宇文導

宇文導（うぶん どう）

宇文導（511年 - 554年）は、中国南北朝時代の西魏から北周にかけて活躍した人物です。北周の宗室であり、西魏の十二大将軍の一人としてその名を馳せました。字は菩薩、宇文泰の甥にあたります。

生涯

宇文導は、宇文泰の長兄である宇文顥の子として生まれました。若い頃から叔父である宇文泰らとともに各地を転戦し、その武勇を発揮しました。528年には、葛栄の軍が敗れると、晋陽に移り住みました。

その後、宇文泰に従って賀抜岳の下で関中に入り、数々の戦いに参加しました。534年、宇文泰が侯莫陳悦を討伐すると、宇文導は都督に任じられ、原州に駐屯しました。侯莫陳悦が北方に敗走すると、宇文導は騎兵を率いて追撃し、牽屯山でこれを討ち取り、その首を長安に届けました。この功績により、饒陽県侯に封じられ、冠軍将軍の号と通直散騎常侍の位を授けられました。

535年に西魏が建国されると、宇文導の爵位は公に進み、使持節・散騎常侍・車騎大将軍・左光禄大夫の位を受けました。537年、宇文泰が東征すると、宇文導は宿衛として都に残り、領軍将軍・大都督に任じられました。高歓が黄河を渡って馮翊に侵入しようとしたため、宇文泰は弘農から軍を率いて関中に入り、宇文導は左右の禁軍を率いて沙苑で宇文泰と合流し、高歓軍を撃破しました。この功績により、位は儀同三司に進みました。

538年、西魏の文帝が親征を行うと、宇文導は華州刺史として留守を守りました。趙青雀・于伏徳・慕容思慶らが反乱を起こすと、宇文導は華州から軍を率いて鎮圧に当たり、于伏徳を捕らえ、慕容思慶を斬るという活躍を見せました。渭橋に進軍して宇文泰の軍と合流し、趙青雀を平定すると、宇文導の爵位は章武郡公となりました。その後、侍中・開府儀同三司・驃騎大将軍・太子少保の位を加えられました。

東魏の高仲密が北豫州で西魏に降伏すると、宇文泰は皇太子元欽を擁して東征を行い、宇文導を大都督・華東雍二州諸軍事とし、華州刺史を代行させました。西魏軍は敗北し、東魏軍が稠桑まで追撃してきましたが、宇文導が関中で防備を固めていたため、撤退しました。547年、隴右大都督・秦南秦等十五州諸軍事・秦州刺史に任じられました。551年、北斉の文宣帝が帝を称すると、宇文泰は西魏軍を率いて北斉を討伐し、西魏の文帝は斉王元廓を隴右に派遣し、代わりに宇文導は召還されました。大将軍・大都督・三雍二華等二十三州諸軍事に任ぜられ、咸陽に駐屯しました。西魏軍が帰還すると、隴右に戻りました。

宇文泰が出征するたびに、宇文導は留守を守り、西魏の朝廷から厚い信頼を受けていました。554年12月、上邽で死去しました。享年44。本官に加え、尚書令・秦州刺史の位を追贈されました。諡は孝。570年には、重ねて太師・柱国・豳国公の位を贈られました。

子女

宇文導には多くの子がおり、彼らもまた北周の時代に活躍しました。

宇文広（字は乾帰、豳国公）
宇文亮（字は乾徳、杞国公）
宇文翼（字は乾宜、西陽郡公）
宇文椿（字は乾寿、杞国公）
* 宇文衆（字は乾道、天水郡公）

伝記資料

宇文導の事績は、『周書』巻10 列伝第2と『北史』巻57 列伝第45に詳しく記されています。

宇文導は、西魏から北周にかけての激動の時代を生き抜き、武将として、また政治家として、その才能を発揮しました。彼の生涯は、当時の社会情勢や政治 dynamics を理解する上で貴重な資料となっています。

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