宣教開始50年記念会

宣教開始50年記念会について

宣教開始50年記念会は、1909年（明治42年）10月5日から10月10日にかけて、日本のプロテスタント宣教開始50周年を祝して開催された記念大会です。この大会は、日本基督宣教開始五十年記念会とも呼ばれています。

歴史的背景

プロテスタント宣教は、1859年5月に来日した聖公会のジョン・リギンズ、6月来日のチャニング・ウィリアムズから始まりました。同年には、ジェームス・カーティス・ヘボン、サミュエル・ブラウン、グイド・フルベッキといった宣教師たちも来日し、日本におけるキリスト教の基礎が築かれました。

50年後の1959年には、日本プロテスタント宣教100周年を記念して、エキュメニカル派（リベラル派）による宣教百年記念運動と、福音派（聖書信仰）による日本宣教百年記念聖書信仰運動がそれぞれ展開されました。さらに100年後の2009年には、日本プロテスタント宣教150周年を記念し、エキュメニカル派、福音派、聖霊派の三派が共同で記念大会を開催しました。

宣教開始五十年記念会 執行順序

記念会では、以下のようなプログラムが実施されました。

感謝会

開会演説：ジー、エイチ、バラ宣教師（神学博士）
感謝：本多庸一監督
懐旧実験談：村上俊吉
障害の除却：ディビッド・タムソン（神学博士）
感話：稲垣信

祝会

五十年の回顧：小崎弘道
五十年の回顧：ウィリアム・インブリー（神学博士）

第一講演会

基督教教育の結果：エー、ビータルス
基督教教育の前途：井深梶之助（神学博士）
教役者の養成：原田助
円満なる教役者の養成：深田直太郎
教役者の養成に就て：松本益吉（神学士）
日本に於ける基督教教育の情態及結果：クレメント
神学校教育の理想：今井寿道
小規模の高等専門学校：エフ、エヌ、スコツト
基督教主義の大学：笹尾粂太郎（哲学博士）
政府認可の基督教学校と宗教：シー、エイチ、ビー、ウード

第二講演会

基督教文学：柏井園
基督教文学に関する吾人の問題及び計画：エス、エル、ギユリツク（神学博士）
基督教文学：鵜崎庚午郎（神学博士）
聖書改訳意見：ジー、ブレスウエート
基督教文学：加藤直士
所感：別所梅之助
基督教文学の必要及其供給の方法：フランク、ムラー
基督教文学に就て：竹崎八十雄
基督教文学に付て：田村直臣

第三講演会

日本の倫理宗教思想及国民生活に及ぼせる基督教の感化：海老名弾正
日本の倫理宗教思想及国民生活に及ぼせる基督教の感化：新渡戸稲造（農学博士、法学博士）
日本の教育並に文明に及ぼしたる宣教師の功績：藤沢利喜太郎（理学博士）

第四講演会

婦人伝道学校：イー、タルカツト嬢
婦人伝道者に就て：バンペテン夫人
教会に於ける婦人会：本多貞子（本多庸一夫人）
婦人伝道者の地位と其事業：ハーグレーブ嬢
女学校生徒の日曜学校事業：デフオレスト嬢
未信者に対する伝道事業：稲垣末子
未信者に対する伝道事業：ピアソン夫人
ミツシヨン女学校：エヌ、ゲーンス嬢
ミツシヨン女学校：エス、エー、ソール嬢
ミツシヨン女学校に就て：エー、ジー、ルイス嬢
開教五十年以来宗教事業としての幼稚園及び小学校の略史：和久山キソ子
普通女学校の学生間に於ける伝道事業：フイリツプス嬢
基督教文学：ジー、ボーカス嬢

第五講演会

社会改良（イ）矯風会、救済、工場事業：小崎千代子（小崎弘道夫人）
社会政良（ロ）病院、孤児院、小児預所：林歌子
矯風事業に就て：ストラウト嬢

第六講演会

基督教と社会的観念：元田作之進（哲学博士）
基督教と社会改良：エム、シー、ハリス監督
基督教と社会改良：山室軍平
基督教と禁酒：安藤太郎

第七講演会

牧会事業：平岩愃保（神学博士）
牧会事業：多田素
牧会事業：植村正久
礼拝に就て：河合堯三
礼拝：アル、イ、マカルピン
説教に就て：稲沼鋳代太
説教に就て：ギデオン・ドレーパー
個人伝道：石黒猛次郎
個人伝道：デー、ノルマン
日曜学校事業：鵜飼猛
日曜学校に付て：デ、エ、モリ（神学博士）
財政の独立：エス、イー、ヘーガー

第八講演会

伝道事業：星野光多
市内伝道：河合禎三
地方伝道：小方仙之助（神学博士）
田舎伝道：エー、デー、ヘール（神学博士）
集中伝道：波多野伝四郎
大挙伝道：貴山幸次郎
青年伝道：山本邦之助
内海島嶼に於ける伝道事業：エフ、シー、ブリツグス
九州に於ける伝道開始と讃美歌に就て：瀬川浅

第九講演会

基督教と慈善事業：留岡幸助
民権及信教自由に於ける基督教の影響：デフオレスト（神学博士）
民権及信教自由に於ける基督教の影響：島田三郎

第十講演会

過去及将来に於ける宣教師の事業：山本秀煌
将来に於ける宣教師の事業：ジエー、ジー、ダンロツブ
過去及将来に於ける宣教師の事業：綱島佳吉
過去及将来に於ける宣教師の事業：本多庸一監督
過去及将来に於ける宣教師の事業：テー、エイチ、ヘーデン
日本に於ける宣教師事業の将来：ジエー、デー、デビス（神学博士）
過去及将来に於ける宣教師の事業：植村正久

礼拝説教

人を漁る者及び其漁り方：宮川経輝

決議文

大会では、以下の12からなる決議文が採択されました。

決議文その一

本大会は、日本のプロテスタントキリスト教宣教開始50周年を祝うにあたり、全能の神への感謝を表します。特に、天皇陛下による憲法制定と信教の自由の保障に感謝します。過去50年間、欧米の諸教会が日本のために永生の福音を宣教したことに感謝するとともに、今後も日本の教会が確立するまで愛の奉仕を継続することを切望します。日本国民が神から特別な使命を負わされていることを認識し、日本の教会が世に光を放つことを祈ります。

決議文そのニ

本大会は、欧米の諸教会の伝道会社及び伝道局からの祝詞に対し感謝の意を表します。また、長年にわたり日本のために尽くされた同情に深謝し、彼らが聖霊の導きによって使命を全うすることを祈ります。

参考文献

雨宮栄一『牧師植村正久』新教出版社、2009年
* 開教五十年記念講演集 宣教開始五十年記念会事務所 鵜飼猛　1910

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