栄町通 (神戸市)

栄町通：神戸の金融街の歴史と変貌

栄町通は、兵庫県神戸市中央区に位置する東西の道路、そしてその沿道に広がる1丁目から7丁目までの町名です。郵便番号は650-0023。元町通（西国街道）と海岸通（国道2号）という主要道路に挟まれた立地が特徴です。東側は西町・前町、南側は海岸通・弁天町、南西側は東川崎町、北側は相生町・元町通と隣接しています。1丁目から6丁目は鯉川筋（メリケンロード）と宇治川筋（ハーバーロード）の間に位置しますが、7丁目は東川崎町からの編入により、宇治川筋の西側に位置しています。また、2丁目以西の地下には神戸市営地下鉄海岸線が通り、4丁目にはみなと元町駅があります。

明治時代から続く歴史

栄町通の歴史は明治時代にまで遡ります。当初、元町通は幅員が狭かったため、将来の交通需要を見越して1873年、幅員8間または10間の道路が整備されました。そして、地域の発展を願い「栄町通」と命名されました。翌1874年には、1丁目から6丁目までの町名が定められました。

清国人が神戸外国人居留地に居住できなかったことから、栄町通1丁目付近に清国人が多く居住するようになり、1877年頃にはこの地域が「南京町」と呼ばれるようになりました。1910年には神戸電気鉄道（後の神戸市電）栄町本線が開業し、地域の交通の便が向上しました。1926年には東川崎町の一部を編入して7丁目が誕生しましたが、市電は6丁目西端で北へ分岐するため、7丁目には乗り入れしませんでした。1971年に神戸市電栄町本線が廃止された後、2001年には神戸市営地下鉄海岸線が新たに開業しました。

大正・昭和期の金融街

大正から昭和初期にかけて、栄町通は神戸随一の金融街として栄えました。多くの銀行や保険会社などがこの地域に集積し、重厚な近代建築が立ち並びました。しかし、三宮が新たな金融の中心地となった後も、平成初期まで栄町通1丁目から3丁目にかけては、これらの建物が景観を形成していました。

阪神・淡路大震災以降

1995年の阪神・淡路大震災は、栄町通の景観を大きく変えました。多くの建物が被災し、解体されることになりました。それに加えて、銀行の支店統廃合が重なったことで、金融機関や企業の多くが撤退し、跡地はマンションや駐車場へと姿を変えました。震災後、地下鉄海岸線の建設に伴い、街路の整備が進みましたが、かつての賑わいとは異なる風景が広がっています。かつては日中のみ賑わい、夜間は暗い街路でしたが、震災後の整備によって街路環境は改善されました。

栄町通に残る近代建築

震災後も、いくつかの近代建築が現在も残されています。

ファミリアホール（旧三菱銀行神戸支店）: 明治33年築、曽禰達蔵設計
大林組神戸支店（外壁のみ）: 明治41年築、辰野金吾設計（現みなと元町駅）
フットテクノビル（旧帝国生命保険神戸出張所）: 大正10年築
松尾ビル（旧小橋呉服店）: 大正14年築
毎日新聞社神戸支局（ファサードのみ）: 大正14年築、河合浩蔵設計
岸本産業ビル: 昭和初期築
神戸住友ビル: 昭和9年築

一方で、震災により多くの歴史的建造物が失われました。

第一勧業銀行神戸支店（旧三井銀行神戸支店）: 大正5年築、長野宇平治設計
同和第二ビル（兵庫県民信用組合）: 大正6年築
日産ビル（旧村井銀行神戸支店）: 大正9年築、吉武長一設計
旧三和銀行神戸支店（旧山口銀行神戸支店）: 大正12年築、河合浩蔵設計
富士銀行（旧）神戸支店（旧安田銀行神戸支店）: 大正15年築
* 安田火災海上保険神戸支店（旧東京火災保険神戸支店）: 昭和8年築、渡辺仁設計

経済と交通

栄町通には、神戸中央郵便局、神戸牛 吉祥吉グループ本社、いくつかのコンビニエンスストア、ホテル、自動車販売店などがあります。かつては、豊国火災保険神戸支店など多くの企業が拠点を置いていました。また、地家主として生島家などが知られていました。

交通アクセスは、阪神神戸高速線西元町駅、阪急神戸高速線花隈駅、神戸市営地下鉄海岸線みなと元町駅が利用可能です。

栄町通の変遷は、神戸の歴史そのもの

栄町通は、明治時代からの歴史を刻み、神戸の金融街として栄え、阪神・淡路大震災を経験し、そして現在へと変貌を遂げました。その歴史と変遷は、神戸という都市の歩みそのものを映し出していると言えるでしょう。

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