐美誠次郎は海外の経済学の知識を日本に導入し、日本の経済学の発展に大きく貢献しました。

論文

宇佐美誠次郎の論文は、Ciniiで確認することができます。

まとめ

宇佐美誠次郎は、日本のマルクス経済学の発展に大きく貢献した研究者です。彼の研究は、国家財政や独占資本、そして日本資本主義の構造的な問題に焦点を当て、経済学の発展に重要な貢献をしました。彼の著作や翻訳は、今日の経済学研究においても重要な資料として活用されています。

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