范明友

范明友（はん めいゆう）

范明友は、前漢時代に活躍した武将であり、大将軍であった霍光の娘婿として知られています。彼は、度遼将軍として、主に北方の異民族である匈奴や烏桓との戦いで功績を挙げました。

生涯

范明友は、隴西郡の出身です。初期には羌騎校尉として、羌族を率いて益州での反乱や武都の氐族の反乱鎮圧に参加しました。彼の軍事的な才能は、早くから認められていたようです。

元鳳3年（紀元前78年）、匈奴が烏桓を攻撃しようとした際、霍光はこれを要撃しようとしました。多くの臣下が反対する中、当時中郎将であった范明友はこれに賛成したため、度遼将軍・衛尉に任命され、遼東に出撃しました。匈奴は漢軍が出兵したことを察知して退却しましたが、霍光は范明友に烏桓を攻撃するよう命じました。疲弊していた烏桓に対し、范明友は6,000以上の首級を挙げ、烏桓の王3人を討ち取るという大きな戦果を挙げました。

元鳳4年（紀元前77年）、范明友は帰還し、その功績により平陵侯に封じられました。これは、彼の軍事的な手腕が朝廷から高く評価された証と言えるでしょう。元鳳6年（紀元前75年）には、烏桓が再び辺境を侵犯したため、再度度遼将軍として出撃しています。

昭帝が崩御し、昌邑王劉賀が皇帝に即位すると、范明友は昌邑王の廃位を求める上奏文に名を連ねました。昌邑王の淫乱な行いを問題視したものであり、彼の正義感を示すエピソードと言えるかもしれません。宣帝が即位すると、本始元年（紀元前73年）に昌邑王の廃位と宣帝の即位に賛同した功績により加増を受けました。

本始2年（紀元前72年）、匈奴は西方へ進出し烏孫を攻撃、烏孫から救援要請が届きました。これに対し、御史大夫田広明、後将軍趙充国、雲中太守田順、前将軍韓増、そして度遼将軍范明友が、総勢15万の騎兵を率いて匈奴討伐に向かいました。

地節2年（紀元前68年）に霍光が亡くなると、霍光の息子である霍禹を始めとする霍光縁故者の権勢は衰退しました。霍光の娘婿であった范明友もその影響を受け、地節3年に度遼将軍・衛尉の職を解かれ、将軍の印綬を没収され、光禄勲に左遷されました。

地節4年（紀元前66年）、追い詰められた霍禹らは反乱を企てました。范明友は皇太后の命を受け、丞相魏相や宣帝の皇后の父である平恩侯許広漢を斬る手はずとなっていましたが、実行前に計画が発覚。范明友は追い詰められ、自殺という結末を迎えました。

范明友の生涯は、前漢という時代における権力闘争の激しさと、その中で翻弄される人々の姿を象徴していると言えるでしょう。

参考文献

司馬遷著『史記』巻20建元以来侯者年表
班固著『漢書』巻7昭帝紀、巻8宣帝紀、巻17景武昭宣元成功臣表、巻19下百官公卿表第下、巻68霍光伝、巻94上匈奴伝上

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