第6師団 (日本軍)

第6師団：熊本を衛戍地とした帝国陸軍の精鋭

第6師団は、1888年（明治21年）5月14日に編成された大日本帝国陸軍の師団です。熊本鎮台を母体とし、熊本、大分、宮崎、鹿児島の九州南部出身の兵士で構成され、衛戍地を熊本に置きました。1940年（昭和15年）には、歩兵第47連隊（大分）が第48師団に転用され、三単位編制に改編されました。

明治・大正期の活躍

日清戦争では、山東半島に上陸し、威海衛攻略戦に参加。日露戦争では、当初第2軍に属し沙河会戦を戦い、その後第4軍に編入され奉天会戦にも参戦しました。1902年 11月には、明治天皇を熊本城内の大本営に迎え、陸軍特別大演習に参加しています。また、1923年から1925年にかけては満州に駐屯し、帰国後の1928年4月には第二次山東出兵に参加しました。満州事変では、1932年末に動員がかかり、熱河作戦に参戦。中国軍を追って万里の長城まで進出しました。1927年9月には、工兵第6大隊が有明海台風による被害の救援活動を行っています。1931年 11月には、昭和天皇を熊本県に迎え、陸軍特別大演習に参加しました。

大陸戦線での激戦

1937年（昭和12年）の日中戦争勃発に伴い、第6師団は支那駐屯軍隷下となり、華北での作戦に従事しました。10月20日には第10軍隷下となり、第18師団、第114師団とともに杭州湾に上陸、中国軍の背後を攻撃し、南京攻略戦にも参加しました。1938年 2月14日には中支那派遣軍隷下となり、徐州会戦、同年7月4日には第11軍隷下となり武漢作戦を戦いました。この間、1938年 5月15日には、留守第6師団が第106師団を編成し、第11軍隷下で武漢作戦に参戦しましたが、第6師団は快進撃を続け、漢口一番乗りを果たし、10月26日に占領しました。

太平洋戦線での苦戦

太平洋戦争開戦後の1942年 11月、第6師団はソロモン諸島方面の作戦を担当する第17軍に編入されました。当初ガダルカナル島への派遣が予定されていましたが、大本営が撤退を決定したため、1943年初頭にブーゲンビル島南部に進出しました。同年11月、タロキナ地区に連合国軍が上陸し飛行場を建設したため、第6師団を主力とする第17軍は飛行場奪取を試みましたが、1944年3月の反攻（第二次タロキナ作戦）を最後に組織的軍事力を失いました。その後、主戦場がサイパンからレイテ島に移り、アメリカ軍主力の連合国軍は積極的な攻勢に出なかったものの、ソロモン諸島の日本軍は兵站を絶たれ、兵器弾薬が欠乏し、飢餓と疫病に苦しみました。第二次タロキナ作戦後の歩兵連隊は4,923名（戦傷者1,787名）いましたが、終戦時には1,654名にまで減少しました。1944年 11月には、主力がオーストラリア軍に代わった連合国軍が攻勢に転じ、日本軍主力のいるブイン地区に迫りましたが、壊滅寸前の1945年 8月15日に終戦を迎えました。同年9月には、オーストラリア軍タロキナ基地で降伏文書に調印し、南部沖合いのファウロ島に収容されました。

歴代師団長

第6師団の歴代師団長には、山地元治中将、野崎貞澄中将、北白川宮能久親王中将、黒木為楨中将、茨木惟昭中将、伊瀬知好成中将、大久保春野中将、西島助義中将、木越安綱中将、梅沢道治中将、明石元二郎中将、小池安之中将、山田虎夫中将、柚原完蔵中将、福田彦助中将、荒木貞夫中将、坂本政右衛門中将、香椎浩平中将、谷寿夫中将、稲葉四郎中将、町尻量基中将、神田正種中将、秋永力中将らが名を連ねています。

歴代参謀長

歴代参謀長には、川村景明歩兵大佐、阪元純熈歩兵大佐、福原豊功歩兵大佐、松村務本歩兵大佐、佐々木直歩兵大佐、塚本勝嘉歩兵大佐、山根武亮工兵大佐、一戸兵衛歩兵大佐、山本信行歩兵大佐、児島八二郎歩兵中佐、栗田直八郎歩兵中佐、藤井幸槌歩兵中佐、佐藤兼毅歩兵大佐、藤津準一砲兵大佐、市瀬敬三郎歩兵大佐、細野辰雄歩兵大佐、安原滝蔵歩兵大佐、新井亀太郎歩兵大佐、友森繁治郎歩兵大佐、大泉製之助砲兵大佐、黒田周一歩兵大佐、谷藤長英歩兵大佐、佐々木吉良輜重兵大佐、秦雅尚歩兵大佐、間崎信夫歩兵大佐、横山勇歩兵大佐、下野一霍砲兵大佐、重田徳松砲兵大佐、石川浩三郎歩兵大佐、山之内二郎大佐、江島義行中佐らがいます。

最終所属部隊

歩兵第13連隊（熊本）、歩兵第23連隊（都城）、歩兵第45連隊（鹿児島）、野砲兵第6連隊、騎兵第6連隊、工兵第6連隊、輜重兵第6連隊、第6師団通信隊、第6師団兵器勤務隊、第6師団衛生隊、第6師団第1野戦病院、第6師団第2野戦病院、第6師団第4野戦病院、第6師団病馬廠、第6師団架橋材料隊などが第6師団に所属していました。

参考文献

外山操・森松俊夫編著『帝国陸軍編制総覧』芙蓉書房出版、1987年。
秦郁彦編『日本陸海軍総合事典』第2版、東京大学出版会、2005年。
福川秀樹『日本陸軍将官辞典』芙蓉書房出版、2001年。
外山操編『陸海軍将官人事総覧陸軍篇』芙蓉書房出版、1981年。