東京都立第一商業高等学校

東京都渋谷区鉢山町に所在する東京都立第一商業高等学校は、その長い歴史と伝統で知られる商業高校です。通称は都立一商、または一商、第一商業と呼ばれ、多くの卒業生が経済界で活躍しています。

概要

都立一商は、東京で初期に設立された公立の商業学校であり、戦前は旧制東京商科大学や旧制第一高等学校への進学者を多数輩出しました。多くの卒業生が財界で重役を務め、「天下の一商」と称されるほどの実績を誇ります。

現在では、都立商業高校の中でも先進的な商業教育を実践しており、簿記、商学、会計学、英語教育、生活指導などに力を入れています。2005年からは、躍進する商業高校の牽引役を担うリーディングコマーシャルハイスクールに指定されています。令和4年12月には、首都圏ネットワークで東京都の「地域探究推進校」（伝統校）として紹介されました。

校章

校章は、初代校長である陶山斌二郎が作成したもので、三種の神器の一つである八咫鏡の中に「商」の字を配したデザインです。

沿革

1918年（大正7年）：東京府立商業学校として設立認可
1919年（大正8年）：現在地に開校、陶山斌二郎が初代校長に着任
1920年（大正9年）：東京府立第一商業学校と改称、附設商業補習学校の授業も開始
1923年（大正12年）：第1回開校記念式挙行
1933年（昭和8年）：第二本科（定時制）を新設
1944年（昭和19年）：中島飛行機の武蔵製作所へ学徒動員
1945年（昭和20年）：東京大空襲により校舎が全焼
1946年（昭和21年）：第二本科（定時制）を廃止
1948年（昭和23年）：学制改革により「東京都立第一商業新制高等学校」として設置、代々木分校を設置
1950年（昭和25年）：教育委員会法に基づき「東京都立第一商業高等学校」と改称
1957年（昭和32年）：代々木分校が独立し東京都立代々木高等学校（現：世田谷泉高等学校）となる（2004年廃校）
1979年（昭和54年）：電子計算機室改装、超小型電子計算機新規導入
1993年（平成5年）：校舎全面改築竣工
2003年（平成15年）：インターネット導入
2005年（平成17年）：国際会計科が廃止され商業科のみになる

設置学科

ビジネス科

コース

2年生からコース制が導入され、A組が進学コース、B～F組がビジネスコースとなっています。

資格・検定

商業高校として、在学中の資格取得を奨励しており、特に全商検定の取得に力を入れています。ビジネスコースでは、検定取得のための授業が行われています。進学においては、総合型選抜や学校推薦型選抜の説明会を実施し、手厚い進路指導を行っています。

校則・生活指導

校則は厳しく、服装規定などが定められています。また、学校外での生徒の行動にも注意を払い、問題行動に対しては迅速に対応しています。犯罪行為に対しては厳重な指導を行い、場合によっては懲戒退学処分となることもあります。

特記事項

一商奨学会による英国研修や、第二外国語（中国語）の選択授業があります。また、中央大学商学部教員による公認会計士育成のための会計ゼミも実施されていました。

進路

3年間を通じた進路指導計画を立て、進学希望者には進学者登校指導、就職希望者には就職者登校指導を行っています。特に就職活動においては、面接指導や小論文指導など、充実したサポートを提供しています。難関試験である国家公務員税務職員の輩出実績もあります。

周辺環境・交通機関

渋谷・代官山地区に位置し、旧山手通りに面しています。周辺には大使館などの重要施設が集積しており、良好な環境です。

東急東横線代官山駅より徒歩5分、中目黒駅より徒歩10分
東急およびJR、その他各線渋谷駅より徒歩15分
渋谷駅南口35番バス乗り場から東急トランセ「第一商業高校」下車

著名な出身者

植草甚一 - 評論家、エッセイスト
奥山治 - 東京都青ヶ島村元村長、マクロビオティック・東洋哲学思想家
梶幹雄 - フリーアナウンサー
亀井トム - ジャーナリスト
金原亭馬の助 (2代目) - 落語家
重信房子 - 日本赤軍最高指導者
白石まるみ - 女優、タレント
信欣三 - 俳優
辛淑玉 - コメンテーター
鈴木文彌 - NHK元アナウンサー
高松利夫 - プロ野球選手
寺村輝夫 - 童話作家
長瀬喜伴 - 脚本家
中村隆英 - 東京大学名誉教授、日本学士院賞
橋本公亘 - 憲法学者、中央[[大学法学部]]教授
番場嘉一郎 - 会計学者、一橋[[大学]]名誉教授
日暮雅信 - 作曲家
三好徹 - 直木賞作家
森田誠吾 - 直木賞作家
良知力 - 哲学者
河野一英 - 会計士、大東文化大学名誉教授
伊藤達二 - 三菱地所社長
相田雪雄 - 野村証券社長
浜田博 - 日本エアコミューター社長
佐藤光 - 岩手銀行頭取
* 小林栄次 - 大多摩ハム小林商会創業者

都立一商は、伝統と実績のある商業高校として、今後も社会で活躍する人材を育成していくことが期待されます。

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