民主党 (イタリア)

イタリア民主党(Partito Democratico, PD)の歴史

イタリア民主党(PD)は、イタリアにおける主要政党の一つです。本稿では、その歴史、主要な出来事、選挙結果、そして党の現状について詳細に解説します。

結成と初期

PDの成立は、イタリアの複雑な政治状況と深く関連しています。1990年代後半から2000年代初頭にかけて、イタリアの政界は、伝統的な左翼と右翼の勢力構造から、より流動的な多党制へと移行していました。この変革期において、中道左派勢力は「オリーブの木」という連合を形成し、ロマーノ・プローディを首相に送り込みました。しかし、この連合は内紛に悩まされ、短命に終わりました。

プローディはその後、欧州委員会委員長に就任し、欧州議会で影響力を持つ中道左派勢力のリーダーとして活躍しました。2000年代前半、彼は「オリーブの木」を基盤とする新たな連合「ルニオーネ」を結成し、再び首相の座を目指しました。この「ルニオーネ」には、イタリア共産党の後継政党である左翼民主主義者（DS）と、マルゲリータ（DL）という二大勢力が含まれていました。

DSの書記長であったピエロ・ファッシノとDLのフランチェスコ・ルテッリは、二大政党制への移行を目指し、2006年の総選挙後に新党を結成することで合意しました。この総選挙で「ルニオーネ」が勝利し、プローディが再び首相に就任すると、DSとDLによる新党結成への動きは加速しました。そして、2007年10月、民主党が正式に誕生しました。

ヴェルトローニ、ベルサーニ、そしてモンティ内閣への協力

初代書記長には、DS出身のワルテル・ヴェルトローニが就任しました。彼は、16歳以上の一般市民が参加する公開選挙で高い支持率を獲得しました。しかし、PDは、左翼政党とキリスト教民主主義政党の合流に反対する勢力の離脱や、2008年の総選挙での敗北など、初期の段階から困難に直面しました。

ヴェルトローニの後を継いだのは、ピエル・ルイジ・ベルサーニでした。彼は2011年、イタリアが深刻な財政危機に直面する中、モンティ内閣の成立を支持する立場を取りました。この決定は、党内から批判の声を招きましたが、イタリア経済の安定化を目指す現実的な対応として評価する意見もありました。また、2013年の総選挙では、PDは最多得票を獲得し、下院では過半数を制しました。

レンツィ時代とその後

2013年、エンリコ・レッタが首相に就任し、大連立政権を樹立しましたが、2014年にはマッテオ・レンツィが首相に就任。レンツィは、イタリア統一後最年少の首相となりました。しかし、2016年の憲法改正国民投票の否決を受け、レンツィは辞任。その後、パオロ・ジェンティローニが首相を務めました。

レンツィは2018年の総選挙でPDは大敗を喫し、野党に転落。レンツィは党首を辞任し、その後、ニコラ・ジンガレッティ、エンリコ・レッタと党首が交代しました。2022年の総選挙では、PDは再び野党となりました。2023年にはエリー・シュラインが党首に就任しています。

選挙結果

PDは、結成以来、イタリアの政治において重要な役割を果たしてきました。選挙結果をみると、2008年、2013年の総選挙では議席を獲得しましたが、2018年、2022年の総選挙では議席数を大きく減らし、野党に転落しています。欧州議会選挙でも、PDは常に主要な勢力の一つとして存在感を示してきましたが、得票率は変動しています。

結論

イタリア民主党は、イタリア政治における複雑な歴史を反映した政党です。様々な勢力の合流と分裂、そして経済危機や政治改革といった出来事を経て、その勢力は変動してきました。今後もPDは、イタリア政治において重要な役割を果たしていくことが予想されます。

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