下邽県

下邽県（かけい-けん）

下邽県は、かつて中国に存在した県の一つで、現在の陝西省渭南市臨渭区下邽鎮の位置にありました。その歴史は古く、紀元前7世紀にまで遡ります。

歴史

下邽県の歴史は、秦の武公が紀元前7世紀に異民族である邽を征服したことに始まります。武公は現在の甘粛省に上邽県を設置し、その後、邽の人々が移り住んだことから、この地に下邽という名が付けられたと伝えられています。

前漢時代には、下邽県は京兆尹の管轄下に置かれました。『後漢書』郡国志にはその名が見られないものの、後漢末期に華歆が下邽の県令への転出を希望した記録が残っており、一時的に廃止された後、再び設置されたと考えられます。

西晋時代には、馮翊郡の管轄下に置かれました。隋代に入ると、華州の延寿郡に属しましたが、開皇3年（583年）に全国で郡が廃止されたため、華州の直轄となりました。大業3年（607年）に再び郡が置かれると、馮翊郡に属し、この頃には蓮勺県を合併しています。

唐代に入ると、武徳元年（618年）に馮翊郡は同州と改称されました。垂拱元年（685年）には、下邽県は隣接する華州に移管されました。華州はその後、垂拱2年（686年）に太州、天宝元年（742年）に華陰郡、乾元元年（758年）に再び華州、上元年間（760年）に再び太州、宝応元年（762年）に再び華州と、その名称を頻繁に変更しましたが、下邽県は一貫してその管轄下にありました。

北宋時代にも、下邽県は華州の管轄下に置かれました。金の時代にも同様に華州の下にあり、管内には素化鎮と新市鎮の二つの鎮が存在しました。明昌3年（1192年）12月には、下邽県に武定鎮が新たに設置されました。

行政官

下邽県には、県を治める様々な行政官がいました。

下邽令（県令）：陸応（唐）
下邽尉（県尉）：趙公儀（唐）、薛存亮（唐）
下邽主簿：崔重（唐）、宋璫（後周）

また、下邽県を領地とする公侯も存在しました。

下邽県公：李賢（北魏）。永熙3年（534年）に封じられ、恭帝元年（554年）に河西郡公となりました。

参考文献

班固『漢書』。小竹武夫訳注『漢書』3、筑摩書店（ちくま学芸文庫）、1998年。
陳寿『三国志』。裴松之注、井波律子・今鷹真訳『正史三国志』2、筑摩書房（ちくま学芸文庫）、1993年。
房玄齢・李延寿他『晋書』。
魏徴他『隋書』。
劉昫他『旧唐書』。
欧陽脩『新唐書』。
脱脱（トクト）他『宋史』。
脱脱他『金史』。
* 中央研究院「漢籍全文資料庫」、2017年5月閲覧。

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