畢沅

畢沅（ひつ げん）

畢沅（ひつ げん、1730年 - 1797年）は、中国清代の学者であり、官僚としても活躍した人物です。字は纕蘅（じょうこう）、号は秋帆（しゅうはん）、経訓堂（けいくんどう）と称し、晩年には霊巌山人（れいがんさんじん）とも号しました。彼は太倉州鎮洋県（現在の江蘇省太倉市）の出身です。

生涯

畢沅は、蘇州の霊巌山で沈徳潜（しん とくせん）に師事し、学問を深めました。1753年には郷試に合格し、内閣中書に任じられ、軍機処に入りました。その後、1760年に進士に及第し、1765年には翰林院侍読学士となりました。官僚としてのキャリアを積み重ね、1770年には陝西按察使、翌年には陝西布政使に昇進しました。最終的には湖広総督という高位にまで上り詰めました。

1796年、湖広総督在任中に枝江で白蓮教徒の聶人杰（じょう じんけつ）が蜂起すると、自ら鎮圧に向かい、これを鎮圧しました。しかし、1797年に病死すると、太子太保を贈られたものの、1799年には白蓮教の鎮圧に力を注がず、軍費を濫用したとして、世職を剥奪され、家財も没収されるという不遇を託ちました。

学識と業績

畢沅は、その学識の幅広さで知られています。経学、史学、金石学、地理学に通じ、多くの著作を残しました。中でも特筆すべきは『続資治通鑑』220巻です。これは、宋、遼、金、元の正史を通史とするために、『資治通鑑続編』、『宋元資治通鑑』、『続資治通鑑長編』、『資治通鑑後編』などの史料を基に、20年の歳月をかけて編纂された大作です。

また、彼は優れた人物を重用し、多くの学者を幕下に集めました。門人の洪亮吉（こう りょうきつ）によると、畢沅は常に賢才を尊重したとされています。そのため、章学誠（しょう がくせい）、孫星衍（そん せいえん）、汪中（おうちゅう）、段玉裁（だん ぎょくさい）といった著名な学者たちが彼の幕下で活躍しました。

人となり

一方で、畢沅は男色家としても知られています。彼は戯曲の俳優である李桂官（り けいかん）に恋慕し、著名な詩人である袁枚（えん ばい）に恋慕の詩を依頼して、その思いを詠ませたという逸話が残っています。

主な著作

彼の著作の多くは『経訓堂叢書』に収録されています。

『続資治通鑑』
『釈名疏証』
『墨子』、『呂氏春秋』、『山海経』、『大戴礼記』夏小正篇などの校注
中国各地の『金石志』

まとめ

畢沅は、清代を代表する学者・官僚であり、その幅広い学識と業績は高く評価されています。また、彼の人となりを示すエピソードは、その人物像をより興味深くしています。彼の残した著作は、後世の学術研究に大きな貢献をしました。

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