寛庭夫人

寛庭夫人（かんていふじん）

寛庭夫人（生年不詳 - 永禄6年11月9日（1563年11月24日））は、戦国時代に生きた女性で、島津氏の一族である相州家当主・島津忠良の正室として知られています。彼女は、島津氏の歴史において重要な役割を果たした人物の一人であり、その生涯は多くの興味深い側面を持っています。

親族

寛庭夫人の父は、薩州家の島津成久です。母は豊州家の島津忠廉の娘であり、彼女は島津一族の血を引いています。兄には島津忠興がいます。夫である島津忠良との間には、多くの子女をもうけました。長女の島津御南は肝付兼続に、次女の島津御隅は樺山善久に嫁ぎました。また、長男の島津貴久は、後に島津家を継承し、次男の島津忠将、そして娘の島津にし（種子島時堯、後に肝付兼盛室）がいます。

生涯

寛庭夫人は、相州家当主である島津忠良に嫁ぎました。彼女の結婚は、島津一族内における政治的な結びつきを強めるものであったと考えられます。彼女は、夫との間に多くの子をもうけ、その子たちは後の島津家を支える重要な存在となりました。永正8年（1511年）には島津御南と島津御隅を、永正11年（1514年）には島津貴久を、そして永正17年（1520年）には島津忠将をそれぞれ出産しました。島津にしを産んだ時期は正確には分かっていません。

特筆すべきは、島津家本家の家督を巡り、夫の忠良が実家である薩州家と対立した際、寛庭夫人が夫の忠良を強く支持したことです。実家の甥にあたる島津実久を非難し、夫の立場を擁護したという逸話は、彼女の剛毅さを物語っています。彼女のこの行動は、単なる妻としての立場を超え、島津家全体の行く末を左右する重要な決断であったと言えるでしょう。

永禄6年（1563年）、寛庭夫人はその生涯を閉じました。彼女の戒名は「寛庭芳宥大姉」とされています。彼女の死は、島津家にとって大きな損失であり、その後の歴史に大きな影響を与えたと考えられます。

寛庭夫人は、戦国時代という激動の時代を生き抜いた女性であり、島津家の中で重要な役割を果たした人物です。彼女の行動は、単なる妻としての役割を超え、島津家の未来を左右するものであったと言えるでしょう。

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