竹田五郎

竹田五郎：激動の時代を駆け抜けた軍人、航空自衛官、そして軍事評論家

竹田五郎は、1921年（大正10年）10月24日に生まれ、2020年（令和2年）2月12日に98歳で逝去した、日本の軍人、航空自衛官、軍事評論家です。最終階級は陸軍大尉、航空自衛隊では統合幕僚会議議長たる空将でした。

生い立ちと陸軍時代

福岡県出身の竹田は、福岡県立中学修猷館を中退後、広島陸軍幼年学校、陸軍予科士官学校を経て、陸軍航空士官学校（第55期）を卒業。生粋のパイロットとして、軽爆撃機の操縦課程を修了後、飛行第90戦隊に配属され、1942年（昭和17年）9月から中国戦線に九九式双軽爆撃機で従軍しました。

太平洋戦争後期には、戦闘機操縦者に転科し、飛行第244戦隊に配属。三式戦闘機「飛燕」や五式戦闘機（キ100）に搭乗し、首都防空の任務に就きました。東京空襲ではB-29を撃墜したこともあり、夜間戦闘中に被弾し、片翼に穴が開きながらも不時着に成功したという逸話も残っています。終戦まで本土防空戦に従事し、第2飛行隊長を務めました。

戦後の転身と航空自衛隊

陸軍大尉で終戦を迎えた竹田ですが、戦後は公職追放となり、職を転々とした後、故郷で売店を経営していました。その後、同期の勧めで警察予備隊に入隊し、航空自衛隊発足後は転官。ジェット機操縦課程を経て、アメリカへ留学し、帰国後は第1航空団で教官や第1飛行隊長を務めました。第6航空団司令、南西航空混成団司令などを歴任し、1976年（昭和51年）のベレンコ中尉亡命事件では北部航空方面隊司令官として対応しました。

1978年（昭和53年）には第14代航空幕僚長に就任し、翌年には第12代統合幕僚会議議長に就任しました。

統幕議長退任と軍事評論家としての活動

統幕議長在任中の1981年（昭和56年）、雑誌記事で「徴兵制を違憲とする政府統一見解」と「防衛費GNP比1%枠」に異を唱え、専守防衛政策を批判したとされる記事が掲載されました。この件で社会党から懲戒免職を要求され、戒告処分を受けた後、退官。その後は軍事評論家として活動しました。

保守系日刊紙『世界日報』のコラム「ビューポイント」の常連寄稿者の一人としても知られています。

年譜

1936年（昭和11年）
3月：福岡県中学修猷館2年で中退
4月：広島陸軍幼年学校入校（第40期）
1939年（昭和14年）12月：陸軍予科士官学校入校
1942年（昭和17年）
3月27日：陸軍航空士官学校卒業（第55期）
4月：鉾田陸軍飛行学校（軽爆）入校
9月：飛行第90戦隊付
1943年（昭和18年）11月：明野陸軍飛行学校（戦闘乙種課程）、常陸陸軍飛行学校（甲種課程）入校
1944年（昭和19年）
6月：飛行第244戦隊付
12月：飛行第244戦隊飛行隊長
1951年（昭和26年）12月：警察予備隊入隊（1等警察士）
1953年（昭和28年）
1月：保安隊航空学校入校（第1期操縦課程学生）
8月16日：3等保安正
1954年（昭和29年）
1月：第2管区航空隊副隊長
8月14日：航空自衛隊に転官（3等空佐）
9月：臨時松島派遣隊（第4期操縦課程学生）
1955年（昭和30年）
2月：臨時築城派遣隊（第3期ジェット機操縦課程学生）
8月：米国留学（戦闘機操縦課程）
1956年（昭和31年）
4月：第2期戦闘機高等操縦課程
10月：第1航空団教官
1957年（昭和32年）
6月：第1航空団教官 浜松基地での墜落事故を幸運にも回避
1958年（昭和33年）9月：第1航空団第1飛行隊長
1959年（昭和34年）5月：同司令部防衛部長
1961年（昭和36年）
2月：臨時小松派遣隊本部防衛部長
7月：第6航空団司令部防衛部長
1964年（昭和39年）
1月1日：1等空佐に昇任
3月18日：第4航空団司令部防衛部長
12月28日：同飛行群司令
1966年（昭和41年）7月16日：航空自衛隊幹部学校勤務
1968年（昭和43年）2月16日：航空幕僚監部防衛部運用課長
1970年（昭和45年）3月16日：第6航空団副司令
1971年（昭和46年）
1月1日：空将補に昇任
2月16日：第6航空団司令 兼小松基地司令
1972年（昭和47年）3月16日：航空幕僚監部防衛部長
1974年（昭和49年）
5月1日：南西航空混成団司令
7月1日：空将に昇任
1975年（昭和50年）7月1日：第13代 北部航空方面隊司令官
1976年（昭和51年）12月1日：第13代 航空総隊司令官
1978年（昭和53年）3月16日：第14代 航空幕僚長
1979年（昭和54年）8月1日：第12代 統合幕僚会議議長
1981年（昭和56年）2月16日：退官
1991年（平成03年）11月3日：勲二等瑞宝章受章
2020年（令和02年）2月12日：逝去（享年98）、叙・正四位

栄典

リージョン・オブ・メリット・コマンダー：1978年（昭和53年）10月19日
リージョン・オブ・メリット・コマンダー：1980年（昭和55年）5月20日
勲二等瑞宝章：1991年（平成3年）11月3日

関連人物

石川貫之：元陸軍少佐・航空幕僚長たる空将。竹田の先輩であり、同じく軽爆から戦闘への転科組の操縦者、かつ空幕長経験者。

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