沼崎勲

沼崎勲（ぬまざき いさお）

プロフィール

沼崎勲は、1916年2月18日に神奈川県横須賀市で生まれました。東京開成中学校（現在の開成高等学校）を卒業後、俳優の道へ進みます。1953年8月16日に37歳という若さで急逝しました。

俳優としてのキャリア

1936年、J.O.スタヂオ俳優養成所に入所したことが、沼崎勲の俳優としてのキャリアの始まりです。翌年、J.O.スタヂオがP.C.L映画製作所などと合併し、東宝映画株式会社となると、彼は「東宝映画京都撮影所」に所属することになりました。

1941年、映画『暁の進発』で初めてクレジットに名前が記載されました。その後、東宝映画京都撮影所の閉鎖に伴い、東宝映画東京撮影所へ移籍。熊谷久虎監督の『指導物語』に出演しました。1942年には、山本嘉次郎監督の『ハワイ・マレー沖海戦』に出演するなど、戦争映画にも出演しています。1943年には、佐藤武監督の『若き日の歓び』や『虎彦龍彦』、山本薩夫監督の『熱風』、滝沢英輔監督の『秘めたる覚悟』など、数々の作品に出演しました。

1944年、山本嘉次郎監督の『加藤隼戦闘隊』に出演後、応召されビルマ戦線を転戦しました。

終戦後、1946年に東宝に復帰し、渡辺邦男監督の『愛の宣書』に出演。1947年には、成瀬巳喜男監督の『四つの恋の物語 第二話』、黒澤明監督の『素晴らしき日曜日』、衣笠貞之助監督の『女優』に出演し、その演技力が高く評価され、人気俳優としての地位を確立しました。

1948年には、高木俊郎監督の『幸運の椅子』に出演。同年、亀井文夫監督の『女の一生』のクランクアップ後、亀井らとともに東宝を離れました。

独立プロでの活躍と突然の死

東宝を離れた後は、独立プロを中心に活動します。1949年には、山本薩夫監督の『こんな女が誰にした』に出演。1950年には、関川秀雄監督の『軍艦すでに煙なし』や東宝教育映画の藤原杉雄監督作品『リンゴ園物語』に出演しました。

1951年には、今村貞雄監督の『裸女海底に死す』、1952年には、亀井文夫監督の『母なれば女なれば』、磯貝隆監督の『夜明けの弾痕』に出演。1953年には、亀井文夫監督の『女ひとり大地を行く』、家城巳代治監督の『雲ながるる果てに』、藤原杉雄監督の『赤い自転車』に出演しました。

しかし、1953年8月16日、『赤い自転車』のクランクアップを目前に、自宅で過労による心臓麻痺のため急逝。37歳という若さで、その生涯を閉じました。

東宝争議とレッドパージ

沼崎勲は、人気俳優として活躍していた最中に、東宝争議に巻き込まれました。1950年には、連合国軍最高司令官総司令部（GHQ）の指令によるレッドパージの対象者となり、東宝を退社せざるを得なくなりました。この出来事は、彼の俳優人生に大きな影響を与えました。

家族

俳優の沼崎悠は、沼崎勲の遺児です。

主な出演作品

1941年：『暁の進発』
1941年：『指導物語』
1942年：『ハワイ・マレー沖海戦』
1943年：『若き日の歓び』
1943年：『虎彦龍彦』
1943年：『熱風』
1943年：『秘めたる覚悟』
1944年：『加藤隼戦闘隊』
1946年：『愛の宣書』
1947年：『四つの恋の物語 第二話』
1947年：『素晴らしき日曜日』
1947年：『女優』
1948年：『幸運の椅子』
1949年：『こんな女が誰にした』
1950年：『軍艦すでに煙なし』
1950年：『リンゴ園物語』
1951年：『裸女海底に死す』
1952年：『母なれば女なれば』
1952年：『夜明けの弾痕』
1953年：『女ひとり大地を行く』
1953年：『雲ながるる果てに』
1953年：『赤い自転車』

参考文献

『映画演劇サークル』第3号、映画演劇サークル岐阜地区協議会、1953年12月、1頁。

外部リンク

沼崎勲 - 日本映画データベース

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