生口氏

生口氏の歴史

概要

生口氏（いくちし、いくちうじ）は日本の歴史において重要な役割を果たした氏族で、鎌倉幕府の功臣である土肥実平の子孫にあたります。具体的には、土肥氏の庶流として小早川氏の一族に分類され、その起源は相模国土肥郷にあります。今回は彼らの出自から南北朝時代、さらには室町時代や戦国時代にかけての活躍を掘り下げてみましょう。

出自

生口氏は桓武平氏の流れを汲む平良文の子孫にあたる土肥氏の一族です。土肥実平の子である遠平が安芸国の沼田荘の地頭として任命され、そこから養子の景平がこの地を継いで小早川氏の名を名乗ることになりました。さらにその後裔である沼田小早川氏から小早川宣平の子・惟平が瀬戸内海の生口島を拠点とし、生口氏を称したのが始まりです。この流れを通じて、彼らは源氏の一族とも関連づけられるようになります。

南北朝時代

南北朝時代には、生口氏は新たにその名を広げることになります。暦応4年（1341年）、沼田小早川氏の拠点である沼田荘内に新田が造成され、これを小早川宣平の子である道祖鶴丸が分知します。この道祖鶴丸が生口氏の初代当主である生口惟平となります。康永元年・興国3年（1342年）には、北朝の一員として南朝方との戦いに参戦し、同じく小早川氏の庶子家である小泉氏と共に、瀬戸内海の弓削島、因島、生口島へと進出しました。

この時期、彼らは生口島を本拠地とし、地名をもとに生口氏と名乗るようになりました。また、二代当主の生口公実の代には、瀬戸内海の交通の要所としての地理的な利点を生かして、水運業とも密接に関わるようになりました。1415年（応永23年）には、阪神間での仏通寺建立の際に馬を寄進した記録も残っており、生口氏の影響力が小早川一族の中で高かったことがうかがえます。

室町時代

室町時代に入ると、生口氏はさらに重要な地位を確立しました。生口守平の代となる永享5年（1433年）には、室町幕府から正式に生口島の地頭職を与えられ、彼らの領地と権力が認められることとなります。15世紀の終わりには、惣領家の沼田小早川氏から小早川煕平の子・元清を当主として迎えることになりますが、この時期の生口氏の動向は、地域の政治的な絡みへも大きな影響を及ぼすこととなるでしょう。

戦国時代

戦国時代においては、毛利軍や小早川水軍が活躍し、生口氏もその一翼を担っていました。当時の生口景守は、第一次木津川口の戦いや他の各地での戦闘に参加し、その名が文献に記録されています。また、天正18年（1590年）には村上氏につく形で生口三河守などの名前が確認され、彼らの影響力が広がっていたことが明らかです。

略系図

生口氏の系図は、土肥実平から始まり、遠平、維平、小早川景平（実父は平賀義信）と続きます。景平の子孫である茂平、雅平から朝平が生まれ、その後、宣平、さらには生口惟平、守平へと続きます。生口氏を通じて、小早川一族の系譜が豊かな歴史を形作っています。

結論

生口氏は小早川氏の一種族として、歴史の中でその存在を大いに主張しました。その出自から影響力、さらに戦国時代においても名声を博した彼らの歴史は、今なお多くの人々に描かれることになるでしょう。

もう一度検索