纐纈弥三

纐纈弥三（こうけつ やぞう）

纐纈弥三は、1893年12月19日に岐阜県恵那郡蛭川村（現在の中津川市）で生まれ、1978年3月15日に85歳で亡くなった日本の内務官僚であり、政治家です。

生涯

誕生から官僚時代

岐阜県会議員の纐纈秋三郎の長男として生まれた纐纈弥三は、東濃中学、第一高等学校を経て京都帝国大学法学部を卒業しました。在学中には辻久子と結婚しています。1920年に内務省に入省し、愛知県属としてキャリアをスタートさせました。その後、高等試験行政科試験に合格し、北海道庁警視や兵庫県警察部外事課長などを歴任しました。

1927年5月には、警視庁警視・総監官房特別高等警察課長兼外事課長に就任し、1928年の三・一五事件、1929年の四・一六事件では中心的な役割を果たしました。これらの功績により、1934年には勲五等双光旭日章を受章しています。

その後、茨城県、静岡県、三重県の警察部長を歴任し、1932年11月には領事として上海に赴任しました。帰国後は、宮城県警察部長、兵庫県警察部長を歴任し、1939年4月には大分県知事に任命されました。

戦時中から戦後

1941年1月には文部省に移り、社会教育局長、普通学務局長、国民教育局長を歴任しました。1946年10月に公職追放となりましたが、この期間中には、東京で神主を務める傍ら、アメリカ陸軍情報部の依頼により、特高警察に関する詳細な調査報告書を作成しました。1951年10月に公職追放が解除されました。

政治家として

1955年2月、第27回衆議院議員総選挙に自由民主党から岐阜2区に出馬し、初当選を果たし、その後4期連続で当選しました。政治家としては、文部政務次官、大蔵政務次官、科学技術政務次官を歴任し、自由民主党文教部会長も務めました。

1965年には、勲二等瑞宝章を受章しました。1967年1月には政界を引退し、地盤を古屋亨に譲りました。引退後は新東京国際空港公団監事を務め、1974年7月までその職にありました。

その他の活動と晩年

晩年には、日本共産党機関紙「赤旗」の取材に応じ、自身の特高警察時代について詳細な証言を行いました。この中で、戦前の弾圧や、共産党内のスパイに関する情報など、貴重な証言を残しています。1978年に肺炎で死去しました。

人物

纐纈弥三は、内務官僚、政治家として多岐にわたる分野で活躍しました。特に、特高警察時代には、その中心人物として活動し、戦後には、その経験を基にアメリカ軍に情報提供を行いました。晩年には、自身の過去について証言するなど、歴史の証人としての役割も果たしました。

著作

「赤色戦線大検挙」『文藝春秋』1955年8月臨時増刊号

栄典

1934年4月29日 - 勲五等双光旭日章
1940年8月15日 - 紀元二千六百年祝典記念章
1965年 - 勲二等瑞宝章

参考文献

下里正樹・宮原一雄『日本の暗黒-実録・特別高等警察 第3部 虎徹幻想』新日本出版社、1991年1月。
秦郁彦編『日本近現代人物履歴事典』東京大学出版会、2002年。

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