梁平老

梁平老（りょう へいろう）

梁平老は、五胡十六国時代の前秦に仕えた人物です。氐族出身であり、才知と見識に優れ、法を厳格に守る人物として知られていました。

生涯

東海王だった苻堅と親交があり、苻堅は梁平老の才能を高く評価していました。苻堅が即位する以前から、その王佐の才を見抜き、礼を尽くして遇していたと伝えられています。

355年、苻生が即位すると、梁平老は特進として領御史中丞に任じられました。苻生は暴虐な人物で、酔った勢いで殺戮を繰り返すこともあったため、群臣たちは常に身の危険を感じていました。梁平老は、この状況を憂い、苻堅に対し、「主上は徳を失い、人心は離反しています。燕や晋が隙を窺っており、このままでは国が滅びる恐れがあります」と進言し、苻生の廃位を促しました。苻堅もその意見に賛同し、苻生の殺害を決意します。

苻生暗殺計画が実行されると、梁平老は清河王苻法や強汪らと共に壮士数百人を率いて雲龍門から突入しました。苻堅と呂婆楼も兵を率いてこれに続き、別室にいた苻生を殺害しました。その後、苻堅が即位すると、梁平老は尚書右僕射に任じられ、国政を担うことになります。

359年、梁平老は使持節・都督北藩諸軍事・鎮北大将軍に昇進し、朔方に鎮して北方の守りを任されました。しばらくして開府儀同三司を加えられ、朔方侯に封じられました。以後、13年にわたり北方に鎮し、匈奴や鮮卑の侵攻を防ぎ、北方の安定に大きく貢献しました。その公正な統治は異民族からの信頼も厚く、彼らは梁平老を大いに敬愛したと言われています。

372年11月、梁平老は亡くなりました。桓と諡されました。

子

梁成：前秦に仕え、衛将軍にまで昇進しましたが、淝水の戦いで東晋の将軍劉牢之との戦いで戦死しました。

評価

前涼の涼州牧張瓘が前秦からの使者である閻負・梁殊に対し、前秦にはどのような名臣・名将がいるかと尋ねた際、閻負らは梁平老を才識明達にして法に厳格な人物として挙げました。このことからも、当時の人々が梁平老を高く評価していたことがうかがえます。

梁平老は、苻堅を支え、前秦の安定に大きく貢献した人物です。その功績は、歴史に深く刻まれています。

参考文献

『晋書』載記第12　苻生載記
『晋書』載記第13　苻堅載記上
『資治通鑑』巻100-103
* 『十六国春秋』巻42

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