張知本

張知本（ちょう ちほん）

張知本は、中華民国の革命家、政治家、法学者、教育者として知られています。彼は中国同盟会以来の革命派であり、中国国民党では反共右派の立場をとっていました。また、反蔣介石の政治家としても知られています。

生い立ちと革命への参加

張知本は、13歳で秀才となり、15歳で武昌両湖書院に入学しました。そこで黄興と出会い、共に学びました。17歳で優貢となり、朝考で二等を獲得後、官費で日本へ留学しました。日本では弘文学院で日本語を学び、和仏法律学校（後の法政大学）で法学を修めました。

1905年、東京で孫文と出会い、中国同盟会に加入しました。帰国後は、湖北広済中学堂堂長や武昌官立法政学堂監督などを歴任し、同盟会湖北支部評議長も務めました。

1911年の武昌起義（辛亥革命）では、湖北軍政府の司法部長に就任し、司法制度の整備に尽力しました。宋教仁を補佐し、「鄂州臨時約法」の起草にも携わりました。

第二革命と反共右派へ

北京政府成立後、袁世凱を嫌い、湖北に戻り江漢大学校長となりました。しかし、第二革命で革命派が敗北すると、上海へ逃れることとなりました。その後、私立中華大学教授を経て、1917年に孫文の護法運動に参加しました。

1924年、国民党第1回全国代表大会で中央執行委員候補に選出されましたが、孫文の三大政策には反対し、反共活動に与しました。孫文の死後、反共右派の西山会議派の一員と見なされましたが、実際には同派の活動に消極的でした。しかし、国民党主流派から西山会議派の主要構成員と見なされ、除籍処分を受けました。

蔣介石との対立と法学者としての活躍

1927年、蔣介石が権力を掌握すると、張は政界に復帰し、湖北省政府主席に就任しました。しかし、蔣桂戦争で新広西派の一員と見なされ、再び党籍剥奪処分を受けました。この事件以降、張は蔣介石に反感を抱くようになり、反蔣活動に積極的に参加しました。

下野していた間、張は法学者として上海で著作に専念し、『憲法論』、『社会法律学』、『憲政要論』などの著作や翻訳を刊行しました。これにより、王寵恵、董康、江庸と共に当時の四大法学者と目されるようになりました。

張は、中華民国憲法の起草にも携わりました。1933年、立法院憲法草案委員会副委員長として、憲法草案を起草しましたが、蔣介石の妨害により採択されませんでした。

日中戦争以降と晩年

日中戦争勃発後、張は朝陽大学を避難させ、長沙、成都、重慶への移転事業を進めました。1942年には初代行政法院院長に任ぜられました。戦後、蘇浙皖敵偽産接収清査団団長や制憲国民大会代表、国務会議法制審査委員会委員などを歴任しました。

国共内戦で国民党が敗北すると、台湾に逃れ、総統府国策顧問などを務めました。また、中国憲法学会や中国刑法学会で理事長を務め、中華学術院名誉法学博士号を授与されています。

1976年、台北市で病没しました。

参考文献

汪洪「張知本」中国社会科学院近代史研究所『民国人物伝 第8巻』中華書局、1996年。
劉寿林ほか編『民国職官年表』中華書局、1995年。

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