慶應義塾ワグネル・ソサィエティーOB合唱団

慶應義塾ワグネル・ソサィエティーOB合唱団について

慶應義塾ワグネル・ソサィエティーOB合唱団（英語: Keio Gijuku Wagner Society OB Male Choir）は、慶應義塾ワグネル・ソサィエティー男声合唱団の卒業生（OB）によって組織された男声合唱団です。1953年の創立以来、長きにわたり活動を続けており、その歴史と伝統は、日本の合唱音楽界においても特筆すべき存在です。

沿革

1953年6月、当時のワグネル男声合唱団の指揮者であった梅原文雄氏が中心となり、その年の卒業生を中心に結成されました。1963年には、OB組織である慶應義塾ワグネル・ソサィエティー男声合唱団三田会が発足し、OB合唱団はその活動の一環として位置づけられるようになりました。2003年には、創立50周年を記念した定期演奏会が東京芸術劇場大ホールで開催され、その活動は広く知られることとなりました。

活動内容

OB合唱団の運営は、三田会会長が団長を兼務していますが、日常的な活動は運営責任者と団内指揮者が中心となって行っています。会員数は約1200名にのぼりますが、毎週の練習には東京会場に約80名、大阪会場に約10名が参加しています。週末には強化練習が行われることもあり、本番のステージには約120名ものメンバーが出演します。卒業後も歌い続けているメンバーもいれば、定年退職後に久しぶりに合唱に復帰するメンバーもおり、幅広い世代が共に音楽を楽しんでいます。

主な活動としては、夏に開催される東京六大学OB合唱連盟演奏会または東西四大学OB合唱連盟演奏会、そして秋の定期演奏会があります。特に定期演奏会は4年に1度、「ワグネル・ガラコンサート（ステージ上の同窓会）」と題し、卒業年ごとに区切ったグループで演奏を行うというユニークな形式が特徴です。近年では、2017年に「畑中良輔先生追悼演奏会・第6回ワグネル・ガラコンサート」が開催されました。また、春には「ワグネルファミリー・スプリングコンサート」、秋には慶應連合三田会への出演も恒例となっています。さらに、オーケストラとの共演や放送出演、慶應義塾ワグネル・ソサィエティーOG合唱団演奏会、現役男声合唱団定期演奏会への賛助出演、東京駅コンサートなど、多岐にわたる活動を行っています。

海外演奏

OB合唱団は、海外での演奏活動も積極的に行っています。1989年には、OBオーケストラ、OG合唱団とともにオーストラリア・メルボルンへの演奏旅行を行い、現地で大きな反響を呼びました。1990年には、外務省の「日豪生活文化交流事業」の一環として、オーストラリア各地でコンサートを開催。シドニーでは、シドニー・オペラハウス・コンサートホールでの演奏が実現しました。2009年には、現役合唱団と合同でイタリアへの演奏旅行を行い、パレストリーナ大聖堂やローマ・ラ・サピエンツァ大学での演奏を行いました。

指導体制

合唱団の指導は、ステージによって異なり、団内指揮者が担当することもありますが、多くの場合、北村協一氏、福永陽一郎氏、木下保氏、畑中良輔氏、佐藤正浩氏など、現役合唱団を指導する先生方が担当しています。OBが指導する場合でも、大久保光哉氏、吉川貴洋氏、仲光甫氏などのプロの音楽家が指導にあたります。ヴォイストレーナーは、現役合唱団と同じく小貫岩夫氏が務めています。

その他の活動

2014年には、関西ワグネルや大阪稲門グリーとの合同演奏会「花の早慶戦」を大阪や盛岡で開催し、東西のメンバーが交流を深めました。2019年には、現役合唱団、OBオーケストラ、慶應義塾志木高等学校ワグネル・ソサィエティー男声合唱団との合同演奏会「WAGNER FEST 2019」を企画しましたが、台風の影響で中止となりました。

オーケストラとの共演

OB合唱団は、数多くのオーケストラと共演しており、その実績は目覚ましいものがあります。芥川也寸志氏や山田一雄氏、若杉弘氏など、著名な指揮者との共演も多く、その演奏は高い評価を受けています。ベートーヴェンの「第九」やワーグナーのオペラ作品など、大規模な合唱を必要とする作品の演奏にも積極的に参加しており、日本の音楽文化の発展に大きく貢献しています。

放送出演

NHKの番組にも多数出演しており、その活動は広く知られています。ダークダックスとの共演や、冨田勲氏の「イーハトーヴ交響曲」の演奏など、様々な企画に参加しています。これらの放送出演を通じて、合唱音楽の魅力を広く伝えています。

ディスコグラフィー

冨田勲氏の「イーハトーヴ交響曲」のBlu-rayには、OB合唱団の演奏が収録されています。この作品は、初音ミクとの共演でも話題となりました。

慶應義塾ワグネル・ソサィエティーOB合唱団は、その長い歴史と伝統を誇り、幅広い年代のメンバーが音楽を通して交流を深める、魅力的な合唱団です。今後も、その活動が日本の音楽文化の発展に貢献していくことが期待されます。

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