西紳六郎

西紳六郎

西紳六郎（にし しんろくろう）は、1860年11月10日（万延元年9月28日）に生まれ、1933年（昭和8年）10月16日に没した、日本の海軍軍人、政治家、華族です。最終階級は海軍中将で、従三位勲二等男爵の栄典を授けられています。貴族院男爵議員や宮中顧問官も務めました。

生い立ちと海軍入隊

西紳六郎は、奥医師・林洞海の六男として江戸で生まれました。その後、西周の養子となり、幕府の沼津兵学校を経て、1881年（明治14年）11月に海軍兵学校（8期）を卒業しました。1885年（明治18年）6月には海軍少尉に任官し、海軍軍人としてのキャリアをスタートさせました。

海軍での昇進と活躍

海軍大学校副官などを経て、1890年（明治23年）7月に海軍大学校（甲号2期）を卒業しました。1893年（明治26年）6月には、「吉野」回航委員としてイギリスに出張し、帰国後は「天城」分隊長、「武蔵」分隊長を歴任しました。1894年（明治27年）には日清戦争に出征し、その後、軍令部第1局員、第2局員と異動しました。1896年（明治29年）10月に海軍少佐に進級し、1897年（明治30年）2月には養父の死去により男爵を襲爵しました。

1897年12月に海軍中佐に進級し、1898年（明治31年）5月には「厳島」副長に就任しました。その後も軍令部副官、アメリカ公使館付などを経て、1902年（明治35年）5月に海軍大佐に昇進しました。1903年（明治36年）5月には、「笠置」艦長に発令され、佐世保海兵団長を経て、1904年（明治37年）には有栖川宮威仁親王付武官となり日露戦争を迎えました。その後も馬公要港部参謀長、「高千穂」「壱岐」「周防」の各艦長、横須賀海兵団長、佐世保鎮守府参謀長と、海軍の要職を歴任しました。

1908年（明治41年）5月から1912年（大正元年）12月まで侍従武官を務め、その間の1908年8月には海軍少将に進級しました。1912年12月には海軍将官会議議員となり、馬公要港部司令官に異動、1913年（大正2年）9月には海軍中将に進みました。同年12月に待命となり、1914年（大正3年）12月1日に予備役に編入されました。

政治家としての活動

1918年3月16日には、補欠選挙で貴族院男爵議員に選出され、公正会に所属し、1932年7月9日まで在任しました。その他、有栖川宮宮務監督、宮中顧問官を歴任し、政治家としても活躍しました。

栄典

西紳六郎は、その功績により、以下の位階と勲章を授与されました。

位階
1885年（明治18年）9月16日 - 正八位
1890年（明治23年）1月17日 - 従七位
1891年（明治24年）12月16日 - 正七位
1896年（明治29年）12月21日 - 従六位
1897年（明治30年）3月22日 - 従五位
1909年（明治42年）7月10日 - 従四位
1915年（大正4年）1月11日 - 従三位
勲章等
1902年（明治35年）11月29日 - 勲四等瑞宝章
1915年（大正4年）11月10日 - 大礼記念章
1919年（大正8年）1月30日 - 勲二等瑞宝章

親族

西紳六郎には実子がなく、養嗣子として西酉乙（赤松則良海軍中将の七男。森鴎外の最初の妻登志子の弟）を迎えました。また、森鴎外の息子である森於菟が幼少の頃、西紳六郎から養子に望まれたという記述が、森於菟の随筆『鴎外と女性』に残されています。

参考文献

秦郁彦編『日本陸海軍総合事典』第2版、東京大学出版会、2005年。
外山操編『陸海軍将官人事総覧 海軍篇』芙蓉書房出版、1981年。
福川秀樹『日本海軍将官辞典』芙蓉書房出版、2000年。
海軍歴史保存会編『日本海軍史』第9巻、発売:第一法規出版、1995年。
* 衆議院・参議院編『議会制度百年史 - 貴族院・参議院議員名鑑』大蔵省印刷局、1990年。

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