清水一郎 (俳優)

清水一郎：映画とテレビドラマの両面で活躍した名優

清水一郎（1899年11月25日 - 1988年7月27日）は、日本の俳優として長く活躍した人物です。東京府東京市日本橋区（現在の東京都中央区）で生まれ、慶應義塾商工学校卒業後は日本郵船に勤務していましたが、新劇俳優への強い思いから創作劇場に参加。その後、新派の伊井蓉峰一座へと入団し、舞台を経験しました。

1926年、白井松次郎の紹介により松竹蒲田撮影所に入社。初期の頃は『近代女房改造』などの作品で栗島すみ子と共演するなど、準主役級の役柄を担っていました。その後は脇役としての活動が多くなりますが、戦後も松竹大船撮影所作品を中心に数多くの映画に出演。1954年には日活、1956年には東宝と契約を結び、キャリアを重ねていきました。

清水一郎は、多様な映画作品に出演しています。『民族の叫び』や『恋のキャンプ』といった作品にも出演。松竹作品では『お光の縁談』『風の中の牝雞』『わが生涯のかがやける日』『四人目の淑女』『晩春』『悲しき口笛』『醜聞』『長崎の鐘』『てんやわんや』『情熱のルムバ』『東京のお嬢さん』『伊豆の艶歌師』『お嬢さん社長』『君の名は 第三部』など、幅広いジャンルの作品で活躍しました。日活作品では『かくて夢あり』『愛と死の谷間』『泥だらけの青春』『初姿丑松格子』『俺の拳銃は素早い』『生きとし生けるもの』『春の夜の出来事』『江戸一寸の虫』『続警察日記』『銀心中』などに、東宝作品では『めし』『三等重役』『殉愛』『女優』『サラリーマン出世太閤記』『危険な英雄』『生きている小平次』『大学の侍たち』『ジャズ娘に栄光あれ』『大番 完結篇』『私は貝になりたい』『野獣死すべし』『人間の壁』などに出演。東映作品では『多羅尾伴内シリーズ』、『特ダネ三十時間シリーズ』、『拳銃を磨く男シリーズ』、『にっぽんGメン 摩天楼の狼』、『こまどり姉妹 おけさ渡り鳥』、『殺人鬼の誘惑』、『白い熱球』、『日本侠客伝 花と龍』、『動乱』などにも出演しています。近代映画協会作品にも出演しており、その活動の幅広さが伺えます。

映画だけでなく、テレビドラマでも活躍しました。初期には『村上元三アワー』、『三人三五郎』、『まぼろしの塔』、『テレビ劇場 / 風流二代』、『ウロコ座』、『お好み日曜座』、『夢介千両役者』、『花嫁と警笛』、『湖の娘』、『まりっぺ先生』、『事件記者』、『三菱ダイヤモンド劇場 / 英語屋さん』、『NECサンデー劇場』、『東芝土曜劇場』、『東芝日曜劇場』、『夫婦百景』、『戦争』、『ダイヤル110番』、『サンヨーテレビ劇場』、『雑草の歌』、『指名手配』、『侍』、『テレビ指定席』、『シャープ火曜劇場』、『愛の劇場』、『講談ドラマ / 白井権八』、『風の視線』、『松本清張シリーズ・黒の組曲』、『ヘッドライト』、『浪曲ドラマ / 盤嶽の一生』、『判決』、『風雪』、『歌舞伎開花』、『時代の勲章』、『大河ドラマ（太閤記、源義経）』、『特別機動捜査隊』、『三匹の侍』、『剣』、『昔三九郎』、『プレイガール』、『銭形平次』、『大岡越前』、『人造人間キカイダー』、『どっこい大作』、『右門捕物帖』、『ご存じ金さん捕物帳』、『明治の群像 海に火輪を』、『御宿かわせみ』など、実に多くの作品に出演しました。

これらの作品では、時代劇から現代劇まで、警察関係者、医者、教師、会社員など、実に様々な役柄を演じています。その演技力は高く評価され、多くの視聴者から支持を得ました。

88歳で亡くなるまで、俳優として精力的に活動を続けました。また、吉住小勝吾の名で長唄の名取も務めていたことからも、その多才ぶりを伺い知ることができます。清水一郎は、映画とテレビドラマの両面で活躍した、日本の映画史・テレビ史に名を刻んだ名優と言えるでしょう。

もう一度検索