橘御笠

橘 御笠について

橘御笠（たちばな の みかさ）は、奈良時代に活動した女官で、彼女の生没年は不詳ですが、彼女の家系や官歴については多くの記録が残っています。彼女は正四位下の中宮大夫、橘佐為の娘である県犬養三千代の孫娘です。また、正一位左大臣の橘諸兄の姪にあたることから、貴族階級の一員であったことが伺えます。姓は当初「宿禰」で、その後「朝臣」に変わります。

経歴の詳細

橘御笠は、淳仁朝の天平宝字8年（764年）正月に無位から従五位下へと昇叙されます。この際、彼女は「女孺」と記録されており、兄弟姉妹とは異なり、広岡朝臣を賜姓された記録は見当たりません。このことから、彼女には特異な状況があったと考えられます。

その後、御笠は何らかの事件に関連して位階を失ってしまいますが、宝亀2年（771年）には再び無位から従五位下の位を授けられ、再起を果たします。光仁朝の時代には、順調に地位を上げ、宝亀3年（772年）には従五位上に、さらに宝亀9年（778年）には兄の綿裳と共に「朝臣」という姓を賜与されることになります。そして、宝亀11年（780年）4月には命婦として正五位上に昇叙されるという華々しい経歴を持っています。

官歴

彼女の官職の履歴は『続日本紀』に記載されています。

• - 時期不詳: 無位・女孺
• - 天平宝字8年（764年）: 正月7日 従五位下
• - 時期不詳: 無位
• - 宝亀2年（771年）: 閏3月2日 従五位下
• - 宝亀3年（772年）: 正月10日 従五位上
• - 宝亀9年（778年）: 9月25日 朝臣姓
• - 時期不詳: 命婦
• - 宝亀11年（780年）: 4月27日 正五位上

これらの記録は、彼女が奈良時代の高貴な位置にあったことを示しており、また彼女の出世が波乱に満ちたものであったことも物語っています。このように、橘御笠は女性としての強さを持ちながらも、当時の社会の中で様々な試練を経験した人物であり、彼女の存在は奈良時代の歴史においても重要な一ページを占めています。

参考文献

• - 『続日本紀』4 （新日本古典文学大系15）岩波書店、1995年
• - 『続日本紀』5 （新日本古典文学大系16）岩波書店、1998年
• - 宇治谷孟『続日本紀（中）・（下）』講談社学術文庫、1992年、1995年
• - 『日本古代人名辞典』4 p1090 （竹内理三・山田英雄・平野邦雄編、吉川弘文館、1963年）
• - 『日本女性人名辞典』p664（芳賀登・一番ヶ瀬康子・中嶌邦・祖田浩一編、日本図書センター、1993年）

関連項目

• - 橘古那可智
• - 橘真都我

このように、橘御笠の経歴は、当時の女性の地位や役割、さらには権力構造を知るための貴重な手がかりとなるでしょう。

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