生肖

十二支と十二生肖：動物たちの物語

中国で古くから親しまれている十二支は、子、丑、寅、卯、辰、巳、午、未、申、酉、戌、亥の十二の干支と、それぞれに対応する十二の動物（鼠、牛、虎、兎、龍、蛇、馬、羊、猿、鶏、犬、猪）から成り立っています。この動物を当てはめたものが十二生肖であり、日本では十二支と動物が一体となって認識されていますが、中国語では十二支と十二生肖は概念的に区別されています。例えば、中国では「鼠年」「牛年」のように十二生肖を表す漢字を用いるのが一般的です。

各動物と十二支

十二支に当てられた動物は、単なる象徴ではなく、歴史的、文化的な背景と深く関わっています。牛、馬、羊、鶏、犬、豚の6種類は、古代中国における主要な家畜である「六畜」にあたり、鼠、牛、虎、兎、龍、馬、羊、犬、豚の動物は漢字の意符、部首にもなっています。龍のみが想像上の動物である点が興味深いところです。

国ごとの違い：亥と未を中心に

十二生肖の動物は、国によって異なる場合があります。特に、亥（イノシシ／ブタ）と未（ヒツジ／ヤギ）については、地域差が顕著です。

イノシシとブタ

中国語の「猪」はブタとイノシシの両方を指しますが、イノシシを特定する場合には「野猪」や「山猪」を使います。日本では古くはブタを「ゐ」と呼んでいましたが、ブタの飼育が減るとイノシシを「ゐ」と呼ぶようになり、結果として亥の動物がイノシシになりました。日本の『古事記』などに出てくる「猪飼」なども、仏教伝来以前の豚飼いを指すという説もあります。

ヒツジとヤギ

中国語の「羊」はヒツジとヤギの両方を指し、十二支においても区別されません。そのため、英訳する際にはGoat（ヤギ）またはSheep（ヒツジ）のどちらかが使われます。一方、日本ではヒツジとヤギの飼育は遅く、両者を混同する習慣がなかったため、「羊」はヒツジのみを指すようになり、未にはヒツジが当てられています。

その他の相違

ベトナムでは丑が水牛、卯が猫、未がヤギに置き換えられています。タイやモンゴルなどでも、一部動物が異なる場合があります。西アジアや東ヨーロッパにも十二支の風習はありますが、インドでは酉がガルーダ、アラビアでは辰がワニ、イランでは辰がクジラ、ブルガリアでは寅が猫に置き換わっています。ロシアだけはアジアと同じ十二支を用いています。

十二支の起源と歴史

十二支の起源については、従来後漢頃と考えられていましたが、1975年に発見された睡虎地秦簡の『日書』に十二生肖の記述があり、紀元前200年代の秦の時代には既に存在していたことが明らかになりました。『日書』には、現在の十二生肖とほぼ一致する記述がありますが、午が鹿、未が馬、戌が老羊となっており、犬が存在しない点、並び順も異なる点が確認できます。

唐代には十二生肖を象った彫像が作られ、墳墓の副葬品や墓誌銘の彫刻などに用いられました。これらの彫像は仏教の十二神将を表す際にも使用され、日本にも伝播しました。日本や朝鮮半島では、十二生肖を武人の姿で表現した例も見られます。

民間では、紀年や人の生年を表すのに十二生肖が使われ、特に新年には十二生肖にちなんだ催しが開かれます。年賀状の図案にも十二生肖は用いられ、世界中で親しまれています。

十二支の由来に関する説話

十二支の動物を決めた経緯については、様々な説話が残されています。多くの説話では、ある人物（お釈迦様、玉帝、その他）が動物たちを召集し、先着順に十二支を決めたという共通点があります。

多くの説話で共通しているのは、牛の背中に乗っていた鼠が一番乗りしたこと、猫が鼠の嘘のために十二支に入れなかったこと、そして猫はそれから鼠を追いかけるようになったことです。その他、鶏が猿と犬の仲裁をしたこと、猪が寝坊したり、猪突猛進して最後になったことなどのエピソードも加えられています。十二支に入れなかった動物として、鼬（いたち）、蛙、鹿などが挙げられていますが、これらの説話には必ずしも整合性はありません。

二十八宿との関係

木星は約12年の周期で黄道を一周します。その運行と、二十八宿という星宿の配置との関係から、十二支の動物が定められたという説もあります。

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