小倉 (川崎市)

小倉（おぐら）

川崎市幸区に属する小倉は、行政上の町名としては「大字小倉」と「小倉1丁目から小倉5丁目」が存在します。このうち、小倉1丁目から5丁目までは住居表示が実施されていますが、大字小倉の一部には未実施の区域も残っています。

地域全体としての小倉は、狭義の小倉に加え、新小倉、東小倉、新川崎といった周辺町域を含んだ広がりを持つこともあります。土地利用としては、住宅地が中心ですが、一部に農地も見られます。

この地域は、かつて横須賀線を挟んで広がる一つの区域でしたが、1929年（昭和4年）に現在の新鶴見操車場が設けられたことにより、東西に分断されることとなりました。これに伴い、線路の東側は慣習的に「東小倉」と呼ばれるようになり、この呼称はそれ以前には存在しませんでした。その後、2008年12月8日の住居表示施行により、正式に東小倉という町名が誕生しました。住居表示が全面的に行われる以前は、居村や北耕地などの小字がありましたが、これらは不動産登記などで使用される程度で、一般的にはあまり知られていませんでした。代わりに、旧来からの集落単位である組の名残として、小倉上町、小倉下町、小倉中町、小倉西町、小倉南町といった地区呼称が用いられ、現在も各町内会の名称として引き継がれています。

新鶴見操車場跡地や周辺の住居表示実施により、分断された東側には東小倉が新設され、西側の主要部は小倉1丁目から5丁目となりました。しかし、JR敷地内やパークシティ新川崎の一部には、現在も住居表示が未実施の大字小倉が残存しています。

地理

小倉は、新塚越、新川崎、新小倉、東小倉といった周辺の町域に加え、西側は南加瀬3・5丁目、北側は北加瀬1丁目・鹿島田1丁目と接しています。また、南側は鶴見区の矢向六丁目、江ケ崎町と隣接し、鶴見川を挟んだ南西側では鶴見区上末吉五丁目と向かい合っています。

住宅地の地価としては、2025年1月1日時点の公示地価で、小倉2丁目の一地点が29万2000円/m²とされています。

河川

地域には鶴見川が流れていますが、河床が低く、満潮時には海水が混じるため、古くから灌漑用水としての利用は困難でした。また、二ヶ領用水の支流が二つ存在しましたが、開渠として現存するものはありません。特に小倉用水は南加瀬との境を流れ、かつては小倉池というため池がありましたが、後に二ヶ領用水と接続し小倉用水池として利用された後、1952年に埋め立てられました。用水路自体も1977年に暗渠化され、現在は下水道幹線の一部となっています。その跡地は小倉緑道として整備されており、記念碑や案内板が設けられています。鹿島田で二ヶ領用水本流から分かれた町田堀（塚越川とも呼ばれた）も、かつては塚越との境を通って小倉に流れ込んでいました。

地名の由来と歴史

「小倉」という地名の由来については、古代に武蔵国府へ納める米を貯蔵する倉があったという説と、武蔵七党の一つである横山党に属した豪族・小倉氏が居住していたことに因むという二つの説がありますが、いずれも確証はありません。

歴史的には、『小田原衆所所領役帳』に「稲毛小倉三橋分」として記録された1559年（永禄2年）が文献上の初見とされています。1590年（天正18年）に関八州が徳川領となり、川崎地域の知行割が行われた後、1707年（宝永4年）には村の一部が旗本松下氏の知行地となり、1713年（正徳3年）以降は増上寺御霊屋料と松下氏の相給地となりました。明治維新後、大区小区制や郡区町村編制法を経て橘樹郡小倉村となり、1889年（明治22年）には周辺村と合併して日吉村の大字となりました。1937年（昭和12年）に日吉村が川崎市と横浜市に分割編入される際、大字小倉は川崎市に編入され、1972年（昭和47年）の政令指定都市移行により幸区の一部となりました。その後、新鶴見操車場跡地の開発や住居表示の実施に伴い、2002年（平成14年）に一部が新塚越となるなど町域に変更が生じ、2007年（平成19年）には新鶴見操車場跡地が新川崎・新小倉に、2008年（平成20年）には横須賀線東側が東小倉に変更されました。さらに2011年（平成23年）には残部が小倉1丁目から5丁目に区画整理され、現在の複雑な町域構成に至っています。鹿島田との境界変更も近年行われました。

人口や世帯数、事業所数及び従業員数は、国勢調査や経済センサスなどの統計データから、時期による変遷が見られます。

交通

地域内には、東日本旅客鉄道（JR東日本）横須賀線（品鶴線）が通りますが、小倉地内には駅は設けられていません（最寄りの新川崎駅は鹿島田に位置します）。JR貨物の新鶴見機関区が所在します。

路線バスについては、川崎市バス、臨港バス、そして東急バスと臨港バスの共同運行路線が複数運行されており、地域住民の重要な交通手段となっています。

主な施設

パークシティ新川崎
小倉杉山大神（杉山神社）
川崎市立小倉小学校
川崎小倉郵便局
無量院
正蔵寺
小倉神社
川崎信用金庫加瀬支店小倉出張所
川崎市立看護大学
クロスガーデン川崎（オーケー、YAMADA web.com、ダイソー、一風堂、舎鈴などを含む商業施設）
小倉こども文化センター
小倉西児童プール

郵便番号は212-0054で、集配は川崎港郵便局が行っています。地域の警察管轄区域は定められています。

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