番格ロック

『番格ロック』

『番格ロック』は、1973年に東映東京撮影所で製作され、東映によって配給された日本[[映画]]です。東映京都撮影所制作の『仁義なき戦い 代理戦争』との同時上映作品として公開されました。

概要

本作は、1973年の池袋を舞台に、番長と同格の力を持つ「番格」と呼ばれる存在を描いた作品です。山内えみこ演じる主人公の番格は、スケバングループの抗争に巻き込まれ、少年院時代からの因縁を持つライバルの総番長と対決します。勝利を収めるも、総番長はヤクザによって薬漬けにされてしまい、主人公は復讐へと立ち上がります。

内藤誠監督によるスケバン映画でありながら、脚本の大和屋竺の提案により、ヒューバート・セルビー・ジュニアの小説『ブルックリン最終出口』のような雰囲気が目指されました。その結果、『女番長』シリーズなどの従来の東映スケバン映画とは一線を画す、ニヒルで独特なムードを持つ作品となり、カルト的な人気を集めるに至りました。映画監督の中野貴雄は、本作を「女性ハードボイルド映画の傑作」と絶賛しています。

ストーリー

（具体的なストーリー展開については、詳細な記述が見当たらないため、割愛させていただきます。）

製作

企画

企画は東映の寺西国光プロデューサーによるもので、1973年の『ネオンくらげ』で主演デビューした山内えみこを主役に据え、当時人気上昇中だったキャロルに主題歌を歌ってもらうという構想でした。当時、梅宮辰夫や山城新伍といった男優スターは『仁義なき戦い』シリーズに多数出演しており、ギャラも高騰していたため、女優を主役にした映画の方が企画が通りやすい状況でした。内藤誠監督は、低予算映画の行き着く先は女性が主演の映画になるのではないかと述べています。

主題歌選定

内藤監督たちは、主題歌の打ち合わせで矢沢永吉と面会し、「スケバンたちが都電荒川線に乗り、夕日を浴びながら殴り込みに向かう場面に合う曲がほしい」と依頼しました。主題歌「番格ロックのテーマ」は、ジョニー大倉が作詞、矢沢永吉が作曲を担当。ジョニー大倉は、キャロルの著書『暴力青春』の中で、この曲を「メロディと歌詞の融合という点で、極めてクオリティの高い成功例」と評しています。

撮影

キャロルがライブハウスで演奏するシーンは、撮影所のセットで撮影されました。映画用に事前に録音された曲に合わせて、メンバーが歌う形で撮影されました。また、内藤監督が「オートバイで走るショットをカットバックしたい」と要望した際、当初キャロルのメンバーは難色を示しましたが、矢沢永吉が「映画のためになるならやりましょう」と説得し、撮影所内をバイクで走るシーンが実現しました。中にはバイクの免許を持っていないメンバーもいたようです。

作品の評価

当時の映画メディア、特に『キネマ旬報』などは、キャロルの存在を認識していなかったため、映画批評はほとんどありませんでした。しかし、竹中労からは「こんな傑作を公開時に外国旅行していて観られなくて悪かった」という手紙が届きました。大学生や高校生などの学生が中心としたミニコミ誌で発見され、若い観客から高い評価を得ました。『狂い咲きサンダーロード』が1980年に東映シネマサーキット（TCC）で公開された際、新宿東映ホールでは『聖獣学園』と併映されましたが、上板橋東映のみ本作が併映され、東京ローカルで人気を博しました。

封印作品化

2011年秋、内藤誠監督の『明日泣く』の渋谷ユーロスペースでの公開に合わせて、本作のDVD発売も予定され、東映ビデオから見本盤も作られていました。しかし、キャロルの権利を所有する矢沢永吉の事務所から強い反対があり、DVDは発売中止となりました。さらに、公開に合わせてシネマヴェーラ渋谷で予定されていた内藤監督のレトロスペクティブ上映も中止になりました。上映は中止になったものの、内藤監督はジョニー大倉を招いてトークショーを開催することを計画。ジョニー大倉もこれを快諾し、トークショーが実現しました。当日、映画本編は上映できませんでしたが、予告編が上映され、ジョニー大倉が生ギターで「番格ロックのテーマ」を歌唱しました。観客から万雷の拍手を浴びると、ジョニー大倉は「映画の頃は天使の声と言われたもんです」と照れくさそうに語りました。その後、内藤監督とジョニー大倉のトークショーが行われ、ジョニー大倉は観客からの質問にも丁寧に答えました。

映画評論家の野村正昭は、本作のDVD化と上映中止に対して強く抗議し、阻止した人物に撤回と謝罪を求めています。また、本作でサード助監督を務めた脚本家の佐伯俊道によると、本作の主題歌でジョニー大倉のソロパートが多いことに矢沢永吉が嫉妬し、揉め事を避けたい東映が自主規制したのが真相であるとされています。内藤監督は「わけのわからない理由で発売中止になった」と述べており、岡田茂が社長だった時代の東映であれば、岡田の一言で解決したはずだと嘆いています。

キャスト

音無し由紀子：山内えみこ
勝：誠直也
沖田五郎：鹿内孝
突張りお圭：ボルネオ・マヤ
対マン待子：山口あけみ
今野保護司：山谷初男
田口さだ：初井言栄
田口吉次：久保一
ハンター朱美：片山由美子
晴美：久迩あき子
利江：園かおる
弘子：冬木みどり
リンダ：高原容子
トッコ：小林千枝
荒田刑事：室田日出男
佐藤刑事：山田甲一
留置場の女：絵沢萠子
婦人警官：谷本小夜子
学校警備員：小松方正
キャロル：キャロル
アラブの鷹：柴田鋭子

脚注

（脚注は省略）

外部リンク

番格ロック - 日本[[映画]]データベース
番格ロック - MOVIE WALKER PRESS
番格ロック - allcinema
* 番格ロック - KINENOTE

もう一度検索