山本忠通

山本忠通

山本 忠通（やまもと ただみち、1950年 - ）は、日本の外交官、国際公務員です。長崎県佐世保市に生まれ、父の仕事の関係で幼少期をロンドンで過ごしました。帰国後、早稲田大学、東京工業大学を経て外務省に入省。国際的な舞台で活躍し、特にアフガニスタン問題において重要な役割を果たしました。

生い立ちと学歴

1950年、長崎県佐世保市で生まれました。父親が佐世保重工業ロンドン事務所の初代所長を務めた関係で、中学校2年からロンドンのグラマースクールに進学しました。1969年4月に早稲田大学理工学部に入学しますが、翌年4月に東京工業大学（現在の東京科学大学）工学部に再入学し、1974年3月に同大学社会工学科を首席で卒業しました。大学時代は文芸評論家の江藤淳、経済学者の矢島鈞次に師事し、同級生には津田純嗣がいました。

外務省入省後のキャリア

1972年に国家公務員採用上級甲種試験（経済）に合格、1973年8月には外務公務員採用上級試験にも合格し、1974年4月に外務省に入省しました。入省後は欧亜局西欧第二課に配属されました。1975年からオックスフォード大学に留学し、1977年に卒業。その後、在英国日本国大使館に勤務しました。以降、フィリピン、アメリカ合衆国などの日本大使館で勤務。本省では、経済局国際機関第一課課長補佐、経済局国際エネルギー課企画官、アジア局南東アジア第一課長、経済協力局技術協力課長、大臣官房外務大臣秘書官事務取扱、総合外交政策局企画課長、北米局北米第一課長などを歴任しました。

大使としての活動

1998年2月に在大韓民国日本国大使館公使、2000年4月にボストン総領事、2002年6月に在アメリカ合衆国日本国大使館公使、2005年1月に同大使館特命全権公使を務めました。2005年8月には国際テロ対策担当及びイラク復興支援等調整担当大使、同年12月には兼北朝鮮核問題（廃棄・検証）担当大使に任命されました。2006年8月には広報文化交流部長、2008年7月には特命全権大使（国際連合教育科学文化機関（ユネスコ）代表部大使）に就任しました。その後、2010年9月にアフガニスタン・パキスタン支援担当特命全権大使、2011年8月にアフガニスタン・パキスタン支援担当日本政府代表、2012年9月に駐ハンガリー特命全権大使を歴任しました。

国連での活躍

2014年11月15日、国連アフガニスタン支援ミッション事務総長副特別代表（政治担当）に就任。2016年3月には、日本人として3人目の国際連合事務総長特別代表に任命され、国連アフガニスタン支援ミッション代表を兼務しました。アフガニスタンの和平プロセスに尽力し、2020年3月に任期満了で退任しました。退任時にはアシュラフ・ガニー大統領からジャマールッディーン・アフガーニー勲章を受章しました。

退任後

2021年、同志社大学客員教授、京都芸術大学京都国際平和構築センター評議員、笹川平和財団客員研究員に就任しました。2023年からは立命館大学国際関係学部客員教授、立命館大学大学院国際関係研究科客員教授を務めています。

同期入省者

外務省同期には、佐々江賢一郎（駐米大使、外務事務次官）、林景一（駐英大使、内閣官房副長官補）、小田部陽一（ジュネーブ国際機関政府代表部大使）、吉川元偉（国連大使、OECD大使）、高松明（駐スロバキア大使）、石田仁宏（駐アルゼンチン大使）、四宮信隆（駐ポルトガル大使）、原田親仁（日露関係担当大使）、目賀田周一郎（駐メキシコ大使）、卜部敏直（駐フィリピン大使）、遠藤茂（駐サウジアラビア大使）、多賀敏行（駐ラトビア大使）、斉藤隆志（駐ミャンマー大使）、城田安紀夫（駐ノルウェー大使）、山中誠（駐ポーランド大使）、佐藤重和（駐タイ王国大使）、中根猛（駐独大使）、黒木雅文（駐セルビア大使）、西ヶ廣渉（宮内庁宮務主管）、吉澤裕（駐南アフリカ共和国大使）、貞岡義幸（駐パラオ大使）、寒川富士夫（駐マラウイ大使）、沼田幹男（駐ミャンマー大使）、白石和子（駐リトアニア大使）、高橋二雄（駐アゼルバイジャン大使）、小池孝行（駐キルギス大使）、中北徹（アジア・ゲートウェイ戦略会議座長代理）などがいます。

著書

『アフガニスタンの教訓 : 挑戦される国際秩序』（内藤正典と共著）集英社新書 2022年
『ユーラシア・ダイナミズムと日本』（共著、日本国際フォーラム編）中央公論新社 2022年

外部リンク

ユネスコ日本政府代表部特命全権大使による講演会を実施（東京工業大学公式ホームページ）
国連広報センター「この人に聞く：国連アフガニスタン支援ミッション（UNAMA）を率いる、山本忠通 事務総長特別代表」（2016年）
国連広報センター「①山本 忠通 国連アフガニスタンミッション（UNAMA) 事務総長特別代表に聞く」（2017年）
アフガニスタン和平と日本及び国連；そして日本と国連 - 2020年9月29日

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