王廙

王廙（おう よく）

王廙（276年 - 322年）は、西晋末期から東晋初期にかけての軍人、政治家です。王羲之の叔父にあたります。字は世将、本貫は琅邪郡臨沂県です。

生涯

王廙は尚書郎の王正の子として生まれました。若い頃から文章に優れ、多岐にわたる才能を持っていました。特に書画に長けており、音楽、弓射、馬車の操縦、六博、囲碁、雑伎なども好みました。司馬越に才能を認められ、太傅掾、後に参軍となりました。306年には恵帝を洛陽に迎えることに貢献し、武陵県侯に封じられました。その後、尚書郎、濮陽郡太守を歴任しました。

江南に司馬睿（後の元帝）が拠点を築くと、王廙は太守の職を辞して南へ下りました。司馬睿の下で司馬となり、廬江郡太守、鄱陽国内史を歴任。周馥や杜韜の反乱鎮圧で功績を挙げ、封邑を加増されました。冠軍将軍に任じられ、石頭に駐屯し、丞相軍諮祭酒を兼任しました。

315年、王敦は荊州刺史の陶侃の勢力拡大を警戒し、王廙を後任に推薦しました。しかし、荊州の将吏たちは陶侃の留任を求めました。王廙が荊州へ赴任しようとした際、馬俊らの襲撃を受け、江安へ逃れる事態となりました。317年、杜曾の反乱軍が馬俊らと共に第五猗を迎え、王廙と対峙。王廙は軍を率いて杜曾を攻撃しましたが、敗北を喫しました。その後、王敦が甘卓や周広らに王廙の救援を命じ、ようやく王廙は荊州に入ることができました。しかし、陶侃時代の将軍や補佐官を処断したことで人望を失いました。

318年、元帝が即位すると、王廙は「中興賦」を献上。召還されて輔国将軍、散騎常侍に任じられました。母の死により一時職を離れましたが、喪が明けると征虜将軍、さらに左衛将軍に進みました。

322年、王敦が反乱を起こすと、元帝は王廙を王敦のもとに派遣し説得を試みさせました。しかし、王廙は王敦を諫めることができないと悟り、反乱に協力しました。王敦の第一次反乱が成功すると、王廙は平南将軍、領護南蛮校尉、荊州刺史に任じられました。また、王敦に抵抗した譙王司馬承を護送中に殺害しました。
同年10月、病没。享年47。侍中、驃騎将軍を追贈され、康と諡されました。

人物

王廙は多才な人物であり、政治家、軍人として活躍しました。しかし、王敦の反乱に協力したことは、彼の評価を大きく左右する出来事となりました。

子女

王頤之（後嗣、東海国内史）
王胡之（郡太守・侍中・丹陽尹を歴任）
王耆之（鄱陽郡太守）
王羨之（鎮軍将軍掾）

伝記資料

* 『晋書』巻76 列伝第46

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